( 8½ )(50)VR奥儀皆伝 TP-VR Attract. 謎解き・テーマパークVR Web版

2022-04-15 | バーチャルリアリティ解説
Number50 / パーク VRアトラクションの 品格
                          【( 8½ )総目次 】
 日本の品格「四書五経」が作った(10) VR之極意:③

 Ⅶ. 日本の品格 は「四書五経」が作りました
《 本Blogの 今回の頁は引用できます。本頁は鋳型化されました。2022.05.02 鋳型化ここから 》

 □ 人に勝つ者は 力あり。自らに勝つ者は 強し 『老子』
 ■ 他人と競争して勝つもの は「力がある」が、強者ではない。
 私欲私情に勝つことのできる者 が、強者である。

 (50)「家紋つき自動車 ⑤」(薔薇十字団物語 ⑨)

新幹線(1964年)の マンマシン・システムは、フィードフォワードで
安全です。乗っていて、とても安心感を感じます(49。これと同様に、
I・サザランドスケッチパッド』の発明者)が 米国 国防科学の予算配分
の責任者になった時、フィードフォワードで設計される 通信システムに
予算を重点的につけたことで  宇宙ロケットの打ち上げなどが(化生論の
科学として)成功裏に進められ、NASAによる人類初の
   月着陸に成功した
「アポロ11号」のミッションで 死傷者が出なかった )と 私は考えています。

 ※ I・サザランド氏は、院生のとき『スケッチパッド』(1963年)を発明しました。
1964年から アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)で(有名な)リックライダー氏
の後任(IPTOの長)になり、コンピュータ関連の研究開発に 予算を配分しました。
その予算は、ミサイル開発費や NASAの予算とは別勘定の指揮命令に関わる 通信シス
テムの構築だったと推測され「核戦争の最中に、司令官が即時に 必要な情報をネット
ワークで集めると共に、指令部から(恐らく)迎撃ミサイルの発射角度も変えられる
冷戦下の想定に基づいた「双方向即時通信 コンピュータ・ネットワーク」(フィード
フォワード)の研究ではなかったか、と推測できます。
 このときの通信システムが、核攻撃の為だけの フィードバック(単細胞)システム
ではなく、「システムの故障」なども自己診断できる フィードフォワード制御だった
事から、このソフト開発が NASAで実装されて、ミッションコントロールの 安全運行
が可能となり、
   「月の石が 獲得できた」と 私は考えているのです。

フィードフォワード=ディー博士の魔法=一般システム科学、です。 

ところで、新幹線の安全思想は、
   「二人の運転手」「専用レーン」「発車と停車時の車外からの監視」
などによって担保されています(49)。 フィードフォワードです。

   新幹線 先頭車(二人の運転手)
   専用レーン     ・・・     総合指令所
   駅員による安全確認

Google社の AI自動運転車は(現在の公表では)既存の ガソリンエンジン車
と同様に、死傷者の発生をやむを得ないと黙認する フィードバック型 安全
思想を踏襲しているように思えます(49)。私の間違い だと良いのですが。

昨今の「猫ブーム」は、2012年に Google社の AIが「猫」を認識できたこと
から(避けられそうなので)その話題を受けて「猫の動画」が YouTube上に
数多く投稿されて生まれた流行です。しかし、AIドライバーの自動運転は 猫
の他にも、「犬」「奈良の鹿」「芦屋の いのしし」「人間の子供」「子供の
ボール」なども回避できなくては、いけません。そもそも、
   「生き物の立ち入らない 専用レーン」が確保されなくては、

Google社の自動運転車は、安全とは呼べません。

AI 自動運転車は、最初から「新幹線」を模範にすれば良かったのです(49)


スケッチパッド』 / 「新幹線 0系」 / 芦屋ロックガーデン「野生のイノシシ」食物を与えたり、驚かせる事は厳禁です。

スケッチパッド』(1963年)や『プリント倶楽部』(1995年)は フィード
フォワードの構成を持っており、そのインタラクティブ性は VRと同じ です。
(VRの特徴の一つである多感覚は、ありませんが。)

ついでに これも解説しておくと、
   NASA エイムズ研究室の「HMD+データグローブ」の実験(1986年)
から「バーチャルリアリティ」(VR)が誕生しています。

 ※ NASAの エイムズ研究所は 1980年代に HMD+データグローブを 組み合わせて
みようと考え、部材を発注しました。発注者は スコット・フィッシャー氏です。それ
まで NASAでは HMDの実験を I・サザランド氏が試みて以来 長く続けていましたが、
これといった成果が出ていません。ところが「グローブ」(手袋型の入力デバイス)
を発注して HMDに組み合わせてみたところ「言葉にできない感動」をフィッシャー
氏が その時に初めて感じたそうです。
 その際 NASAに「グローブ」を納品したチームの一人(データグローブの発明者)が
ジャロン・ラニアー氏でした。ラニアー(本人の名刺では レニアー)氏が「バーチャル
リアリティ」(VR)という言葉を 1989年に思いつき、Texpo '89 の自社(VPL社)の
ブースで発表しました。Virtual は フィッシャー氏の研究「Virtual Environment」からの
借用で、(例えば)火星から電送された CG映像を 壁紙のように周囲に貼り付け、火星
探査機が見た光景などを地球上で再構成する(まだ未知の)試みを意識したネーミング
です。Texpo '89 の VPL社ブースでは、同社の新製品、DataGloveと EyePhone を装着し
て 実世界では別の場所にいる二人が Autodesk社の用意した(バーチャルな)3D-CGの
サイバースペースで合流し「介護」のデモを共労できました。観客は全員 1984年に話題
になった SF小説『ニューロマンサー』の世界が現実に体験できる、ことを喜びました。
その感覚は、映画『マトリックス』(1999年)で映像化されています。

