【トワイライト・ファンタジー】エドワード・ロバート・ヒューズ
今回でやっと最終回です♪(^^)
えっと、今回は石井美樹子先生の「中世の食卓から」っていう本より引用した箇所が一箇所あるので……まずその部分についてのお話から。。。
>>ベリー・セント・エドマンズは、大学町で知られるケンブリッジから西方40キロほどの、国道45号線ぞいの町である。昔は、この町の近くを流れるリトル・ウーズ川や、ケンブリッジを横切るケム川ではうなぎがだいぶ獲れたらしい。このあたりのファーストフードの店ではいまでも、揚げたタラといっしょに、揚げたうなぎを売っている。ケンブリッジ近くのケム川ぞいの門前町イーリーは、イール(eel)、つまり「うなぎ」にちなんで名づけられたという。
……つまり、↓の中でシェラが言ってるのは、そゆことなんだと思ってくださいww(^^;)
うん、シェラの名前のイー・リーは、ウィキ見ると、ジェイク・E・リーからっていうことらしいっていうのは、一応わかってるっていうことで
まあ、ここからあとの前文は、いつもどおりどうでもいい話でも……と思います(笑)
わたし、カルの容姿の中で一番好きなのが髪型なんですけど、バスタ以前の漫画で主人公orその敵役である親友☆がふたりとも銀髪って、かなり珍しい設定のような気がするんですよね(^^;)
今はデスノの二アとか銀さんとか、銀髪の登場人物はある意味トレンド(?)っぽい気がするものの……カラーとかで見てて、D・Sの髪が銀髪でもまったく違和感なかったのは、今にして思うと少し不思議な気がしたり。。。
銀髪ってどこか、銀色の綺麗な髪っていうよりも、白髪っぽい感じで捉えられかねないな~っていうのがありますよね、たぶん
でもD・Sもカルも、ふたりとも最初から銀髪で、そんでもって碧い瞳っていうのは、今にして思うと「親子だから☆」っていう設定があったからなのかな、なんて(^^;)
なんにしても今、エルリック・サーガの第1巻目を読んでて、めっちゃ面白いです♪(^^)
主人公のエルリックは白子なので、当然髪の毛白いんですけど……天野喜孝先生のエルリックはめっちゃ格好いい!!というか。
この本は昔、わたしがまず第一にファンタジーを書きたいと思ってた頃、読みたい本の30位以内くらいに入ってた一冊なんですよね(^^;)
まあその後、ある理由からファンタジーからは離れたんですけど、今回読むきっかけになったのは、もしかしたらカルの存在が大きいかもしれません。。。
というのも、洗脳中のカルって、カラーで見ると瞳が紅いので……そこでエルリックのことを思いだして借りてきたといったよーな次第です♪(^^)
ではでは、なんか自分でも思ったより連載が長くなっちゃったんですけど、今回もまたカルシェラDEらぶえっちな話を書けて、自分的には大満足でした(笑)
それではまた~!!
