声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

Shine

2016-08-29 12:41:45 | 映画・ドラマ


実在の人物をモデルに、
しかも、そのモデルが現存のピアニストということで話題になったアカデミー賞受賞映画ですが、

「誰があなたを輝かせるの。あなたは誰を輝かせるの。」

というタイトルの下に書かれた言葉が意味するものは

(いったいなんなのかしら・・)

と、当初、謎のメッセージのように思えた言葉の意味を観終わってから噛みしめました。



子供の頃は天才と言われ、大人たちや世間の人々から賞賛されコンクールに出場し、

注目されると奨学金を得て音楽留学、

そのまでは、よくありがちなパターンに違いないのです。

ですが、その留学中に精神や心の病にかかり、

その後は、表舞台に出る機会がなくなる音楽家の卵たちがいることは、

例えば、先だって亡くなられた中村紘子さんの著書にも描かれています。


かつて天才と言われた音楽家の卵たちがその後どうなったかは、

とても、気になるところです。




その点、

この映画の主人公のヘルフゴットは、ある意味、特別な存在なのです。


それは、彼自身が一旦は病のために精神病院に入り、治療を続けながら、

ピアノと再び向き合うところから始まります。

幼少期からの回想シーンを挟みながら

最初は偏見を持って、
彼をばかにしていた多くの人たちが彼のピアノに驚き、

段々と彼の存在を認めるようになる・・・



この映画の意図するものは、まさに、今、課題とされているダイバーシティ

社会的マイノリティの人が再び表舞台で輝き、活躍していくというストーリーです。


もっと突き詰めて考えれば

ヘルフゴットの実父の異常なまでの家族愛…

その背景にある先の戦争でのユダヤ人への迫害…

テーマの中に「差別」と「偏見」という社会的問題を孕んでいます。



貧しい家庭に生まれ、少年時代にピアノの才能を発掘されたヘルフゴットが、

留学中に発症する統合失調症という病気と付き合いながら、

再生していく…

そして、一旦は諦めていたステージに立つまでの感動的な物語は、

支える周囲の人々の優しい眼差しとともに観る者の心を打ちます。




ヘルフゴットといえばラフマニノフのピアノ協奏曲3番が有名ですが

映画の中で彼自身が弾いた『熊蜂の飛行』をみつけました。

ミスタッチは多いようですが、愉しそうに弾いていて伝わってきます。


しみずゆみ

David Helfgott / Shine / Piano Performance / Oscars 1997

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今朝の会見 | トップ | 9月1日 »
最新の画像もっと見る