マドンナのナイショ話

あなたに話したいあれこれ

ニューヨーク恋物語 第9章ニューヨーク編

2008年08月28日 | ニューヨーク恋物語
「まえがき」


昨日、ニューヨークの話題をブログに書いたら
急に「ニューヨーク恋物語」を更新しなきゃ!って思って。(笑)
私って、本当に唐突ですよね。


8月はお盆休みで、家族が家にいて、食事の支度に追われて
それにオリンピックや高校野球をテレビ観戦して
リビングは、とっても暑苦しかったです。


それでも「家族団欒」の喜びをかみしめてみたり。
ご先祖さまをお迎えして、お送りして、ホッとした自分がいました。


旅行もお出かけもしない日々が続いたのに・・・
ブログに書きたい事がらが、毎日目白押しで
有難いな・・・ なんて思って感謝してみたり。


まだまだ、マドンナのナイショ話は、続いていきますから
どうかこの部屋をご訪問くださいね。


         


                          


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さて、3週間ぶりの「ニューヨーク恋物語」です。
「ニューヨーク恋物語 第9章」は、ニューヨークが舞台です。


タイトルが「ニューヨーク恋物語」なのに
ニューヨークを舞台にしているのは、たった3章だけです。


なぜ?・・・って?
理由は簡単なんです。


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当時、ニューヨークの写真が、それほどなかったのです。
2001年9月11日の同時多発テロから半年後に
ニューヨークを訪れた娘が撮った、わずかな写真を使って書きました。


当時、コンパクトデジカメで、娘が撮った写真は画素数も低く
お粗末なものでしたが、私にとっては
「タイムズ・スクエア」も「自由の女神」も「5番街の標識」も
すべてが憧れの対象でした。


そんなわずかなニューヨークの写真を元に
後半のクライマックスシーンを書きあげました。


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この後も、物語は佳境に入り、次第に面白くなっていきます。
どうか、最終章まで、お楽しみくださいね。


上の写真は、ニューヨーク市消防博物館で撮った写真です。


1  2001年9月11日の同時多発テロで活動した消防車
2  同時多発テロで犠牲になった消防士343人の写真 
3  2001年9月11日、あの日、あの時の消防士のひとり


尚、今回の物語の、挿絵の写真は、全て私が撮ったもので
私のHP「マドンナの夢ギャラリー」で使用したものです。


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ミューヨーク恋物語2008  BGM 愛し君へ(森山直太朗)



         


                          



「ニューヨーク恋物語 第9章ニューヨーク編」


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大沢がニューヨークに戻って2ヶ月が過ぎた。
日本ではまもなく梅雨が終わろうとしていた。


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今日子からのメールでは、「今日もまた、雨・・・・」とあった。
梅雨が終わると、東京に暑い夏が訪れる。


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夏になると、二人は毎年、七夕祭りや花火大会へと出かけた。
そんな時、今日子は浴衣を着て、少しはにかんで現れた。


浴衣には、浴衣の化粧があるのかと思うほど
きれいな化粧をして、大沢を驚かせ、そして喜ばせた。
季節がめぐる度に、今日子との思い出がいっぱいだ。


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今回の帰国で、大沢は完全に里心がついてしまった。
一週間もの間、今日子の部屋で暮らしたのは
これまでの付き合いの中で、初めてのことだった。


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長く一緒にいると
お互いの嫌な部分が強調されるのではないかと危惧したが
大沢はそんなことを感じたことはなく
以前にも増して、今日子への気持ちは傾いていった。


今日子のひとつひとつの仕草が、可愛らしくていじらしかった。
目を閉じると、瞼の中に今日子が浮かんで来た。


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大沢は今日子への想いをかき消すように繁華街へと出た。
けれど一人で飲む酒は、少しも酔えなかった。


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大沢は、ニューヨークではいつも孤独で
得たいの知れない重圧に、押し流されるような思いがした。


それでも負けまいと、この一年やってきた。
今日子の励ましのメールは、どんな時でも心強かった。


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大沢は毎日多忙だった。
時には、ボストンやフィラデルフィアに出張することもあった。