Cool&Passion2-【9】-
「シェラ、起きているか?」
<奏上の儀>で決定した法律事項に関し、カルは夕方まで書斎にこもり、王印を押し続けたのち――それらを書記の手に渡してから、シェラの部屋の前まで来ていた。
夕食のほうは、自分が見舞いがてらシェラに運ぶとユノスに言い渡し、カルは彼の手から銀の盆を受けとると、それを両手に持ってジューダス城の東の翼まで来ていたのであった。
「……………」
暫くしても返事がないのを確かめ、カルはシェラの部屋の中へそっと足を踏み入れることにする。
室内には宵闇の気配がたれこめ、ひっそりとしていた。
カルは居間のテーブルの上に、昼食の盆があるの見、その蓋を開けてみた。鶏肉の照り焼きにも、サラダにもパンにも手はつけられていなかったが――唯一、デザートのさくらんぼにだけ、口をつけたような形跡がある。
それからカルは、薄暗い室内で、自分もかつて今と同じような思いをシェラにさせていたのだということに、ふと気づいた。
『もう、カル様ったら、どうしてそんなに粗食なんですか!?ほら、今日は美味しいうなぎのパイがメインディッシュなんですよ。もしわたしのことがお嫌いじゃないなら、召し上がってくださいね!』
『シェラ、うなぎとオマエの間に、一体どんな相関関係がある?』
カルはもともと、うなぎという魚が好きになれなかった。というより、あのぬるぬるとした姿を思いだしただけで――それを調理したものを食べること自体、論外だった。
『だって、うなぎは英語でイールでしょう?そして、このうなぎは王領内にある、うなぎがとれることで有名な、イーリー村のものなんです。だから、わたしのことがお嫌いじゃないなら、このうなぎパイは是非ともカル様に食べていただかないと!』
随分無理のあるこじつけだと、その時カルは思った。
だが、何故かシェラの言うことには説得力があって逆らえず、カルは仕方なくそのうなぎパイを食べることにしたのだ。
果たしてその味のほうはというと――うなぎ、とさえ聞いていなければ、なんと美味しい珍味だろうと思えるほどのもので、以来カルは、相変わらずうなぎは嫌いだったものの、うなぎパイについては進んで食べるようになったのだった。
(夕食は、オレイユ料理長に言って粥を作ってもらったが……出来れば冷めないうちにシェラには食べてもらわないとな)
そう思ってからカルはまた、シェラが毎日のように「冷めないうちにお召しあがりくださいね!」と繰り返し言っていたことを思いだし、自分の幼稚さ加減が、今さらながらいささか恥かしくなってくる。
カルはとりあえず一旦、樫のテーブルの上へ銀の盆を置き、シェラが眠っているであろう、寝室の様子を窺った。
もし起きているとすれば、居間で人の気配がしたのがわかったに違いない。
にも関わらず、なんの音沙汰もないということは――彼女が眠っているに違いないとカルは見当をつけ、それでも一応「シェラ、入るぞ」と一声かけてから、寝室のほうへカルは足を踏み入れた。
寝室は居間よりも暗かったが、それもそのはずで、窓にはカーテンが閉めてあった。
カルは天蓋付きのベッドのほうで、シェラの寝息がするのを聞きつけ、そちらへ向かうと、ベッドサイドに静かに腰掛けた。
ナイトテーブルの上には、蜜色の薬瓶が置いてあり、それにはシェラが口をつけたと思しき痕跡があった。ユノスが言っていた<薬>というのは、おそらくこれのことに違いないと、カルはそう見当をつける。
「シェラ、すまなかった……」
頬が微かに上気したように赤くなっているのを見ても、シェラに熱があるのは明らかだった。そして、カルはシェラの額に手をあて、彼女の熱を冷気によって吸いとりながら――(もっと早くに自分がここへ来ていれば……)と深く後悔したのだった。
「私がオマエにしてやれることなど、こんなことしかないというのにな」
それからカルは、熱っぽいシェラの頬に冷たい自分の手をあてて撫でた。
「う、ん……」と、シェラのいつも以上に赤く見える唇から、吐息のようなものが洩れる。
(私は本当に、ずるくて汚い、卑怯な人間だ……)
そう思いながらもカルは、その時自分の身内に走った衝動を抑えることが出来なかった。
ナイトテーブルの上の、薬瓶を手にとり、それを口に含むと――シェラの唇に自分のそれを重ねて、飲みこませる。
