天使の図書館ブログ

 オリジナル小説サイト「天使の図書館」の付属ブログです。

ガブリエル・デストレとその妹。

2011-08-24 | 絵画
(フォンテーヌブロー派【ガブリエル・デストレとその妹】1594年頃、ルーヴル美術館所蔵)


 さて、今回もまた前回に引き続き、名画を勝手に推理(?)してみたいと思います♪

 まあ、推理するっていうほど大袈裟なことではないんですけど(笑)、わたしがひとりで勝手にそう思っている、解釈していることについて、ちょっと書いてみようかな~と(^^)

 ええと、ほら、絵画って結局、描いた本人の書いたものなどが色々残っていて――仮に本人が「ここはこういう意味である☆」といったことを書き残していたとしても……鑑賞者が全然違うことをあれこれ言ってもいいっていう自由があると思うのでww

 そんなわけで(どんなわけだか☆)、今回は謎の名画「ガブリエル・デストレとその妹」を取り上げたいと思いました♪(^^)

 ひとりの女性がもうひとりの女性の乳首をつまんでることには、一体どんな意味があるのかとか、ベラスケスの「ラス・メニーナス」同様、一応ある程度の仮説の提示がありますよね。にも関わらず、結局のところ「すべては謎である☆」という、不思議なヴェールに包まれている絵画です。

 一応、一番わかりやすくて文章引っ張ってきても問題なさそうだったのが、「美の巨人たち」のサイト様だったので、そちらの番組解説から文章をコピペ☆させていただきたいと思いますm(_ _)m


 >>今日の一枚は、フォンテーヌブロー派の『ガブリエル・デストレとその妹』。ルーブル美術館に所蔵され、フランス絵画の中でも最も謎めいているとされる作品です。
 カーテンが開かれ、まるで芝居を演じるかのように二人の美女が裸でバスタブの中にいます。
 右側にいる金髪の女性は、フランス国王アンリ4世の愛人、ガブリエル・デストレだといわれています。
 彼女は左手で、指輪をつまんでいます。
 そして左側にいる女性は、ガブリエル・デストレの妹だといわれています。
 彼女は何故か、ガブリエルの右の乳首をつまんでいるのです。
 奥の部屋では、年配の女性が何かを繕っています。
 傍らには、緑の布で覆われた、大きな箱のようなものがあります。
 背後の暖炉には火が燃え盛り、暖炉の上には上半分が隠された怪しげな絵が一枚あります。
 そして奥の壁には、何も写っていない鏡がかけられています。
 この不思議な絵は、一体何のために、何を意図して描かれたのでしょうか?


 16世紀のフランス国王フランソワ1世は、老いたレオナルド・ダ・ヴィンチを手厚くもてなし、ミケランジェロをフランスに招こうとするなど、イタリアのルネサンス芸術に心酔していました。
 彼がフォンテーヌブロー宮殿を建設する際に、イタリアの著名な画家たちに宮殿内の装飾を依頼しました。
 その後、画家たちの多くがフランスに帰化し、宮殿美術の様式を作り上げていきます。
 それが、フォンテーヌブロー派の誕生でした。
 彼らは後世に名を残すことはなく、作品のみが伝えられたのです。


 今日の一枚は、アンリ4世の時代に生まれた作品です。
 アンリ4世は、すでに妻のマルゴがいたにもかかわらず、自分の腹心の恋人であったガブリエル・デストレに一目惚れをします。
 そして彼女を口説きに口説いた末に、愛人にしたといわれています。
 ガブリエル・デストレは、有能な女性でした。
 アンリ4世は1589年に王位を継承しますが、当時はフランス全土でカトリックとプロテスタントの宗教戦争が行われていました。
 幾度も戦場に赴くアンリ4世の傍らで世話をしていたのが、ガブリエル・デストレでした。
 王の仕事を助け、政治や外交にも手腕をふるいました。
 アンリ4世はフランス国内の宗教対立を終結させますが、その陰の立役者がガブリエルだったといわれています。
 また、アンリ4世との間に3人の子供を授かったといわれています。
 ガブリエルを王妃にするため、アンリ4世はローマ教皇に、王妃マルゴとの結婚の無効を訴えました。


 そして、今日の一枚が生まれます。一説では、左側の妹と伝えられている女性がガブリエル・デストレの乳首をつまむ仕草は、「多くの子どもを産むことができる女性だと示唆している」とされています。
 そして、ガブリエル・デストレが指輪をつまむ仕草も、「王と結婚したいという彼女の意思をほのめかしている」とされているのです。
 まるで結婚を待ち望む、健気な乙女心を表しているように解釈する事が出来ます。
 しかし、ガブリエル・デストレは結婚の3日前に、4人目の子供を身ごもりながら謎の死を遂げています。
 今日の一枚がいつ描かれたのかはっきりしていないのですが、仮にこの絵が彼女の死後に描かれているとすると、全く違う解釈となるのです。
 はたして、この不思議な絵が暗示しているものとは?


