声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

野辺送り

2016-10-02 18:50:36 | Diary
一週間前に、二軒先の独り暮らしのお年寄りが亡くなりました。


夜9時過ぎ、別の近所の方から報せを受け

班長の我が家は、何をしたらいいのかと戸惑いつつ、

まず斎場に、

葬儀の予定がいつなのかを問い合わせると

「これから病院へ、ご遺体をお迎えに行くところで、日程は未定なんです」

とのこと。


アタフタしていると、

これから葬儀の打合せをするとかで

大雨の中、ご近所の方が手際よく車で夫を迎えに来ました。

この地域では、隣保班が葬儀のお手伝いをする事になっているらしいのです。


小一時間ほどして、帰ってきた夫が言うには

班長は、

班内の各家庭に連絡し、
葬儀告別式への出席の有無を一軒ずつ訊き、

出席の人からは、負担にならない程度のお香典を各家庭、一律1000円を集める、

もちろん、強制ではありません。

そして、当日は葬儀会場の受付のお手伝いをするのだそうです。




亡くなったKさんは、

この一年の間、入退院を繰り返す生活をされていたらしく、

2年前に越してきた時に一度、ご挨拶に伺ったきりで、

私は一度しか顔を見た事がなく

夫は、4ヶ月前に自治会費を集める際に偶然、病院から自宅に帰って来られた折に会ったきりです。


普段、付き合いもない方の葬儀にどんな顔で出たらよいのかと

葬儀当日の朝、夫は、戸惑いながら喪服を着て出かけて行きました。

「受付だけだから、きっとすぐ終わる」

と思いきや、

帰って来たのは夕方4時過ぎ…。

訊けば、


葬儀後に斎場で御骨を拾うまで、お付き合いしたとのこと。

「ええ〜っ⁉︎それって普通は親族だけだよ」

と驚く私に、

リビングのテーブルに置かれた大きな紙袋を見れば、

なんと、中身は商品券や乾物などお香典の何倍もの御返しまで…。(~_~;)


「田舎のお葬式って、派手…」


挨拶状を読めば、

亡くなったKさんが、若い頃苦労をして事業をおこし、
三人の子供を育てあげ

事業が安定してからは国内外を旅行したりと充実した生活を送っていたこと

奥さんに先立たれ、

身体を壊してからも、同居を勧める子供の誘いを断り

慣れ親しんだこの土地での独り暮らしを希望したこと

そして、望み通りにここで最期を迎えられた事に対する感謝の言葉が綴られていました。


( 頑固そうに見えたけど、好い人だったんだね)


ふと、

初めて会った時、

庭先で、小さな椅子にちょこんと座っていたKさんの皺くちゃの痩せた顔を思い出しました。


親族のみの家族葬が増えている中で

隣保班の班長だから、

という義務感でお手伝いした葬儀でしたが

夫いわく、

「戸惑うことばかりだったけれど、見ず知らずの人までみんな『ご苦労さまです』って声をかけてくれるんだよ」

とのこと。


「野辺送り」の風習は、まだ残っていたのですね…




















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