ごくり、とシェラが喉を鳴らす音が聞こえたが、一向彼女が目を覚ましそうな気配はない。
そこでカルは、同じことを二度、三度と繰り返してから、ベッドの上掛けを取り、さらにはシェラのレースの薄物も左右に分け……彼女の首筋や胸や下腹部に、キスしはじめたのだった。
カルの冷気を帯びた冷たい唇はシェラの体の熱を吸いとり、シェラはその冷たくて心地好い感覚により、やがてぼんやりと目を覚ましていた。
だが、シェラはまだ夢見心地だったせいもあり――自分の主君がレースの薄物をはいで、その上から冷たい手指や唇で愛撫する姿を見ても、不思議と驚かなかった。
(きっとまた、夢を見ているんだわ……)
体の熱さと、主君の手指や唇の冷たさがほどよくブレンドされて、それだけでもシェラは気持ちよくて仕方なかった。一生これをし続けて欲しいと思うほどだったけれど、足の間に冷たい指が侵入してきた時に初めて――シェラの意識は、おもむろにはっきりと覚醒したのだった。
「あっ……い、いやっ……!!」
それと同時にシェラは、声を洩らしてしまったことを後悔した。
彼女の体の熱を冷ますことに専心していた主君が、ふと気づいたように、シェラの顔を見上げてくる。
「シェラ、体の具合は大丈夫か……?」
今のこの状態で、大丈夫も何もなかったに違いないが、シェラの体の中で、おそらく今もっとも熱くなっている中に、指を入れることをカルはやめなかった。
むしろ、もっとも熱いそこをこそ冷ます必要があるとばかり、指だけでなく、舌までも使って丁寧に愛撫しはじめる。
「カ、カル様……ど、どうし……どうして……っ!!」
ここに、という言葉は、声にならなかった。
まるで焦らすように、熱をもった太ももに唇をはわせ、それから指よりもずっと太くて硬いものが――シェラの中にゆっくりと差し入れられる。
カル=スは、生まれつき備わった強い魔力をコントロールするのと同じく、射精するのを保留したり、遅くさせたりする方法を知っていた。
というのも昔、まだ子供だった頃、ダーク・シュナイダーの部屋に閨房術に関する本があるのを読んだことがあるのだ。
その頃、閨房という言葉が何を意味するのかすらカルは知らなかったが、ただ純粋に知識としてその本を読んでいたカルに向かい――ダーク・シュナイダーはこう言ったものだった。「このマセガキめ。百年早い」と……。
「あっ……カル様、カル様……っ!!」
(おかしくなっちゃう!!)というシェラの声を言外に聞きながら、カルはなかなか彼女の中に射精しなかった。焦らしながらシェラの女を愉しみ、また彼女の中で愉悦がさらに高まるのを待ってから――最後に、シェラが背中に立てた爪の痛みによって、ようやく果てたのだった。
「カル様、ご、こめんなさ……っ!!」
自分の長く伸びた爪が主君の背中に食いこむのを感じ、カルが体を離すなり、シェラはその傷について心配しはじめた。
「いや、気にすることはない。というより、これがいつも見る夢でないことの証しになって、むしろちょうどいい」
荒い息の間からカルはそう答えたが、まさかシェラにその意味が通じようとは――カルも思ってなかったに違いない。
「ゆ、夢……これ、夢じゃないんですね!?」
シェラは今さらながら、レースの薄物を自分の前でかき合わせ、顔を赤くしていた。
「わたし、近ごろ、カル様にこんなふうにされる夢ばかり見ていて……たぶんそれは、わたしが、その……そういう気持ちをカル様に持っているから……だから、それで……」
黙っていればわからないはずのことを、シェラが素直に話すのを聞き、カルは彼女のことがますます可愛らしくてたまらなくなった。
「いや、それは私もおまえと同じだ、シェラ。私はいつも、邪まな気持ちを持っておまえのことを見ていたから……ここのところ、そういう種類の夢を、私もよく見ていた。とても夢とは思えないくらいリアルで、生々しくて――それでつい、おまえも私と同じ気持ちなのに違いないと錯覚し、この間はあんな真似を……」
この間、というのがいつのことなのか、シェラは思いだすのに時間がかかった。
それから「あっ!」と声にだして思いだし、ますます顔を赤らめたのだった。
「シェラ、愛してる……」
