天使の図書館ブログ

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Mr.ロバートを探して。-6-

2012-10-04 | 創作ノート
※使用させていただいているイラストは、幻想素材サイトFirst Moon様のものです。利用規約を守らず転載or再配布したりされないよう、よろしくお願い致します。


 え~と、前にもどこかに書いたとおり、このお話に関しては書くことってあんまりなかったり

 とりあえず、マリー・ド・サガンっていう喫茶店のモデルは、わたしが十代後半~二十代前半くらいに気に入ってた、四つくらいの喫茶店を合わせた場所がモデルかもしれません。

 そんでもって、その中のひとつの喫茶店ではほんの数か月ですけど、実際にバイトもしてました(笑)

 サガン・ノートっていうのは、わたしがバイトしてた喫茶店じゃなくて、一時期よく行ってた喫茶店に置いてあったノートがモデルだったり

 え~と、店に来た人が暇つぶし的に色々好きなこと書いていいノートっていうか

 これが読んでみると結構面白くてですね(笑)、たとえば、たったの数行何かの本から抜粋した名言みたいのが書いてあったとすると――次にノートを広げた人が、↑「すげえいい言葉!!めっちゃ感動した」みたいに書いてあったりするんですよね。

 まあ、今でいうチャットに少し似てるのかなって思うんですけど、やっぱり<字>ってその人の性格みたいのが出る気がするし(もちろん絶対じゃないですけどね・笑)、時間置いてからまた喫茶店にきた時に、自分の書いたことに対して誰かが反応してくれてると――心がほっこりして、なんとなく嬉しかったものでした♪(^^)

 んで、肝心のロバートについてなんですけど……実際に>>ああ、愛してるわ、ロバート的なことを書いてた人が、本当にいたのです(笑)

 貴方のことが忘れられないとかなんとかwwいえ、読んでて間違いなく誰もが「妄想系☆」と思う文章なんですけど、その文章自体のことについては何故か、その後何年過ぎてもわたしは覚えてたんですよね(^^;)

 そんでもってある時、不登校の少女がどこにも行くところがなくて、コーヒー一杯で喫茶店で何時間も時間を潰す……みたいな話が出来上がって。自分は学校に行けなくて、家ではお母さんが単身赴任してるお父さんをよそに、浮気してるっていう状況。

 そして最初はマキって、マリと同じように不登校で悩んでて、ノートにお互いのことを書いて知りあうっていう設定でした。

 それからふたりで協力しあって、Mr.ロバートを探しはじめるという。。。

 まあこのお話、そんなに長くないので、あと何回かで終わりますけど(笑)、実際に書いてみたら例によって最初に頭の中にあったのとは、少し違う内容になっちゃいました(^^;)

 基本的にどーってこともない話ではあるんですけど、自分的にはそれなりに気に入ってるかもしれませんww

 それではまた~!!



       Mr.ロバートを探して。-6-

「でね、あたしとサユリって、ある意味キャラ的にかぶってるでしょ?最初は向こうから話しかけてきて、あたしも気が合うかな~なんて思ったんだけど、あの子って脳みそカラッポの馬鹿なのよ。興味あることって言ったら、ファッション雑誌の誰それと自分を似せることと、男にいかにモテるかっていうことのふたつだけ。でもまあ、せっかく仲良くなったんだし……ってこっちも思ってたんだけど、あの子、やることが陰険なのよ。ある時からやたら知らない奴からメールが届くようになって……あと、家にも不幸の手紙が来たりね。あんまりアッタマきたから、これやってんの全部あんたでしょ!?って言ってやったわけ。そしたら今度は、「ひどい!あたしたち、親友じゃない!!」みたいに言うから、担任に相談してみることにしたの」

「筧先生に?」

(よりによって、なんであんなアテにならないのに)という思いをこめて、わたしはユリカのことを見返した。

 ユリカは図書委員で、ここ最近は司書室でお弁当を食べていたらしく――わたしは彼女とどこかカビくさい匂いのする部屋で、そんな会話を交わしていた。

 筧(カケイ)先生というのは、わたしたちを無事卒業させたら、あとは筒がなく年金生活を送れるといった感じの、来年六十になるもうろくジジイなのだ。彼の言動の一挙手一投足に、「とにかくそれまでなんの問題も起きませんように」との願いが、常に見え隠れしている。