 ……すごくいいところで切れてますねえ(^^;)

 というか、この続きがどんな番組内容なのか、めっちゃ気になります(笑)

 ちなみにわたし、この美の巨人さんの「ガブリエル・デストレとその妹」の回、見てませんww

 なので以下は例によって、わたし個人の勝手な解釈ということで、よろしくお願いしますm(_ _)m


 ――「ガブリエル・デストレとその妹」の正式なタイトルは、「ガブリエル・デストレとその姉妹ヴィヤール公爵夫人とみなされる肖像」(なっが!!☆)というのだそうです。

 えーと、実はわたし、この絵の本物を見たことがあります(^^;)

 でも、その時はそんなに色々な謎を秘めた名画であるとはまったく知らず……「なんで乳首つまんでるのww」くらいにしか思わないで、その前を通りすぎてしまったという。。。

 今にして思えばほんと、つくづく隅から隅までしっかりガン見しておけば良かったと、そればかりが後悔されます

 まあ、そんなわけで、なんの予備知識もなしに、人がこの絵にバッタリ☆出会ってしまった場合、最初に思うのはやっぱりそのことですよね(笑)


 「なぜ妹が姉の乳首をつまむ必要があるの???ww」っていう。。。


 そして、アンリ4世の正妻マルゴに子供がなかったのに対し、愛妾のガブリエルには三人も子供があったことから、この妹のヴィヤール公爵夫人が姉のガブリエルの乳首をつまむ仕種というのはようするに――王の寵愛を象徴したものだと考えられるのだそうです。

 ふう~ん、そうなんだ☆と、まあ、そこはそれで一応納得。

 でもそれじゃあ何故、ガブリエル・デストレは左手に指輪を持っているのでしょうか。

 この絵の制作年代は、1594年ごろ……まあ、あくまで「ごろ」という話ですので、「美の巨人」さんの番組解説の文章にもあるとおり――ここでは、ガブリエル・デストレの死後にこの絵が描かれた、と仮定してみたいと思います。

 彼女が亡くなったのは、残念なことに結婚の三日前です。

 そう、王の寵愛を受けての結婚……ですが、これほど王から愛されていながら、指輪をはめるということまでは叶わなかったということですよね。

 そのことが、乳首をつまむ指よりも指輪が下のほうに目立たなく示されていることの理由、という気がします。

 そして二番目の謎――何故この高貴な身分の女性ふたりは、浴槽に浸かっているのか、ということ。

 自分的にはこれってたぶん、寝室のベッド=棺桶の比喩のような気がするんですよね(^^;)

 当時はそういう習慣だったかどうかというのはわかりませんが、普通は浴槽にシーツというのか、ヴェールみたいなものをかけたりはしないと思います。

 そしてヴェールというのは、死者の顔や体を覆うためにこそ使うものなのではないでしょうか。

 それから次が三番目の謎ですが、そもそもこの絵はどうやって描かれたものなのか、ということ。

 ガブリエル・デストレはいうまでもなく、ヴィヤール公爵夫人は、そもそも身分が公爵夫人なわけですから、こんなふうに誰にでも肌をさらしたりするはずがありません。

 ここからはまたわたしのただの想像ですが、アンリ4世はガブリエル・デストレの死を身も世もなく嘆き悲しんだのではないでしょうか。

 そして、そんな王をお慰めするために、フォンテーヌブロー派の画家が一枚の絵を仕上げることになった……まず、考えられることとして、仮にこの絵がガブリエルの生前に描かれたものであるにしても、彼女と彼女の妹が同時に画家の前で上半身裸になってみせたというのは、まず考えにくいと思います。

 でも、妹であるヴィヤール公爵夫人が王の心を慰めるために絵のモデルとして一肌脱いだというのなら、少しは可能性があるのではないでしょうか(^^;)

 正直、このあたりのことは、ガブリエル・デストレの妹であるヴィヤール公爵夫人がどんな性格の女性だったかとか、そういうことについて歴史の本でも調べてみないことにははっきりしたことはわかりません

 ただ、わたしが思うに――最初にこの絵を見た時から、不思議な違和感があったんですよね。

 それはつまりどういうことかというと、いくら姉妹であるとはいえ、こんなに左右対称を意識したように、ふたりの体つきがそっくりだということがあるものだろうか、ということ。

 もちろん、現実で実際にふたりの姉妹の顔がそっくりとか、体も同じように痩せているとかっていうのは、そんなに珍しいことではないと思います。

 でもこのふたりは、まるで双子のように、ある意味気味が悪いくらい、とてもよく似通っているというか、不自然なくらい似すぎていると思うんですよね。

 そこでわたしが思ったのは、ヴィヤール公爵夫人は確かに、ガブリエル・デストレとどこか面差しが似ていたかもしれない、そして彼女は絵のモデルになったが、流石にふたりの体をまったく同じように描くわけにはいかない(この場合、ガブリエルの顔の部分は、生前に描かれた肖像などを元にしている)、ゆえに、生きているヴィヤール公爵夫人の乳房は少し輪郭がはっきりしていて、亡くなったガブリエルのほうは、死者に対する哀悼の気持ちもこめて、そう欲望をかきたてられるような形では描かれていないのではないか、ということです(^^;)