これがもし、普通の時だったなら――シェラもおそらく、すぐには自分の主君の言葉が真実であると、信じられなかったに違いない。
でも今は、言葉でうまく説明することは出来ないにしても、彼女には確証があった。
自分がカル=スのことを想うのと同じくらいの強い思いを、彼が自分に対して持ってくれているのだということが……。
「わたしも、カル様……ずっと前から、カル様のことを……」
この時不思議とシェラは、カルが一体いつ自分が女であると気づいたのかとか、そうしたことについては、まったく何も考えなかった。
ただ、カルが女としての自分を愛してくれていることが嬉しく、彼の胸の中で自分の鼓動と主君のそれとが重なる音を聴けることが、喜ばしくてならなかったのだった。
「シェラ、熱が下がったら、また私の世話をしてくれるか?」
お互いの体をしっかり抱きあいながら、耳元にそうカル=スが囁くのを聞き、シェラは幸せそうに微笑した。
「もちろんです、カル様!これからは今まで以上に、色々サービスさせていただきますから!!」
「そうか。じゃあ、私もこれから……おまえが私に良くしてくれるごとに、お返しをすることにしよう。もっとも私の場合、昼間のシェラの親切に対し、夜に返礼するということになりそうだがな」
「もう、カル様ったら!!」
そう言ってシェラは、最愛の主君カル=スの胸を叩き、それからそうしたことを後悔したように、すぐ彼の背中に手を回して、再び抱きついたのだった。
終わり
今回でやっと最終回です♪(^^)
えっと、今回は石井美樹子先生の「中世の食卓から」っていう本より引用した箇所が一箇所あるので……まずその部分についてのお話から。。。
>>ベリー・セント・エドマンズは、大学町で知られるケンブリッジから西方40キロほどの、国道45号線ぞいの町である。昔は、この町の近くを流れるリトル・ウーズ川や、ケンブリッジを横切るケム川ではうなぎがだいぶ獲れたらしい。このあたりのファーストフードの店ではいまでも、揚げたタラといっしょに、揚げたうなぎを売っている。ケンブリッジ近くのケム川ぞいの門前町イーリーは、イール(eel)、つまり「うなぎ」にちなんで名づけられたという。
……つまり、↓の中でシェラが言ってるのは、そゆことなんだと思ってくださいww(^^;)
うん、シェラの名前のイー・リーは、ウィキ見ると、ジェイク・E・リーからっていうことらしいっていうのは、一応わかってるっていうことで
まあ、ここからあとの前文は、いつもどおりどうでもいい話でも……と思います(笑)
わたし、カルの容姿の中で一番好きなのが髪型なんですけど、バスタ以前の漫画で主人公orその敵役である親友☆がふたりとも銀髪って、かなり珍しい設定のような気がするんですよね(^^;)
今はデスノの二アとか銀さんとか、銀髪の登場人物はある意味トレンド(?)っぽい気がするものの……カラーとかで見てて、D・Sの髪が銀髪でもまったく違和感なかったのは、今にして思うと少し不思議な気がしたり。。。
銀髪ってどこか、銀色の綺麗な髪っていうよりも、白髪っぽい感じで捉えられかねないな~っていうのがありますよね、たぶん
でもD・Sもカルも、ふたりとも最初から銀髪で、そんでもって碧い瞳っていうのは、今にして思うと「親子だから☆」っていう設定があったからなのかな、なんて(^^;)
なんにしても今、エルリック・サーガの第1巻目を読んでて、めっちゃ面白いです♪(^^)
主人公のエルリックは白子なので、当然髪の毛白いんですけど……天野喜孝先生のエルリックはめっちゃ格好いい!!というか。
この本は昔、わたしがまず第一にファンタジーを書きたいと思ってた頃、読みたい本の30位以内くらいに入ってた一冊なんですよね(^^;)
まあその後、ある理由からファンタジーからは離れたんですけど、今回読むきっかけになったのは、もしかしたらカルの存在が大きいかもしれません。。。
というのも、洗脳中のカルって、カラーで見ると瞳が紅いので……そこでエルリックのことを思いだして借りてきたといったよーな次第です♪(^^)
ではでは、なんか自分でも思ったより連載が長くなっちゃったんですけど、今回もまたカルシェラDEらぶえっちな話を書けて、自分的には大満足でした(笑)
それではまた~!!