「あ~もう、マリの言いたいことは聞くまでもなくわかってるわよ!でも一応、証拠の不幸の手紙もあることだし、筆跡は変えてあるけど、これは間違いなく彼女の字だと思いますって、言ってみることにしたわけ。そしたら……」

「そしたら?」

 ここでユリカは、聞いてるわたしでさえうんざりするほどの、長く深い溜息を着いた。

「そっか。その時たぶん、マリ帰っちゃっていなかったんだね。筧の奴、帰りのHRで、その不幸の手紙のことを議題として挙げて――「みなさんはこの問題についてどう思いますか」的なことを言ったのよ」

「そりゃ最悪」と、わたしはママが作ってくれたお弁当を食べながら、笑わずにはいられなかった。

「そうよ、最悪よ。あいつはようするに、杓子定規に問題提起して、みんなから意見を集めて、なんとなく二時間くらい潰して……で、最後にまとめとしてこう言ったわけ。『不幸の手紙をだすようなことをすると、その不幸が巡り巡って結局は本人の元へ帰ってくるものです。それから、無闇やたらと友達のことを疑うのもよくない』みたいなことをね!」

 ああ、腹立つ、腹立つ~!!と、ユリカは何度も地団駄を踏むように足を踏み鳴らしていた。

「ユリカの気持ちはわかるよ。一応話として聞くと、筧先生の言ってることって、一見まともそうに聞こえるけど……筧先生はどっか、教師としての情熱がないのよね。わたしもよく先生に呼ばれるけど、教員室で言われることっていえば、いつも同じことだもん。『べつにいじめられてる事実があるわけでもないんだから、学校へ来てきちんと授業を受けなさい』みたいな話。でもわたし毎回、『はい、わかりました』って答えて、次の日は学校来なかったり、勝手に早引けしたりするじゃない?そしたら先生はまた一週間とか十日した頃に、同じ言葉を繰り返すわけ。たぶん家にも電話してると思うんだけど、あの先生の物言いじゃあ、ママも今ひとつ用を得ないっていうかな~……」

「マリ、お母さんのことママって呼ぶんだ」

 ユリカがくすりと笑うのを見て、わたしはなんとなくカッとなった。

「うん。小さい頃からずっとそうだから」

「ふうん。なんかいいね。あたしが思うに、自分のお母さんのことママって呼べる人は、大抵母親との関係がうまくいってて、仲いいもん。そのやたら凝った美味しそうなお弁当も、お母さんが作ってくれたんでしょ?」

「まあね……」

 ユリカはあたしのお弁当箱の中から、タコさんウィンナーを奪うと、それを口の中へ放りこんでいた。

「その点、うちって結構複雑なんだ。ちっちゃい時にママが死んじゃってさ、おとーさんはあたしが中学二年の時に再婚したんだけど……その一年後に赤ちゃんが生まれたりして、あの家にいると時々、「ああもう、何もかもイヤ!!」って、叫びだしたくなっちゃう」

「そっか。ユリカも色々あるんだ」

「ユリカ<も>って何よ。マリ、学校で不登校児だって他に、なんか深刻な悩みでもあるの?」

「う、うん……」

 わたしが言い淀んでいると、ユリカは自分で作ったというお弁当の蓋を閉め、「あ~あ」と、大きな伸びをした。

「なんかしら、色々あるわよねえ。ただ生きてるってだけなのにさ。なんにしてもマリ、これからは突然勝手に教室からいなくなったりしないでね。その時にはあたしもエスケープするし、学校来ない日はメールで知らせて。わかった?」

「うん、わかった」

 ――なんかよくわからないけれど、わたしはこんなふうにして、それまでずっと口を聞いたこともなく、話してもきっと気が合わないだろうと思い込んでいた、福士ユリカと友達になった。

 そして、五時間目と六時間目のロングロームルームの時も、人数の足りないグループになんなく自然と仲間に入れてもらうことが出来た。向こうはいつも四人組で行動しているグループで、自由行動の時間には向こうは四人、あたしはユリカとふたりっきりで、それぞれ別の場所を回るということで、話は決定していた。

 もちろん、修学旅行の計画書なるものには、六人で同じ場所を見てまわるということで、そうした事柄が実に詳細に書きこまれている。

 なんにしても、わたしがこの時感じていたのは……姉御肌のユリカの頼もしさと、なんでもハッキリものを言う清々しさ、あとは時々忌々しげにこちらを見やっている、仲野サユリの不気味な視線だっただろうか。



 >>続く。





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