 これが姉妹の体の首から下が気味が悪いくらいそっくりな理由、そしてその暗示として、ふたりは同じイヤリングをつけているのではないか、ということのような気がしたり。。。

 あと、上のカーテンなどは、色が赤である必要があったのではないでしょうか。

 やっぱり、生命の象徴という意味で……それと、キリストは権力の右の座に着座された、といった表現が聖書にあるとおり、ガブリエルが鑑賞者から見て右側にいるというのは、おそらくそういう意味もこめられているように思うんですよね。

 まあ、浴槽の水は清めを意味していそうですし、これは罪を清められ復活したガブリエル・デストレ、といった絵でもあるのかもしれません。

 そして後ろを見ると、編み物をしているばあやが。

 彼女は生まれてくる(はずだった)子の産着でも縫っているのでしょうか。

 暖炉では火が燃えていますが、その前には不可解なことに、緑色の覆いのかかった祭壇のようなものがあります。

 そもそもこの緑色の覆いの緑にはどんな意味があるかというと、この「ガブリエル・デストレとその妹」と同じように色々な仮説や論争のある絵画、ヤン・ファン・エイクの「アルノルフィーニ夫妻像」のウィキ解説によると――女性が着ている緑色の衣装には、次のような意味があるのだとか。。。


 >>女性の緑の衣装は希望、おそらくは母となる希望を意味し、被っている白のキャップは純潔を意味する。


 つまり、ガブリエル・デストレは、王の四人目の子を身ごもっている時に亡くなったわけですから、暖炉の炎が生命の炎の象徴でもあるとすれば、その希望は断たれてしまった、と解釈できるのではないでしょうか。

 そして暖炉の上にかかっているあやしげな絵……これはおそらく、アンリ4世自身なのだと思います。

 絵の全体像が表されていないことから見て、王というもっとも高貴な身分の方をそのような形で表現するのは憚れたというのがあるのかもしれません。

 この絵の中の人物がアンリ4世であると仮定するならば、おそらくこれは王がガブリエル・デストレの愛に足許がおぼつかなくなるほど酔っていたことを示しているのではないでしょうか(あるいは、彼女を失った悲しみのあまり、お酒に酔いつぶれている王の痛々しい姿、でもあったかもしれません)。

 それから、暖炉の炎がアンリ4世のガブリエルに対する愛情の炎を表現したものであるとするなら――これほどまだ炎が赤々と大きく燃え盛っているのに、その炎は無常にも死によって押し留められてしまった……ということを表現しているともいえたでしょう。

 また、何も映っていない鏡は、ガブリエル・デストレを失った王の空虚な心を表しているのかもしれませんし、それと同時に――同じように一点の曇りもない心で王は真実彼女を愛していた、ともいえる気がするんです。

 他にこの絵画で気になる点は、やはり一般に知られているように、この頃のフランスでは、人は滅多に入浴というものをしなかった、ということでしょうか(^^;)

 フランス人がフランスパンを脇に挟んでいるのは体臭を消すためだとか、フランスで香水という文化が発達したのも、やはりそれだけ体臭が臭ったからだろう……と冗談でよく言われるように、この頃のフランスではお風呂に入ることはとても珍しかったといいます。

 まあ、ガブリエル自身、その立場から当然政敵など多かったでしょうし、ゆえに毒殺説も囁かれているというのは有名な話ですが、もしそれが本当であるとすれば、浴槽に水が張ってあるのは、毒からの清めを意味している可能性もありますよね。

 つまり、毒も彼女の本当の命、まことの命である魂までは奪えなかった、そして彼女はこうしてキリストのように復活を果たした、というようにも、また、ガブリエルが病死であった場合にも、病いから清められ、再び甦ったガブリエル……といったような解釈も出来そうな気がします。

 なんにしてもまあ、他では誰がどんな解釈をこの絵に与えているにしても、結局のところ真の解答といったものは、今後も得られはしないんですよね(^^;)

 そして、きっとここはこうだろう、あそこにはこんな意味が秘められているに違いないといったことを、永遠に繰り返す以外にはないということが――「ガブリエル・デストレとその妹」が名画といわれるゆえんなのだと思います。

 それではまた~!!


 P.S.それともうひとつ忘れてたんですけど、赤いカーテンがガブリエルの側で結ばれているのは、ガブリエルの人生がもう閉じてしまったこと、あるいは彼女のアンリ4世との深い結びつきを表したものではないかという気がします。そしてヴィヤール公爵夫人とみなされる女性のほうでは、それが開かれている、つまり彼女はまだ生きているし、裸になってはいるけれども、王との性的な結びつきまではない……といったことが暗示されてるような気がします(^^;)



 ↓とても有名な絵なので、貼る必要ないかな~とも思ったんですけど、一応最後に貼っておきますね♪(^^)

(ヤン・ファン・エイク【アルノルフィーニ夫妻の肖像】1434年、ロンドン・ナショナルギャラリー所蔵)




最新の画像もっと見る

コメントを投稿