Cool&Passion2-【9】-
「シェラ、起きているか?」
<奏上の儀>で決定した法律事項に関し、カルは夕方まで書斎にこもり、王印を押し続けたのち――それらを書記の手に渡してから、シェラの部屋の前まで来ていた。
夕食のほうは、自分が見舞いがてらシェラに運ぶとユノスに言い渡し、カルは彼の手から銀の盆を受けとると、それを両手に持ってジューダス城の東の翼まで来ていたのであった。
「……………」
暫くしても返事がないのを確かめ、カルはシェラの部屋の中へそっと足を踏み入れることにする。
室内には宵闇の気配がたれこめ、ひっそりとしていた。
カルは居間のテーブルの上に、昼食の盆があるの見、その蓋を開けてみた。鶏肉の照り焼きにも、サラダにもパンにも手はつけられていなかったが――唯一、デザートのさくらんぼにだけ、口をつけたような形跡がある。
それからカルは、薄暗い室内で、自分もかつて今と同じような思いをシェラにさせていたのだということに、ふと気づいた。
『もう、カル様ったら、どうしてそんなに粗食なんですか!?ほら、今日は美味しいうなぎのパイがメインディッシュなんですよ。もしわたしのことがお嫌いじゃないなら、召し上がってくださいね!』
『シェラ、うなぎとオマエの間に、一体どんな相関関係がある?』
カルはもともと、うなぎという魚が好きになれなかった。というより、あのぬるぬるとした姿を思いだしただけで――それを調理したものを食べること自体、論外だった。
『だって、うなぎは英語でイールでしょう?そして、このうなぎは王領内にある、うなぎがとれることで有名な、イーリー村のものなんです。だから、わたしのことがお嫌いじゃないなら、このうなぎパイは是非ともカル様に食べていただかないと!』
随分無理のあるこじつけだと、その時カルは思った。
だが、何故かシェラの言うことには説得力があって逆らえず、カルは仕方なくそのうなぎパイを食べることにしたのだ。
果たしてその味のほうはというと――うなぎ、とさえ聞いていなければ、なんと美味しい珍味だろうと思えるほどのもので、以来カルは、相変わらずうなぎは嫌いだったものの、うなぎパイについては進んで食べるようになったのだった。
(夕食は、オレイユ料理長に言って粥を作ってもらったが……出来れば冷めないうちにシェラには食べてもらわないとな)
そう思ってからカルはまた、シェラが毎日のように「冷めないうちにお召しあがりくださいね!」と繰り返し言っていたことを思いだし、自分の幼稚さ加減が、今さらながらいささか恥かしくなってくる。
カルはとりあえず一旦、樫のテーブルの上へ銀の盆を置き、シェラが眠っているであろう、寝室の様子を窺った。
もし起きているとすれば、居間で人の気配がしたのがわかったに違いない。
にも関わらず、なんの音沙汰もないということは――彼女が眠っているに違いないとカルは見当をつけ、それでも一応「シェラ、入るぞ」と一声かけてから、寝室のほうへカルは足を踏み入れた。
寝室は居間よりも暗かったが、それもそのはずで、窓にはカーテンが閉めてあった。
カルは天蓋付きのベッドのほうで、シェラの寝息がするのを聞きつけ、そちらへ向かうと、ベッドサイドに静かに腰掛けた。
ナイトテーブルの上には、蜜色の薬瓶が置いてあり、それにはシェラが口をつけたと思しき痕跡があった。ユノスが言っていた<薬>というのは、おそらくこれのことに違いないと、カルはそう見当をつける。
「シェラ、すまなかった……」
頬が微かに上気したように赤くなっているのを見ても、シェラに熱があるのは明らかだった。そして、カルはシェラの額に手をあて、彼女の熱を冷気によって吸いとりながら――(もっと早くに自分がここへ来ていれば……)と深く後悔したのだった。
