(ドミニク・アングル【泉】)
(今回もまた本文と画像の間にはなんの関係も……って、でもなんかやたら裸が多いですね(笑)そのことにもまったく深い意味ないんですけど^^;)
キョッ、キョッ、今日の萌えのお題はですね(のっけからキモい☆)、シェラのおっぱいωについて、です♪
いえ、こみくす9巻で初登場したシェラと19巻で再登場したシェラのおっぱいのサイズって……違いすぎてて一瞬別人かと思うほどですよね(^^;)
わたしがマカパインか馬橇なら、「頼む、シェラ!!一度でいいから揉ませてくれっ!!」て、土下座して泣いて頼んでると思います(笑)
しかもなんでしょう、あの透け素材っぽそーな見るからにエロい感じのトーン使いとか……ついでにわたし、25巻の最初の5~6ページは、何度も繰り返し読んでますよww
横になっても、あれだけボリューム(笑)がある、しかもこれがカルのものだと思うと、かなり萌えます
氷の至高王カル=スっていう存在と、ぱふぱふ☆っていう単語は原作を忠実に考えた場合、相当かけ離れてると思うんですけど……シェラのおっぱいωって絶対、最低Fカップはありそうですよね??
それともGとかHまでいっちゃうんでしょうか。。。
まあ、大きければいいってものじゃないかもしれなくても――あのシェラの体にカルが色んなことをしてるところを想像すると、かなりの強い萌えを誘われます
そんなわけで(どんなわけだかw)、最近のわたしのシェラを見る目は縦縞じゃなくって、かなりのところヨコシマかも(笑)
そんで、25巻の最初の5~6ページを読むたびに、「この続き、どーなるの??」って、悩ましい思いにもさせられたり(^^;)
いえ、27巻から「魔力の刻印篇」やってるので……それ終わってから、24巻のカルとネイのその後とか、25巻のシェラがどうなるのかとか、一体いつになったらっていう話なのでorz
まあ、27巻読んだ時点で、もう人に「バスタードっていう漫画が好き」なんて、口が裂けても言えないなwwと思うようになったものの(品性を疑われるっていうか、元からあったか、そんなの☆笑)――でもカルを求めて三千里な精神で、これからもバスタ&原作者様を応援するっていうことに変わりはないので
ではでは、いつか原作でカルがシェラのおっぱいωに顔をうずめる日がくることを夢に見つつ。。。
それではまた~!!
カルシェラDE湯けむり妄想☆-その4-
「それでイングヴェイ、おまえは私に何を言いたいんだ?」
イングヴェイが主君カル=スの寝所へ赴くと、彼の主君はリンネルの上着に手を通し、その上からブロケードを羽織っているところだった。きのう晩餐が行われたのと同じ間で、朝食が供されるのは朝の七時からである。
そして<奏上の儀>のはじまる八時前には、さらにまたそれに相応しい格好にカルは<王>として着替えをしなければならないだろう。
とりあえず、身内といっていい側近の魔戦将軍の前では、この程度の服装で良いだろうといったような略装だった。
「あのシェラのうろたえようは、普通ではないと思ったものですから。カル様も知ってのとおり、あの娘は芯の強いしっかりした娘です。つまり、貴方が御自分から何かしない限りは、カル様との関係がおかしくなるようなことを、シェラ自身は絶対にしないはず……ということを、私は申し上げているのですが」
「……………」
イングヴェイの態度は常に、誰に対しても公正であり、また冷静沈着に事を述べる傾向が強い。『冷静な言質は、王の怒りを静める』と言うが、それこそはまさに、イングヴェイのためにあるような言葉だった。
「私は、あの娘に何もしていない――と言いたいところだが、それではやはり、嘘になるだろうな」
カルはそう言って、窓敷居に腰掛けると、そこから六月の朝の光に輝く、薔薇の園を見下ろした。イングヴェイもまた主君の傍らに立ち、カルとまったく同じ方向へ目をやる……すなわちそれは、シェラが居室としている棟のある方角だった。
「私は本当に……シェラに対して何かをするつもりはなかった。夜眠る前に、ほんの気晴らしとして歌を一曲と、それから語りをひとつ聞かせてくれれば、それ以上のことをあの娘に求めようとは思わなかった。シェラは――あの娘は本当に、いい娘だ。城では毎日、何がしかの余り物が出るものだが、あの娘はそうしたものを集めて、町の浮浪児などに配って歩いているらしいな。もっとも、私はこのことをシェラの口から直接聞いたわけではない。私の歓心を買うために、そうしたことを言うような娘ではないからだ。だが、だからこそ私は逆に……シェラに対し、父親のような気持ちで接するべきなのだろうなと思った。第一、シェラと私の年は実際、百歳ほども離れているわけだし」