ニューヨークに来て一年余りの間で
現地の人とコミュニケーションが取れ、上手く商談をまとめるようになった。
英語が苦手な大沢にとって、言葉の壁は大きなハードルだった。


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今日子は帰国子女だった。
父親の仕事の関係で、ハイスクールまで海外で暮らしていた。


ニューヨークに転勤になった頃、よく今日子に英語を尋ねた。
今日子は、英語の持つニュアンスを
その時々にふさわしい英語を詳しく説明してメールをくれた。
今日子の英語のアドバイスのお陰で、まとめられた商談もあった。


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ニューヨークの人は、仕事以外ではジョークが好きだ。
そしてプライベートでは、華やかでエキサイティングなことが好きだ。
そんなノウハウを今日子は教えてくれた。


プライベートを充実させると、仕事もスムーズに行った。
今日子はどんな時でも大沢の相談に乗ってくれた.


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一年が過ぎ、仕事に慣れると、課題は山積みされた。
大沢は、毎日仕事に追われ、時には自分を見失いそうになる時があった。


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一日の仕事が終わり、アパートに帰ると眠るだけだった。
そんな時、今日子の言葉を思い出す。


「どんなに疲れていてもシャワーは浴びて・・・」
シャワーを浴びると疲れが取れた。
今日子が言った言葉の意味がとてもよくわかる瞬間だった。


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甘いものが好きな今日子は、よくケーキを買ってくれた。
それを二人で食べる時、今日子は「私は、今が一番幸せ」と言った。


ブルガリの時計をして、エルメスのバーキンを持っていた女が
大沢と二人で、ホワイトクリームのショートケーキを食べる時間を大事にした。


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大沢の部屋のベットの上には
湘南の海で撮った二人の写真が飾ってあった。


フォトフレームの中の今日子は、満面の笑みで大沢を見ていた。
その横には一年前、ニューヨーク転勤が決まった時に渡せなかった
今日子への指輪が、今もそのまま置いてある。


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そして大沢の机の引き出しには
みなとみらいのホテルの部屋で撮った、今日子の全裸の写真があった。


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今夜は満月だ。
この瞬間、今日子は太陽の下で働いている。


時差が二人の心まで遠ざけるようで、今夜の大沢はやるせなかった。
大沢はそんなことを毎晩思うようになっていた。


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ニューヨークに来てから、大沢は早くに目が覚めるようになった。
大沢のアパートはセントラルパークの外れにある。
朝のジョギングを始めてもう1年になる。


シープ・メドウまで行き、広い芝生に座って一息つく。
朝のジョギングは大沢の活力になり、気持ちを切り替えられた。


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セントラルパークには、いつも季節の花が咲いていた。
今日子に恋をして以来、大沢はよく今日子を季節の花に例えた。


春の桜、夏のひまわり、秋のコスモス、冬の椿。
大沢にとって、美しいものは、全て今日子だった。


ストロベリー・フィールドには、今日も花が飾られていた。
ここから南に歩けば、すぐに大沢のアパートだ。


カフェでコーヒーを飲んで、大沢は軽い朝食を取った。
それからアパートに帰り、シャワーを浴びて出勤した。


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仕事が始まると今日子への想いが薄らいでゆく。
仕事に忙殺されることが、今の自分にとって、いいことなのだと思う。


ニューヨーク支店への勤務は、初め三年ということだった。
けれど五年は帰れないだろう。
いや、もっとかもしれない。


二人の結婚はどうなるのかと思うと、大沢の気持ちは塞ぐ。
日本に残してきた一人の女に、未練がいっぱいだった。
だからこの忙しさは、返って有難いと思った。


大沢は今日も会社へと出かける。
今日子は今頃、遅い夕食を食べているだろう。


そんなことを思いながらバス停へと急いだ。


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ニューヨークにも、初夏の太陽が顔を見せ始めた。
爽やかな朝である。


第10章に 続く・・・


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