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マグロチャンピオンの料理道場

人気バラエティー番組、TVチャンピオンの「マグロ料理人選手権」優勝者が、本格料理を分かりやすく教えるブログ。

中国人の面子って何?タイ人のマイペンライって何?

2008年01月10日 | 中国人の面子とタイ人のマイペンライ
料理の話しを少しお休みして、海外にてどのようにしてスタッフを教育して行けば良いか自分の経験から話しをしよう。

中国に来る前はタイのバンコクの日本レストランで、同じく店長兼料理長をしていたが、国が変われば国民性も文化も全く違う。

まず中国に来て感じたのは、中国人が一番重んじるのが「面子」だという事だ。「面子」無しに中国を語れないし、面子がすべての国民なのだ。

だから、皆さんも、これから少しでも中国や中国人に関わるようであれば、「面子」という問題にしっかりと取り組んで欲しい。

中国は現在、ものすごいスピードで経済成長をしているので、日本の企業の中国進出も多くなっているが、毎年、たくさんの日本人駐在員がストレスで心と体を病み、自殺まで行き着いてしまうケースも多いようだが、多くが中国人の「面子」を理解できず、1人で悩んでしまう結果ではないかと思う。

必要なのは、タイ人の「マイペンライ」の感覚だ。日本でも「マイペンライ」という言葉は知っている方が多いと思うが、『大丈夫、大丈夫』『しょうがないでしょ』『気にしない、気にしない』『心配ないよ、何とかなるよ』という意味で、タイ人はお金が無くても「マイペンライ」、仕事が無くても「マイペンライ」と、とにかく何でも「マイペンライ」という一言で片づけてしまう。

多少のことは気にしない、この「マイペンライ」を身につければ、きっと中国でもやっていけるのではないかと思う。

中国人の「面子」だが、これを「見栄」と訳す人がいるが、それだけではないと思う。なぜなら、面子には悪い面も良い面もあるからだ。

それでは、実際に「面子」とはどういうことなのだろう。簡単な例を挙げてみる。

昨日のことだが、一昨日の夜から降り続いた雪が5cm程積もり、道路は凍結し、車はノロノロ運転の大渋滞となった。場所によっては全く車が動かない状況だ。
大連は冬場でもめったに雪が降らないところなので、車もスパイクタイヤなど履かないところに、中国人の「いつも私が優先、私が一番」という性格も加わり、そこいら中で車の衝突事故が起こっていたのは簡単に想像が付く。

昨夜は、こういう状況だから、さすがに来店客も少ないのではないかと半ばあきらめていた。「台風」や「大雨」等の日も同じで、不可抗力でどうしようも無い。

時間が7時になってもお客さんが来ないので、今日は本当にダメかな?と思っていたら、7時少し前に、うちの店の社長がお客さんと一緒に、お店に来るという電話がレジに掛かってきた。それから、10分程経った頃だうか、イタリア人の常連客が外人の友達を連れて14名でお店に食事にやってきた。そして、その後を追うようにうちの店の社長が到着した。

店のスタッフ皆は私に向かって『面子ありますね』と言う。つまり、私の面子が保てたという訳だ。
また、こういう場合には同じく店の社長も「面子」があるのだ。

お客さんを連れて自分の店に来たものの、お客さんが居なかったら「面子」が無い訳である。

まァ、実際は社長はそんなことは考えていないのだが、スタッフはそう考えるようだ。

さて、「面子」で一番気を付けなくてはならないのは、従業員を叱ったりする場合だ。日本人でも特に職人気質で気の短い人は注意が必要だ。

たとえば、調理場で誰か中国人コックが何かミスをするとしよう。その時に皆の前で『コラ!このボケ!』等と決して言ってはいけない。

そのミスが彼の二日酔いが原因だったとしても、ヤル気がなくダラダラしていて起こったミスだとしても、皆の前では「アホ」等と言わないことだ。

このわずかな一言で、彼の「面子」は無くなり、場合によっては集団で職場ボイコットにつながる。それだけならまだ良いが、彼を首にでもしようなものなら、彼の友人やら、兄弟やら家族までも抗議にやってくる。「面子」を潰されたと・・・

私も1年ちょっと前に中国に着たばかりの頃は、『面子などクソくらえ!』と思っていたので、さまざまなトラブルに巻き込まれることになった。
しかし、怒ったあとには、必ずフォローも忘れなかったし、怒るのは一瞬で、それをいつまでも引きずらなかったので今でも生きていられるみたいだが、できるならば、タイの「マイペンライ」精神を見習った方が良い。怒る前にちょっと冷静になれば、彼らをやり込める方法はたくさんあるのだ。

しかし、面子には良い面もある。面子が人脈をつくり中国での生活を快適にさせてくれる。私は、まだまだ言葉(中国語)もうまくないので、人脈を持っている人に世話になっていると言った方がよいが、中国での人脈の大切さをとても感じる。

普通、中国では何事にも時間が掛かる。お店の水道管の工事や、自分のアパートのシャワーの修理やら、インターネットが突然つながらなくなるなど、毎日、さまざまな問題が起こるが人脈さえあれば、いとも簡単に解決できるのだ。

公安(警察)もそうだ。お店で何かあれば、直ぐに飛んできてくれる。とにかく中国では人脈がとても大切だ。偉い人と人脈を持っている人とは友達になっておいた方が何かと便利だ。

さて、「面子」についてもう少し話そう。

今、うちのお店の常連客に銀行に勤める30代後半の中国人がいる。中国の30代はバリバリ仕事をしている。
彼は最初は日本人のお客さんと一緒にうちの店に来た。少し日本語の話せる人で、うちの料理が美味しいと言っていた。

それから一週間程経って、今度は彼が彼女(愛人?)を連れて2人でお店にやってきた。私は彼の顔に見覚えがあったので、彼らのところへ挨拶に行って彼に『いつもお店に来ていただきありがとうございます。』と、へたな中国語で話した。たったそれだけだ。

どうやら、その一言は彼にとっては「面子がある」のだ。うちの店は大連にしては、どちらかというと高級店なのだが、その店の常連客であるということを彼女にアピールできたのだ。私の挨拶の後、彼は今回が2度目の来店にもかかわらず、うちの店のどの料理が美味しい等、彼女に話し(口説き落とし)ていたようだ。

その後、今度は2日後位に銀行のお客さんを連れて6人でお店に来てくれた。そして、高い料理をたくさん注文してくれた。きっと、先日の「面子」のお返しなのだろう。私もまた挨拶に行き来店のお礼を言う。今日の彼の招待客も、こんなに高いものをご馳走してもらって「面子」があるのだ。

こうして、面子が人脈となり、中国という社会が成り立っているのだと思う。

しかし、その人脈も慣れが生じると、だんだん「ずうずうしさ」に変わるようで、最近は『食事代金を15%まけて欲しい』と言い出すこともある。きっと彼の接待費にも上限があるのだろう。しかし、彼が接待で連れてきたお客さんが、お店に来てくれているので今のところは良しとしている。

そのへんの駆け引きを間違えて、彼の「面子」をつぶさないように。。。











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