そこでカルは、彼にしては珍しく微かに苦笑した。
「だが、そう思っていたのも、ほんの最初の頃だけだった。人間の<習慣>というのは、まったく怖ろしいものだな……私は自分は王になったとしても、決して横柄な人間などにはなるまいと、そう確信していた。にも関わらず、今ではあの娘が持ってきたものでなければ食べたくないし、服も、あの娘が用意したものでなければ、着る気になれない。それから、夜眠る時にシェラが横にいて何か語りを聞かせてくれないと――眠る気になれない、というより、今では本当に眠れないのだ。イングヴェイ、これでおまえが私に質問したことへの、答えになっているか?」
(なるほど、そういうことか)と、イングヴェイは納得する反面、先ほど廊下で会ったシェラの様子を思いだし、わけがわからなくもなった。
カル様はシェラを求め、そしてシェラはその求めに応じた……ということであれば、イングヴェイにしても、それ以上何も言うことはない。だが、先ほど見たシェラの様子は、恋する相手との恋愛が成就した娘が見せる顔にしては――ひどく不安定で、苦しげであったようにしか思えない。
「あまり詳しくは言えないが……私はきのう、あの娘が戸惑うような、あることをした。どうせなら力ずくで奪えばよかったのだろうが、あまりに中途半端なので、今ごろシェラも私に対し、これからどう振るまえばいいのか思い迷っていることだろう。私としては、今朝目が覚めたら、あの娘がすぐ傍らにいて……シェラが驚いている様子を見て楽しむつもりでいた。それから、自分には本気でそのつもりがあるということを、説明しようと思ったんだがな。あの娘は私より先に目を覚ますと、戸惑った気持ちを抱えたまま、逃げるようにここから出ていったというわけだ」
「……………」
イングヴェイは暫くの間黙りこむと、部屋の隅の柱時計へ目をやり――「それでは、私はこれで」と言って、主君の御前を辞去しようとした。
「なんだ?聞くだけ聞いておいて、何かためになるような忠告すら、最後にないのか?」
「いえ、すでに解決しているような問題にまで、一臣下にすぎぬ私が、口を差し挟む必要はないと存じますゆえ……」
そう言って、カルはイングヴェイがどこか恭しく礼をして、自分の寝所から出ていく後ろ姿を見送った。そしてイングヴェイと入れ違いになるようにして、家宰のディロン=トニティがやって来ると――彼にこう一言、申し付けたのだった。
「魔戦将軍シェラ・イー・リーには、今後この寝所へ出入りすることを禁止する」ということを……。
家宰のディロン=トニティが自分の部屋まで侍従を遣わし、「カル様の寝所へは立ち入らぬように」という用件を伝えた時――シェラはその侍従の少年の前ですら、ショックを隠せなかった。
「シェラ様、お気を落としなさいませんよう……これもまた、カル様にはカル様のお考えあってのことと、ディロン様もそうおっしゃっておいででしたから」
「あ、ああ。わざわざ伝えに走ってもらい、すまなかった。悪いが、私は少し気分が優れなくて、今朝の朝食会は欠席する旨、料理長に伝えてほしい」
わかりました、とどこか気遣わしげに返事をして、侍従の少年はシェラの部屋から去っていった。
そして、彼の姿がドアの向こうへ消えるなり――シェラはその場に倒れ伏して泣きはじめたのだった。
(カル様……っ!!)
どうしてですか、とか、何故なのですか、という恨み言よりも、シェラの胸の内には深い悲しみがあった。今年の春、一緒に花壇で種まきをした時のことや、薔薇の剪定の仕方をお教えした時のこと、もちろん、夜眠る前に寝所でどれほど楽しい時間を過ごしたかということも、シェラの脳裏をよぎって消えていかなかった。
(やっぱり、わたしが女だから?たったそれだけのことで、あの方は……)
シェラには毛頭、主君であるカル=スのことを責めようと思う気持ちはなかった。
もともとが、女であるのに男であると偽っていた自分が悪いのだから、何かあった場合、そのことについて責めを負うべきは他でもない自分だと、絶えずシェラはそう思ってカルに仕えてきた。
けれど今、予想を超えて最悪の事態が訪れてみると――もう二度とあの方のそば近くにおれないだけでなく、これからは距離的にはそばにいても、心のほうは遠く離れているといった関係なのだと思うと……シェラは悲しみのあまり、胸が潰れんばかりだった。
(カル様はきのう……もしかして、わたしが女であるとすぐお気づきになっていたのだろうか?それで、たばかられていたことをお怒りになって、それでわたしにあんな罰を……?)
