11月も残り少なくなってくると、だんだん師走に追い立てられるような気がしてくる。
今年のうちにやっとかなきゃいけないというか、やっといた方が後が楽でしょ?みたいなことが、まだまだ山積みだ・・・。
今頃になってこんなに焦るくらいなら、もっと早くから手をつけとけば良かったなんて後悔しても仕方ないことくらいわかってるんだけど・・・。
「難しい仕事でも抱えてるの?眉間にしわなんか寄せちゃってさ。」
(あっ・・・。まずい!今は一人じゃなかったんだ。)
「もう月末だから、あたしと会ってる時間なんてないのはわかってるけど、露骨にそんな顔されると、マジむかつくんですけど・・・。」
そう言うと、彼女はおもむろに紅茶のカップをガチャリと置いた。
「ごめん・・・。仕事のことを考えてたわけじゃないんだ。」
俺は素直に謝って、そう言った。
「じゃあ、何をそんなに考えてたわけ?」
はっきりしない俺の態度に、ますます彼女の機嫌は悪くなっていく。
「いや、まだ今は話せない。」
「何よ、それ・・・。」
今にも頭から湯気が出そうなくらいに怒っているのが、手にとるようにわかったけど・・・。
「ごめん、俺、明日から旅行に出るから・・・。帰るよ。」
今まで怒っていたのに、目が点となったしまった彼女を残して、俺は店を出た。
とにかく、今はまだあいつには何も言えない。
事の発端は、昨日のことだった。
突然、あいつのお母さんから電話をもらったんだ。
なぜ、あいつにではなく俺だったのか、最初は面食らったんだけど。
「あなた、あの子と結婚する気ある?」
唐突にそう聞かれ、俺はもっと驚いた。
「今の素直な気持ちだけでいいから聞かせてほしいの。」
俺は焦った。だって、まだあいつを幸せにできる自信がなかったから・・・。
気持ちだけで、突っ走れるほど若くもないような気もしたし。
でも、とにかく嘘はつきたくなかったから、こう言った。
「娘さんを好きな気持ちは誰にも負けない自信はあります。」
「そう・・・。それなら、あなたには本当のことを言うわ。」
本当のことって・・・?
「私、来週、心臓の手術をするのね。成功率は五分五分ですって。」
俺は、思わず息をのんだ。
「でも、まだあの子には言ってないのよ。そんなこと知ったら今の生活をなにもかも捨てて、こっちに帰ってくることがわかってるから。」
「でも、知らせないわけにはいかないですよね?そんな大事なこと。」
「ええ、わかってる。だから、まずあなたに聞いてほしかったのよ、私の気持ちを。手術がどっちにころんでも、今の暮らしを捨てないようにあの子を説得して欲しいの。あの子が、私の人生の巻き添えをくらうなんて嫌なのよ。」
「とにかくこんな話、電話でなんてすませられませんよ!!僕、できるだけ早くそちらへ行きますから。」
そう言って電話を切ったのだが、頭の中は混乱していた。
職場に無理を言って有給をもらい、明日の出発にこぎつけたんだ。
帰ってくるまで、あいつには話せない・・・。
俺は、早々に準備をすませ、ベッドに潜りこんだ。
今年のうちにやっとかなきゃいけないというか、やっといた方が後が楽でしょ?みたいなことが、まだまだ山積みだ・・・。
今頃になってこんなに焦るくらいなら、もっと早くから手をつけとけば良かったなんて後悔しても仕方ないことくらいわかってるんだけど・・・。
「難しい仕事でも抱えてるの?眉間にしわなんか寄せちゃってさ。」
(あっ・・・。まずい!今は一人じゃなかったんだ。)
「もう月末だから、あたしと会ってる時間なんてないのはわかってるけど、露骨にそんな顔されると、マジむかつくんですけど・・・。」
そう言うと、彼女はおもむろに紅茶のカップをガチャリと置いた。
「ごめん・・・。仕事のことを考えてたわけじゃないんだ。」
俺は素直に謝って、そう言った。
「じゃあ、何をそんなに考えてたわけ?」
はっきりしない俺の態度に、ますます彼女の機嫌は悪くなっていく。
「いや、まだ今は話せない。」
「何よ、それ・・・。」
今にも頭から湯気が出そうなくらいに怒っているのが、手にとるようにわかったけど・・・。
「ごめん、俺、明日から旅行に出るから・・・。帰るよ。」
今まで怒っていたのに、目が点となったしまった彼女を残して、俺は店を出た。
とにかく、今はまだあいつには何も言えない。
事の発端は、昨日のことだった。
突然、あいつのお母さんから電話をもらったんだ。
なぜ、あいつにではなく俺だったのか、最初は面食らったんだけど。
「あなた、あの子と結婚する気ある?」
唐突にそう聞かれ、俺はもっと驚いた。
「今の素直な気持ちだけでいいから聞かせてほしいの。」
俺は焦った。だって、まだあいつを幸せにできる自信がなかったから・・・。
気持ちだけで、突っ走れるほど若くもないような気もしたし。
でも、とにかく嘘はつきたくなかったから、こう言った。
「娘さんを好きな気持ちは誰にも負けない自信はあります。」
「そう・・・。それなら、あなたには本当のことを言うわ。」
本当のことって・・・?
「私、来週、心臓の手術をするのね。成功率は五分五分ですって。」
俺は、思わず息をのんだ。
「でも、まだあの子には言ってないのよ。そんなこと知ったら今の生活をなにもかも捨てて、こっちに帰ってくることがわかってるから。」
「でも、知らせないわけにはいかないですよね?そんな大事なこと。」
「ええ、わかってる。だから、まずあなたに聞いてほしかったのよ、私の気持ちを。手術がどっちにころんでも、今の暮らしを捨てないようにあの子を説得して欲しいの。あの子が、私の人生の巻き添えをくらうなんて嫌なのよ。」
「とにかくこんな話、電話でなんてすませられませんよ!!僕、できるだけ早くそちらへ行きますから。」
そう言って電話を切ったのだが、頭の中は混乱していた。
職場に無理を言って有給をもらい、明日の出発にこぎつけたんだ。
帰ってくるまで、あいつには話せない・・・。
俺は、早々に準備をすませ、ベッドに潜りこんだ。