「私がオマエにしてやれることなど、こんなことしかないというのにな」
それからカルは、熱っぽいシェラの頬に冷たい自分の手をあてて撫でた。
「う、ん……」と、シェラのいつも以上に赤く見える唇から、吐息のようなものが洩れる。
(私は本当に、ずるくて汚い、卑怯な人間だ……)
そう思いながらもカルは、その時自分の身内に走った衝動を抑えることが出来なかった。
ナイトテーブルの上の、薬瓶を手にとり、それを口に含むと――シェラの唇に自分のそれを重ねて、飲みこませる。
ごくり、とシェラが喉を鳴らす音が聞こえたが、一向彼女が目を覚ましそうな気配はない。
そこでカルは、同じことを二度、三度と繰り返してから、ベッドの上掛けを取り、さらにはシェラのレースの薄物も左右に分け……彼女の首筋や胸や下腹部に、キスしはじめたのだった。
カルの冷気を帯びた冷たい唇はシェラの体の熱を吸いとり、シェラはその冷たくて心地好い感覚により、やがてぼんやりと目を覚ましていた。
だが、シェラはまだ夢見心地だったせいもあり――自分の主君がレースの薄物をはいで、その上から冷たい手指や唇で愛撫する姿を見ても、不思議と驚かなかった。
(きっとまた、夢を見ているんだわ……)
体の熱さと、主君の手指や唇の冷たさがほどよくブレンドされて、それだけでもシェラは気持ちよくて仕方なかった。一生これをし続けて欲しいと思うほどだったけれど、足の間に冷たい指が侵入してきた時に初めて――シェラの意識は、おもむろにはっきりと覚醒したのだった。
「あっ……い、いやっ……!!」
それと同時にシェラは、声を洩らしてしまったことを後悔した。
彼女の体の熱を冷ますことに専心していた主君が、ふと気づいたように、シェラの顔を見上げてくる。
「シェラ、体の具合は大丈夫か……?」
今のこの状態で、大丈夫も何もなかったに違いないが、シェラの体の中で、おそらく今もっとも熱くなっている中に、指を入れることをカルはやめなかった。
むしろ、もっとも熱いそこをこそ冷ます必要があるとばかり、指だけでなく、舌までも使って丁寧に愛撫しはじめる。
「カ、カル様……ど、どうし……どうして……っ!!」
ここに、という言葉は、声にならなかった。
まるで焦らすように、熱をもった太ももに唇をはわせ、それから指よりもずっと太くて硬いものが――シェラの中にゆっくりと差し入れられる。
カル=スは、生まれつき備わった強い魔力をコントロールするのと同じく、射精するのを保留したり、遅くさせたりする方法を知っていた。
というのも昔、まだ子供だった頃、ダーク・シュナイダーの部屋に閨房術に関する本があるのを読んだことがあるのだ。
その頃、閨房という言葉が何を意味するのかすらカルは知らなかったが、ただ純粋に知識としてその本を読んでいたカルに向かい――ダーク・シュナイダーはこう言ったものだった。「このマセガキめ。百年早い」と……。
「あっ……カル様、カル様……っ!!」
(おかしくなっちゃう!!)というシェラの声を言外に聞きながら、カルはなかなか彼女の中に射精しなかった。焦らしながらシェラの女を愉しみ、また彼女の中で愉悦がさらに高まるのを待ってから――最後に、シェラが背中に立てた爪の痛みによって、ようやく果てたのだった。
「カル様、ご、こめんなさ……っ!!」
自分の長く伸びた爪が主君の背中に食いこむのを感じ、カルが体を離すなり、シェラはその傷について心配しはじめた。
「いや、気にすることはない。というより、これがいつも見る夢でないことの証しになって、むしろちょうどいい」
荒い息の間からカルはそう答えたが、まさかシェラにその意味が通じようとは――カルも思ってなかったに違いない。
「ゆ、夢……これ、夢じゃないんですね!?」