そこまで考えてから、シェラは何度か首を振った。優しく柔らかい主君カル=スの手指の感触が体に甦り、あれが仮にただの戯れであったとしても、怒りとか、何か負の感情による行為であったとは、シェラには到底思えなかった。
自分の部屋へ戻ってきた時、シェラは壁の鏡を見て、首筋にもキスマークらしきものがついていたので驚いたけれど――今はもう、自分の意識のない間にカル=スが何をしたのかなど、シェラにとってはどうでもいいことだった。
そんなことより何よりも、自分が主君の不興を買ってしまったというよりは……二度と顔も見たくないと思うほどに失望させたのだと思うと、大袈裟に言うのではなく、シェラは明日にも死にたいような思いでいっぱいだった。
(カル様、わたしは、ただ……あなたのおそばにいたかった。それも、出来るだけ近くに……貴方に、もし女として愛されたらどんなだろうと、一瞬でも想像したわたしのことを許してくださるなら、もう二度と決して、心の中でもそんなことは思いませんから……)
だからもう一度、貴方のお世話をさせてください――そう涙ながらにシェラが思っていた時、不意に部屋のドアがノックされた。
シェラは急いで涙を服の袖で拭い、それから威儀を正すようにしてから、渋茶色の樫材の扉を開けた。
「イングヴェイ……」
自分の肩にも身長の届かぬシェラが、涙の残る顔で見上げる姿を見下ろし――(なるほど、そういうことか)と、イングヴェイは妙に納得する。
おそらくシェラ自身は気づいていないし、自分が口で男だということを力説すれば、それで通ると信じているのだろう。だが今、シェラはどこか頼りなげな少女のような面持ちをしており、おそらくはこれと似た「女の顔」を時々していたとすれば……それを無視し続けるのは、たとえカル様でも難しかったに違いないと、イングヴェイはそう思った。
「どうした、卿?まさか、朝食も食べずにもう出立するのか?」
今朝方会った時とは違い、騎士として盛装しているイングヴェイの姿を見て、シェラは驚いていた。
「ああ。朝食ならばすでに軽く、自分の部屋で済ませたのでな。私はこれから直接、辺境デーニスまで赴き、反乱軍を鎮圧しにいくつもりだ。その前にシェラ、卿に一言挨拶をと思ったのでな」
「そうか……それできのう、酒宴の席の途中でカル様と一時退座していたのだな。ア=イアン=メイデは、貴公の治める封土と隣接しているから、そこを鎮圧すればア=イアン=メイデの領土はそのまま卿のものということになる」
「……………」
(いや、酒宴の席を一時退座したのは、カル様とおまえのことを話すためだったんだがな)――と言いかけて、イングヴェイは口を噤んだ。中へ入るといい、というように、シェラはドアを開いたが、「いや、ここでいい」と言って、イングヴェイは首を横に振る。
「カル様はずっと前から、シェラ、おまえが女だということをご存知だった」
「……………!!」
「それで、卿が魔戦将軍の最後のひとりとなった時――私にだけ、こう打ち明けられたのだ。シェラが女であるということで、何か窮屈な思いをすることがないよう、よく見てやって欲しい、とな。あの方の深いお気持ちを、卿はゆめゆめ疑わぬことだ。私がシェラ、出立の前におまえに伝えておこうと思ったのは、それだけだ」
シェラは思ってもみなかったイングヴェイの言葉に、驚きのあまり暫く微動だにしなかった。それから、イングヴェイが何かにつけ、自然と自分を擁護するような立場に立ってくれたことを思いだし――彼の決して押しつけがましくない優しさに、深く思い至ったのだった。
「ありがとう、イングヴェイ……」
通廊に向かって去っていく、第一の魔戦将軍の背中に向かい、シェラはそう声をかけた。カル様の言葉を伝えてくれてありがとう、との気持ちももちろんあったが、それだけではなく――むしろ、これまで<女>とわかっていながら、仲間として対等に扱い、同時に守り助けてくれたことに対し、シェラはそうイングヴェイに言葉を投げかけたのだった。
>>続く……。。。
(今回もまた本文と画像の間にはなんの関係も……って、でもなんかやたら裸が多いですね(笑)そのことにもまったく深い意味ないんですけど^^;)
キョッ、キョッ、今日の萌えのお題はですね(のっけからキモい☆)、シェラのおっぱいωについて、です♪
いえ、こみくす9巻で初登場したシェラと19巻で再登場したシェラのおっぱいのサイズって……違いすぎてて一瞬別人かと思うほどですよね(^^;)
わたしがマカパインか馬橇なら、「頼む、シェラ!!一度でいいから揉ませてくれっ!!」て、土下座して泣いて頼んでると思います(笑)
しかもなんでしょう、あの透け素材っぽそーな見るからにエロい感じのトーン使いとか……ついでにわたし、25巻の最初の5~6ページは、何度も繰り返し読んでますよww
横になっても、あれだけボリューム(笑)がある、しかもこれがカルのものだと思うと、かなり萌えます
氷の至高王カル=スっていう存在と、ぱふぱふ☆っていう単語は原作を忠実に考えた場合、相当かけ離れてると思うんですけど……シェラのおっぱいωって絶対、最低Fカップはありそうですよね??
