ただのサッカーブログ

世間知らずの人間が書くサッカーを中心とした個人ブログ。2020年からはサッカー以外の事も少しずつ。

兵庫を盛り上げるクラブに 昌子力 文字起こし

2020-05-31 | Weblog
2020年令和2年5月31日、日曜日
神戸新聞朝刊、6ページ、オピニオン 文字起こし

見る 思う

サッカー関西1部
「チェント・クオーレ・ハリマ」取締役
昌子 力さん

兵庫を盛り上げるクラブに

サッカー関西1部の「バンディオンセ加古川」は1月に運営体制を刷新、
クラブ名を「チェント・クオーレ・ハリマ」に変えた。加古川、三木市の
スタジアムを本拠地に、10年後にはJリーグ1部(J1)で優勝争いができる
チームづくりを目指して、6月開幕のリーグ戦に備える。
( 注、昨日リーグ戦は8月開幕に変更された)

改名には「覚えにくい」「せっかく、なじんできたのに!」と、
さまざまな声が届いた。バンディオンセの名は知名度も上がりつつあり、
もったいない気もしたというのが正直なところ。それでも、
「たくさんの心」を意味する新クラブ名で一体感をより高め、
播磨地域全域をホームタウンとして発展させていきたい。

改名するクラブは全国を見渡すと少なくない。同じ兵庫県の
ヴィッセル神戸もしかり。1993年、「神戸にプロサッカーチームを
つくる市民の会(オーレ!KOBE)」が発足し、そこから
川崎製鉄サッカー部の誘致などを経て、翌年ヴィッセル神戸
に至る。当時の歴史に少々関わっていた私は、この頃のことを
鮮明に覚えているが、あのビッグクラブでさえ改名し、
エンブレムもロゴもユニフォームも変遷しているのだ。

J1最多勝利、主要タイトル通算20冠を達成した鹿島アントラーズも、
旧日本サッカーリーグ(JSL)2部所属の住友金属工業蹴球団が母体だ。
川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、横浜F・マリノス、横浜FC・・・。
それぞれ歴史を背負い、変化してきた。その時、その時にクラブを
支えてきた会社、スポンサー、行政、サポーター、地域住民がいる。

前述の通り、多くのクラブが存続、発展している神奈川県では
ダービーマッチができる。今年はJ1に4チームも所属し、
県を挙げた盛り上がりが期待される。さらにそれが
県内のサッカー熱、教育力を向上させるのだ。

ファンの「おらがチーム」という感情は、やがて「おらが地域」
「おらが県」「おらが関西」「おらが日本サッカー」になる。
チェント・クオーレ・ハリマがヴィッセル神戸と双肩する
クラブに成長することは、地域社会やサッカー界にとって、
大きな意味を持つと信じている。

兵庫県は学生サッカーが盛んで指導者のレベルも高く、
選手が育つ素地がある。一方で中学、高校を卒業したら、
県外クラブの下部組織などに流出してしまう現状もある。
ステップアップしていけるよう、環境を整えることも
欠かせない。少子化の時代に下部組織を乱立させても
意味はないが、地域クラブとして在り方を探りたい。

鹿島は前身時代、「Jリーグの加盟承認は99パーセント無理」
と評されながら、JSL2部からはい上がった。その歴史を見れば
見るほど、目の前のハードルは高くそびえ立つように感じる。
ゼロからのスタートとよく言うが、チェント・クオーレ・ハリマは
全くのゼロではない。先人が残してくれた「歴史」とそこからの
「変化」を大切に、前進していきたい。

昌子力 しょうじ・ちから
1963年生まれ。ヴィッセル神戸ユース監督などを経て、2002年から
姫路獨協大サッカー部監督、09年から同大学教授。専門は
スポーツコーチング法。日本代表DF昌子源選手の父。



5月30日(土)閲覧数:803PV 訪問者数:346人

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