マグロチャンピオンの料理道場

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ワインに合う和食(7)ギンダラの西京焼きと鮭の粕漬け焼き

2014年01月14日 | シラチャー ジャスミンホテル
昨年からのバンコクでの反政府デモはなかなか終結せずにその規模が拡大していて、今日(1月13日)はバンコク市内7か所の集会場所ではかなり大規模なデモが行われるとのことだ。

各政府機関も閉鎖され道路もデモの影響を受けると思うので、バンコクの飲食業界にとっても大きな打撃ではないかと思う。

そんなバンコクの様子と打って変わってわってここ「シラチャー」ではいつものように「まったりと」時間が流れている。

特にジャスミンリゾートホテルはたくさん緑に囲まれ、「魚やす」はプールサイドに面していることもありバンコクで大規模なデモが行われいることなど微塵も感じられない。

本来、タイ人というのは争いごとを嫌う国民なので、テレビでデモ隊の様子を見ても緊迫感がなく、皆、和やかにまるでお祭りにでも来ているように感じるのは自分だけではないと思う。

さて、今回のブログは「漬け魚」について話をしたいと思う。
漬け魚をワインに合う和食に選んだのは、既に海外の多くの高級日本料理店が「ギンダラの西京焼き」をメニューに載せて高い評価を得ているからだ。

フランスの高級日本料理店でもワインを片手にギンダラの西京焼きを美味しそうに食べているフランス人を見かけたりするが、実際にちょっと甘い「ギンダラの西京焼き」は白ワインと相性がいいのではないかと思う。

今回は「ギンダラの西京焼き」と「鮭の粕漬け焼き」を紹介するが、この料理にも白ワインが合うだろう。

ブドウの品種は「ギンダラの西京焼き」が「シャルドネ」で、「鮭の粕漬け焼き」には「ソーヴィ二ヨン・ブラン」がおすすめだ。

ところで、料理にワインを合わせる時に牛ステーキなどには赤ワイン、豚肉、鶏肉、魚には白ワインと決め付けている人がいるが、マグロの赤身など「鉄分」を多く含む場合には赤ワインの方が合う場合も多く、今回はワインと料理の合わせ方について少し話をしよう。

ただし、個人的にワインが好きなだけでワインの専門家ではないのであくまでも参考にしていただけたらいいと思う。

まずはワインと料理を合わせる時にメインの食材の色を思い浮かべ、赤に近ければ赤ワイン、白に近ければ白ワインを選ぶといいだろう。

牛肉、それから先ほども話したマグロの赤身やカツオ、鴨肉、そして野菜ではトマトやニンジンは赤に近い色なので赤ワインに合う食材だ。

野菜に赤ワインの相性は以外に感じる人もいるかと思うが、トマトなど酸味のある野菜は赤ワインに似た味わいと言える。

一方、豚肉や鶏肉、白身魚や大根などは白に近い色なので白ワインに合う。

ただし、味付けやソースの種類によって赤ワイン、白ワインを選ぶこともある。

この場合には「濃い味」には赤ワイン、「さっぱり味」には白ワインを選ぶといいだろう。

たとえば、皆さんもきっとよく食べてる「とんかつ」だが、ソースはかなり濃い味の場合が多いので赤ワインが合い、またトマトソースを使った料理(たとえばパスタなど)にも赤ワインが合う場合が多い。

また、イカをさっと炙って「わさび」で食べる場合など「さっぱり味」には白ワインとの相性がいい。

先程、「とんかつ」には赤ワインが合うと話したが、それでは「白身魚のフライ」の場合はどうだろう?

これを赤ワインではなく、白ワインに合わせる場合には「とんかつソース」ではなく、ソースを「タルタルソース」に変えてあげれば白ワインにぴったりの味になる。

また、ハンバーグ(デミグラスソース)を作って食べる予定だったのが、あいにく白ワインしか無い。(わざわざ赤ワインを買いに行く時間も無い。)

こんな場合には大根おろしと醤油で「和風ハンバーグ」にすれば白ワインに合うだろう。

このように味付けを変えることで、間違って赤ワインを買う予定が白ワインを買ってしまった場合や、その逆の場合でもワインに料理を合わせることも可能だ。

さて、赤ワインを飲むか白ワインを飲むかが決まったところで、今度はブドウの品種は何を選んだよいかの話をしよう。

まず、ブドウの種類だがフランスで栽培されているブドウの品種だけでも30種類以上もある。

赤ワインの代表的な品種には「カベルネ・ソーヴィ二ヨン」「メルロー」「ピノ・ノワール」「シラー」「ガメイ」「カベルネ・フラン」等があり、ブルゴーニュ産のワインは赤はピノ・ノワール、白はシャルドネと単一品種で作られる場合が多いが、ボルドー産は単一品種でワインを作ることは稀で、ほとんどのワインが2種類以上の品種をブレンドしてる。