それともGとかHまでいっちゃうんでしょうか。。。
まあ、大きければいいってものじゃないかもしれなくても――あのシェラの体にカルが色んなことをしてるところを想像すると、かなりの強い萌えを誘われます
そんなわけで(どんなわけだかw)、最近のわたしのシェラを見る目は縦縞じゃなくって、かなりのところヨコシマかも(笑)
そんで、25巻の最初の5~6ページを読むたびに、「この続き、どーなるの??」って、悩ましい思いにもさせられたり(^^;)
いえ、27巻から「魔力の刻印篇」やってるので……それ終わってから、24巻のカルとネイのその後とか、25巻のシェラがどうなるのかとか、一体いつになったらっていう話なのでorz
まあ、27巻読んだ時点で、もう人に「バスタードっていう漫画が好き」なんて、口が裂けても言えないなwwと思うようになったものの(品性を疑われるっていうか、元からあったか、そんなの☆笑)――でもカルを求めて三千里な精神で、これからもバスタ&原作者様を応援するっていうことに変わりはないので
ではでは、いつか原作でカルがシェラのおっぱいωに顔をうずめる日がくることを夢に見つつ。。。
それではまた~!!
カルシェラDE湯けむり妄想☆-その4-
「それでイングヴェイ、おまえは私に何を言いたいんだ?」
イングヴェイが主君カル=スの寝所へ赴くと、彼の主君はリンネルの上着に手を通し、その上からブロケードを羽織っているところだった。きのう晩餐が行われたのと同じ間で、朝食が供されるのは朝の七時からである。
そして<奏上の儀>のはじまる八時前には、さらにまたそれに相応しい格好にカルは<王>として着替えをしなければならないだろう。
とりあえず、身内といっていい側近の魔戦将軍の前では、この程度の服装で良いだろうといったような略装だった。
「あのシェラのうろたえようは、普通ではないと思ったものですから。カル様も知ってのとおり、あの娘は芯の強いしっかりした娘です。つまり、貴方が御自分から何かしない限りは、カル様との関係がおかしくなるようなことを、シェラ自身は絶対にしないはず……ということを、私は申し上げているのですが」
「……………」
イングヴェイの態度は常に、誰に対しても公正であり、また冷静沈着に事を述べる傾向が強い。『冷静な言質は、王の怒りを静める』と言うが、それこそはまさに、イングヴェイのためにあるような言葉だった。
「私は、あの娘に何もしていない――と言いたいところだが、それではやはり、嘘になるだろうな」
カルはそう言って、窓敷居に腰掛けると、そこから六月の朝の光に輝く、薔薇の園を見下ろした。イングヴェイもまた主君の傍らに立ち、カルとまったく同じ方向へ目をやる……すなわちそれは、シェラが居室としている棟のある方角だった。
「私は本当に……シェラに対して何かをするつもりはなかった。夜眠る前に、ほんの気晴らしとして歌を一曲と、それから語りをひとつ聞かせてくれれば、それ以上のことをあの娘に求めようとは思わなかった。シェラは――あの娘は本当に、いい娘だ。城では毎日、何がしかの余り物が出るものだが、あの娘はそうしたものを集めて、町の浮浪児などに配って歩いているらしいな。もっとも、私はこのことをシェラの口から直接聞いたわけではない。私の歓心を買うために、そうしたことを言うような娘ではないからだ。だが、だからこそ私は逆に……シェラに対し、父親のような気持ちで接するべきなのだろうなと思った。第一、シェラと私の年は実際、百歳ほども離れているわけだし」
そこでカルは、彼にしては珍しく微かに苦笑した。
「だが、そう思っていたのも、ほんの最初の頃だけだった。人間の<習慣>というのは、まったく怖ろしいものだな……私は自分は王になったとしても、決して横柄な人間などにはなるまいと、そう確信していた。にも関わらず、今ではあの娘が持ってきたものでなければ食べたくないし、服も、あの娘が用意したものでなければ、着る気になれない。それから、夜眠る時にシェラが横にいて何か語りを聞かせてくれないと――眠る気になれない、というより、今では本当に眠れないのだ。イングヴェイ、これでおまえが私に質問したことへの、答えになっているか?」