シェラは今さらながら、レースの薄物を自分の前でかき合わせ、顔を赤くしていた。
「わたし、近ごろ、カル様にこんなふうにされる夢ばかり見ていて……たぶんそれは、わたしが、その……そういう気持ちをカル様に持っているから……だから、それで……」
黙っていればわからないはずのことを、シェラが素直に話すのを聞き、カルは彼女のことがますます可愛らしくてたまらなくなった。
「いや、それは私もおまえと同じだ、シェラ。私はいつも、邪まな気持ちを持っておまえのことを見ていたから……ここのところ、そういう種類の夢を、私もよく見ていた。とても夢とは思えないくらいリアルで、生々しくて――それでつい、おまえも私と同じ気持ちなのに違いないと錯覚し、この間はあんな真似を……」
この間、というのがいつのことなのか、シェラは思いだすのに時間がかかった。
それから「あっ!」と声にだして思いだし、ますます顔を赤らめたのだった。
「シェラ、愛してる……」
これがもし、普通の時だったなら――シェラもおそらく、すぐには自分の主君の言葉が真実であると、信じられなかったに違いない。
でも今は、言葉でうまく説明することは出来ないにしても、彼女には確証があった。
自分がカル=スのことを想うのと同じくらいの強い思いを、彼が自分に対して持ってくれているのだということが……。
「わたしも、カル様……ずっと前から、カル様のことを……」
この時不思議とシェラは、カルが一体いつ自分が女であると気づいたのかとか、そうしたことについては、まったく何も考えなかった。
ただ、カルが女としての自分を愛してくれていることが嬉しく、彼の胸の中で自分の鼓動と主君のそれとが重なる音を聴けることが、喜ばしくてならなかったのだった。
「シェラ、熱が下がったら、また私の世話をしてくれるか?」
お互いの体をしっかり抱きあいながら、耳元にそうカル=スが囁くのを聞き、シェラは幸せそうに微笑した。
「もちろんです、カル様!これからは今まで以上に、色々サービスさせていただきますから!!」
「そうか。じゃあ、私もこれから……おまえが私に良くしてくれるごとに、お返しをすることにしよう。もっとも私の場合、昼間のシェラの親切に対し、夜に返礼するということになりそうだがな」
「もう、カル様ったら!!」
そう言ってシェラは、最愛の主君カル=スの胸を叩き、それからそうしたことを後悔したように、すぐ彼の背中に手を回して、再び抱きついたのだった。
終わり
もし、原作でカルに相手ができるならネイかシェラかもしれませんが。ネイには兄のように振る舞って、シェラには少年のように振る舞うのでは・・と、妄想してみたり。
D・Sが大食漢っていう設定なので(でも味覚はないという☆)、カルは少食とか偏食なのかな~なんてww
う゛~ん原作者様的に、カルの恋愛傾向(?)がどうなってるのかって、よくわからないんですよね(^^;)
とりあえず二次的には、インカルとか、カルの本命は絶対D・Sだろうっていう意見もわかるんですけど……そこは別として、原作ではどーなんだろうっていうのが、自分的に一番気になるところなので
シェラがカルに再会した時の描写がどうなるのかによって、そこらへんってはかれる気がするものの、24巻とか25巻の続きがわかるのって、早くて十年後くらいっぽいと思うと、なんかもう絶望的な気持ちになりますよね
ネイには他にガラもいたり、シェラにはマカPがいたり……っていうのもあるので、まあ結局のところ、CPについては読者のお好みで☆っていうのが一番(?)なんでしょうか(^^;)
なかちーさん、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました♪