カベルネ・ソーヴィ二ヨンはメルローとブレンドされることが多く、また、カベルネ・フランもメルローとブレンドされることが多い。

また、白ワインの代表的な品種には「ソーヴィ二ヨン・ブラン」「シャルドネ」「リースリング」「ミュスカデ」「ゲヴュルツトラミネール」などがある。

それでは、それぞれのブドウの品種の味わいや特徴、料理の合わせ方について話をしよう。

個人的に赤ワインのおすすめは「ピノ・ノワール」でとてもエレガントで優しい味わいだ。それに比べて「カベルネ・ソーヴィ二ヨン」は荒っぽく力強くて重い(ボディーが大きい)。

「シラー」はこの両者のいいとこ取りをした感じで、「メルロー」は「シラー」よりも果実味がふくよかな感じがする。

先程、『個人的には「ピノ・ノワール」をおすすめする。』と書いたが、それには理由があってピノ・ノワールが和食に合うからだ。

「マグロの刺身」や「すき焼き」等でぜひ、試していただきたいと思う。

「カベルネ・ソーヴィ二ヨン」はボディーが大きく力強いので、油を多く使う中華料理や和牛のステーキ等に合う。

また、「メルロー」は先程も書いたが果実味がふくよかなので、トマトソース系のイタリア料理や鴨料理にも合うだろう。

次に白ワインだが和食には「ソーヴィ二ヨン・ブラン」がおすすめだ。

冷たい前菜から刺身、天ぷら、寿司など、素材の鮮度を活かす料理にはピッタリの相性だ。

「シャルドネ」はとても香りが強いのでマユネーズ、ホワイトソース、それにバターを含んだソースとの相性がいい。

また、「リースリング」だが、前にも書いたが『困った時のリースリング』でハムやソーセージ等の加工品や蒲鉾などにも合うと思う。

さて、また話が長くなってしまったので今回の「漬け魚」の話をしよう。

まず今回紹介する「ギンダラの西京焼き」と「鮭の粕漬け焼き」の「ギンダラ」という魚だが、日本の近海でも漁獲されるがごく僅かで、ほとんどがアメリカ(アラスカ)やカナダから輸入されている。

名前や鱈に似た姿から鱈の仲間ではないかと思ってしまうが、実はホッケやアイナメの仲間に分類される。

とても脂のある魚で栄養価も高く、ビタミンAの含有量はウナギ以上とされている。

戦前はマグロの大トロが二束三文だったように、ギンダラも一般庶民が食べる魚として食卓を賑わせていたが、戦後の食生活の変化とともに脂のある魚が高くなってきたのと、漁獲規制があり水揚げの減少も相重なって最近では高級魚になってきている。

中国などの新興国がこぞって脂のある魚を食べるようになったのも価格高騰に拍車をかけているようだ。

「養殖サーモン」については現在、スコットランド、ノルウエー、チリなどからバンコクに新鮮な物が輸入されている、近年では日本でも宮城県などで盛んにサーモンの養殖を行っている。

ところで「鮭」と「サーモン」とはどこが違うのだろうか?
単に日本語の鮭を英語ではサーモン、フランス語ではサルモンと言うのだろうか?

少し気になったので調べてみると、本来、日本で鮭と呼べるのは「白鮭」だけで、後は鱒(マス)になるようだ。
カラフトマスやサクラマスという名前を聞いた人もあるかと思うが、これらのマスのうち、ひときわ大きい物だけを「鮭」と呼んで区別していたようだ。

一方、欧米では海に下って産卵をしてまた同じ川に戻ってくるものを「サーモン」と呼び、「トラウト」と区別しているようだ。

鮭と鱒についてはどの大きさまでが鱒で、どの大きさから鮭になるのかの区別が難しいのが、よく安いお弁当に入っている5年~6年も回遊して身がパサパサした鮭を「白鮭」と呼べばいいのだと思う。

しかし、鮭児(けいじ)と呼ばれる1歳~2歳の鮭の子供や時知不(ときしらず)と呼ばれる春から夏にかけて一般の魚に混じって漁獲される脂の乗った白鮭もあったりしてなかなか難しい。

今回の「鮭の粕漬け焼き」はノルウエーの養殖サーモンを使うが、脂が乗っていてとても美味しいと思う。

◆「酒の粕漬け」の作り方(4人前)
(粕床)
鮭粕   500g
酒    80cc
みりん  50cc
砂糖   100g
塩 15g
(作り方)
①粕床の材料をすり鉢であたる。
②鮭の切り身の両面に軽く塩を振り2時間程置き身を締める。
③表面を水洗いしてから水気を切る。
④容器を用意し粕床を③の両面に塗り冷蔵庫で保存。(一週間位後が食べ頃) 
たくさん作ったと時には1つずつラップして冷凍しておくといいだろう。
⑤食べる時には、表面の粕床を洗い流して魚のグリルやオーブントースターで焼くといいだろう。
⑥今回はきゅうり、ニンジン、大根の千切りを甘酢に漬けて添えたが、「ハジカミ」等を添えてもいいだろう。



◆「ギンダラの西京焼き」の作り方(4人前)
(味噌床)
西京味噌   500g
酒      30cc
みりん    30cc
砂糖      20g
(作り方)
基本的には「酒の粕漬け」と同じ。
今回は、マスタードと上記の味噌床を混ぜたソースを添えて味にアクセントを漬けた。
下が完成写真。


さて、次回はワインに合う和食の7回目として「ご飯もの「を作ってみよう。


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