(なるほど、そういうことか)と、イングヴェイは納得する反面、先ほど廊下で会ったシェラの様子を思いだし、わけがわからなくもなった。
カル様はシェラを求め、そしてシェラはその求めに応じた……ということであれば、イングヴェイにしても、それ以上何も言うことはない。だが、先ほど見たシェラの様子は、恋する相手との恋愛が成就した娘が見せる顔にしては――ひどく不安定で、苦しげであったようにしか思えない。
「あまり詳しくは言えないが……私はきのう、あの娘が戸惑うような、あることをした。どうせなら力ずくで奪えばよかったのだろうが、あまりに中途半端なので、今ごろシェラも私に対し、これからどう振るまえばいいのか思い迷っていることだろう。私としては、今朝目が覚めたら、あの娘がすぐ傍らにいて……シェラが驚いている様子を見て楽しむつもりでいた。それから、自分には本気でそのつもりがあるということを、説明しようと思ったんだがな。あの娘は私より先に目を覚ますと、戸惑った気持ちを抱えたまま、逃げるようにここから出ていったというわけだ」
「……………」
イングヴェイは暫くの間黙りこむと、部屋の隅の柱時計へ目をやり――「それでは、私はこれで」と言って、主君の御前を辞去しようとした。
「なんだ?聞くだけ聞いておいて、何かためになるような忠告すら、最後にないのか?」
「いえ、すでに解決しているような問題にまで、一臣下にすぎぬ私が、口を差し挟む必要はないと存じますゆえ……」
そう言って、カルはイングヴェイがどこか恭しく礼をして、自分の寝所から出ていく後ろ姿を見送った。そしてイングヴェイと入れ違いになるようにして、家宰のディロン=トニティがやって来ると――彼にこう一言、申し付けたのだった。
「魔戦将軍シェラ・イー・リーには、今後この寝所へ出入りすることを禁止する」ということを……。
家宰のディロン=トニティが自分の部屋まで侍従を遣わし、「カル様の寝所へは立ち入らぬように」という用件を伝えた時――シェラはその侍従の少年の前ですら、ショックを隠せなかった。
「シェラ様、お気を落としなさいませんよう……これもまた、カル様にはカル様のお考えあってのことと、ディロン様もそうおっしゃっておいででしたから」
「あ、ああ。わざわざ伝えに走ってもらい、すまなかった。悪いが、私は少し気分が優れなくて、今朝の朝食会は欠席する旨、料理長に伝えてほしい」
わかりました、とどこか気遣わしげに返事をして、侍従の少年はシェラの部屋から去っていった。
そして、彼の姿がドアの向こうへ消えるなり――シェラはその場に倒れ伏して泣きはじめたのだった。
(カル様……っ!!)
どうしてですか、とか、何故なのですか、という恨み言よりも、シェラの胸の内には深い悲しみがあった。今年の春、一緒に花壇で種まきをした時のことや、薔薇の剪定の仕方をお教えした時のこと、もちろん、夜眠る前に寝所でどれほど楽しい時間を過ごしたかということも、シェラの脳裏をよぎって消えていかなかった。
(やっぱり、わたしが女だから?たったそれだけのことで、あの方は……)
シェラには毛頭、主君であるカル=スのことを責めようと思う気持ちはなかった。
もともとが、女であるのに男であると偽っていた自分が悪いのだから、何かあった場合、そのことについて責めを負うべきは他でもない自分だと、絶えずシェラはそう思ってカルに仕えてきた。
けれど今、予想を超えて最悪の事態が訪れてみると――もう二度とあの方のそば近くにおれないだけでなく、これからは距離的にはそばにいても、心のほうは遠く離れているといった関係なのだと思うと……シェラは悲しみのあまり、胸が潰れんばかりだった。
(カル様はきのう……もしかして、わたしが女であるとすぐお気づきになっていたのだろうか?それで、たばかられていたことをお怒りになって、それでわたしにあんな罰を……?)
