声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

売れない新刊本

2015-10-29 18:15:57 | 最近の話題
本が売れないのは図書館のせいだとして

新刊本の貸し出しを先延ばしにせよという要請が出版社から出された…という記事を読みました。


本が売れないのは図書館のせいですか?


私もよく図書館に行きますが、

新刊本を借りてくることの方が少ないです。

…というのも、


人気の新刊本は、ほとんど予約で一杯ですから
自分の番が回ってくるまでに一年以上はかかるケースが多く、

そんなに待っていられません。


なので本屋さんに行きます。

…で、本屋さんでは最初に読みたい新刊本を手にとってパラパラめくってみます。

読むところは決まっています。

最初の書き出しの文章と、目次とあとがき、
そして途中をペラペラとめくってみて

買うかやめるかを決めています。


要は惹きつけられる文章なのか否か…です。


いくら話題の本でも、自分がニガテなタイプの作家さんのものは読みません。


芥川賞も直木賞も、本好きの義母が小説専門の月刊誌を取っていますので、

読み終わった月刊誌を貸してもらいます。



小説は、たいがい他人の頭の中での作り事です。

正直言いますと私は、他人の作り話に付き合うほどヒマではありません。

それでも、読みたくなるのは
読み手にイマジネーションを与えるのが上手く、

現実にあり得ない出来事でさえ、

「実体験ないのに、よくこんなこと描けるわね」

と唸らせてくれる作家が存在するからです。


また、小説の場合は

ストーリーを追えば読むペースが速く、
しかも文章の読み方が粗くなり、

文章が美しく緻密な作家の作品は、
ストーリーより表現を味わい愉しむ…


私は、その両方を兼ね備えている作家が好きなのですが、

そんな作家は、さほど多くないと感じています。


小説は、想像力で愉しむものです。


新人研修などで、最近の若者を見て思うことに想像力の欠如があります。

通常のビジネスの現場でも必要な想像力が乏しいのに

小説の中の作り事を想像するだけのイマジネーションを要求するのはムリでしょう。

マンガ以外の本を買わない若者は多いと思います。


それと、一番本をよく読んでいた我々から上の世代は、

年齢と共に目も疲れやすくなっているし、本を一冊読むのでさえ根気がいる…

だから、だんだんと面倒になって昔ほど読まない、と言う人も増えています。


では、子育て世代はどうかと言えば

スマホには時間とお金をかけても、本を買ってまで読むほどの経済的、時間的な余裕もない…

と言う人が多いのです。


いろいろ考えてみると、
本が売れなくなっているのは時代の流れです。


今は昔と違って便利な時代、
注文すれば本は翌日届きますものね。

私も図書館で、本を探して読んでみて気に入ったのをAmazonで注文することもあります。

以上の理由から、

図書館を悪者にするのは、オカドちがいというものです。

本が売れないのは図書館の新刊本の貸し出しのせいではないと思います。



写真は軽井沢の室生犀星旧宅にて

思えば、昔の作家の文章は美しかった…





清水由美
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