そこまで考えてから、シェラは何度か首を振った。優しく柔らかい主君カル=スの手指の感触が体に甦り、あれが仮にただの戯れであったとしても、怒りとか、何か負の感情による行為であったとは、シェラには到底思えなかった。
自分の部屋へ戻ってきた時、シェラは壁の鏡を見て、首筋にもキスマークらしきものがついていたので驚いたけれど――今はもう、自分の意識のない間にカル=スが何をしたのかなど、シェラにとってはどうでもいいことだった。
そんなことより何よりも、自分が主君の不興を買ってしまったというよりは……二度と顔も見たくないと思うほどに失望させたのだと思うと、大袈裟に言うのではなく、シェラは明日にも死にたいような思いでいっぱいだった。
(カル様、わたしは、ただ……あなたのおそばにいたかった。それも、出来るだけ近くに……貴方に、もし女として愛されたらどんなだろうと、一瞬でも想像したわたしのことを許してくださるなら、もう二度と決して、心の中でもそんなことは思いませんから……)
だからもう一度、貴方のお世話をさせてください――そう涙ながらにシェラが思っていた時、不意に部屋のドアがノックされた。
シェラは急いで涙を服の袖で拭い、それから威儀を正すようにしてから、渋茶色の樫材の扉を開けた。
「イングヴェイ……」
自分の肩にも身長の届かぬシェラが、涙の残る顔で見上げる姿を見下ろし――(なるほど、そういうことか)と、イングヴェイは妙に納得する。
おそらくシェラ自身は気づいていないし、自分が口で男だということを力説すれば、それで通ると信じているのだろう。だが今、シェラはどこか頼りなげな少女のような面持ちをしており、おそらくはこれと似た「女の顔」を時々していたとすれば……それを無視し続けるのは、たとえカル様でも難しかったに違いないと、イングヴェイはそう思った。
「どうした、卿?まさか、朝食も食べずにもう出立するのか?」
今朝方会った時とは違い、騎士として盛装しているイングヴェイの姿を見て、シェラは驚いていた。
「ああ。朝食ならばすでに軽く、自分の部屋で済ませたのでな。私はこれから直接、辺境デーニスまで赴き、反乱軍を鎮圧しにいくつもりだ。その前にシェラ、卿に一言挨拶をと思ったのでな」
「そうか……それできのう、酒宴の席の途中でカル様と一時退座していたのだな。ア=イアン=メイデは、貴公の治める封土と隣接しているから、そこを鎮圧すればア=イアン=メイデの領土はそのまま卿のものということになる」
「……………」
(いや、酒宴の席を一時退座したのは、カル様とおまえのことを話すためだったんだがな)――と言いかけて、イングヴェイは口を噤んだ。中へ入るといい、というように、シェラはドアを開いたが、「いや、ここでいい」と言って、イングヴェイは首を横に振る。
「カル様はずっと前から、シェラ、おまえが女だということをご存知だった」
「……………!!」
「それで、卿が魔戦将軍の最後のひとりとなった時――私にだけ、こう打ち明けられたのだ。シェラが女であるということで、何か窮屈な思いをすることがないよう、よく見てやって欲しい、とな。あの方の深いお気持ちを、卿はゆめゆめ疑わぬことだ。私がシェラ、出立の前におまえに伝えておこうと思ったのは、それだけだ」
シェラは思ってもみなかったイングヴェイの言葉に、驚きのあまり暫く微動だにしなかった。それから、イングヴェイが何かにつけ、自然と自分を擁護するような立場に立ってくれたことを思いだし――彼の決して押しつけがましくない優しさに、深く思い至ったのだった。
「ありがとう、イングヴェイ……」
通廊に向かって去っていく、第一の魔戦将軍の背中に向かい、シェラはそう声をかけた。カル様の言葉を伝えてくれてありがとう、との気持ちももちろんあったが、それだけではなく――むしろ、これまで<女>とわかっていながら、仲間として対等に扱い、同時に守り助けてくれたことに対し、シェラはそうイングヴェイに言葉を投げかけたのだった。
>>続く……。。。
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