 ※ そして、人間・電子計算機間インタフェースのことを、1987年の NASA エイムズ
研究室で実験していた時は、関係者が「人工現実感」(AR)と呼んでいました。その
Artificial Reality + Virtual Environment( 米科学誌1987年Oct号 Foley記事 )のことを 
ラニアー氏は 自社製品の宣伝のため(1989年から)VR + Cyberspace と呼びました。
VRは VPL社の製品から、そして Cyberspaceは Autodesk社の製品を通じ、世界に知ら
れて行きました。映画『マトリックス』の公開時には、VRのほうが有名でした。

 ※ フィッシャー氏たちが Virtual Environmentで解決したいと思っていた その当時の
NASAの悩みというのは こういうものでした。宇宙船内部の壁の面積が、操縦に必要な
全ての計器を表示するのに 足りなくなったのです。そのとき考えたのは、アナログの
計器をデジタル(CG)に変えることでした。CGの計器類を(必要な都度)HMD上に
呼び出し、その計器を「グローブ」で スイッチ操作するのです。
 内視鏡手術ロボット『ダヴィンチ』のアイデアも、このとき生まれています。宇宙
船の乗組員の盲腸の手術を、外科医が 地上から遠隔で行ないます。湾岸戦争時には、
陸上の野戦病院での手術を 戦艦上から外科医が行なう実験も行なわれました。

 ※ VRのルーツの一つである NASAの安全思想は、死傷者ゼロを目指しています。

 ※ Artificial Reality「AR 人工現実感」= 1989年以前の VRについては 稿を改めます。
 ARの参考書は、提唱者 Myron Krueger著『Artificial Reality 2』(原著 1983年、改訂
 版1991年、邦訳あり)です。なお、こうした VR初期の歴史については、ハワード・
 ラインゴールド著『バーチャル・リアリティ』(沢田監訳、ソフトバンク 1992年)
 に詳しく書かれています。VR学会の会員番号 2桁の先生の研究室に、必ずあります。



SDGsの思想は「持続可能」であること(その場所で 住民が安心かつ安全
に長く暮らせる社会の構築)ですから、Google車が 芦屋を走行した事で
「野良いのしし」の死体が積み上がる ようなことがあっては「本末転倒」
ですし、「猫」を愛でるようになった同社の AIにも 気の毒です。「科学」
は、死体や 奴隷を作りません。
また Amazon社のドローン宅配についても、新幹線方式では 宅配コース上
に鳥のいないことと、下の土地に無人の「専用レーン」が本来 必要でした。
安心かつ安全なドローン宅配は、そのようにして 完成します。そして、
   宅配ドローン「専用レーン」の 起点と終点
には(当然)安全監視のための AIが、移動体の外部に必要です。

フィードフォワードが、安全を保障しているのです。

ということで、以前(47)に 誤った研究だと 次の3つを指摘しましたが、

 ・ Google社が 2016年 米国交通安全局(NHTSA)に申請した「AIドライバー」の自動運転車。
 ・ Amazon社の 2014年からの「ドローン配送」実験サービス。(21年、チームを一時解雇。)
 ・ Amazon社の 2018年からの「ホームロボット開発」一環の全自動介護ロボット(仮称)。

上の二つについての安全性を「低」だと 私は評価しました。新幹線の方式
を参考にしておらず、現状は 死傷者の出る可能性があるからです。三つ目
 については、稿を改めます。
逆に言えば、日本は Society 5.0が安全であることを示すために、
   Google社や Amazon社製品を 全く連想させない工業デザイン
で そのシステムを世界に示す必要があると思います。

意匠を日本独自のデザインに変えなければ、大阪万国博などに公式展示
された日本企業の自動運転システムなどが、一見して 国外特許に うっ
かり酷似していて訴訟された場合、外国の弁護士は
「ずるい日本人技術者が、DARPAなどで開発された 米国の双方向 即時
通信の制御技術を借用して 盗用した」と、外国の法廷で陪審員の健全な
常識(?)に訴えて、熱弁を ふるうかもしれません。

 ※ これは、1973年に田中内閣が、大変にまずい対米交渉の前例を 自動車産業で
 やってしまったことも 問題をこじらせる原因でした。また「IBM 産業スパイ事件」
では 過剰な示談金が払われ、IBM社の弁護士たちの勲章に なりました。(これらは
改めて論じます。通産省にも 責任の一旦がありました。)なお、IBM大型機の弁護
士たちは 1992年に首になり、ソフトウェアを著作権法で守ることも、事実上 この
年に意味を失いました。ともあれ 米国で販売する商品については、

 米国の陪審員が 👎 出しする やり方で売れても 日本人の勲章に なりません。

日本人のVRの製作は、他国の市場を横取りするための開発では、断じて
ありません(46)。日本は「四書五経と歌物語」で知られる、品格ある
中世からの文明国家だからです。日本発の VRは、IVRCアーカイブにも
見られる通り、「高い品位と技術力」で 人類の進歩と調和に貢献をして
います。諸外国と異なる日本製の VRが「GAFAMの後追い」に見られて
は いけない、というのが私の主張です。皆さんも、そう思いませんか?

そして、落ち着いて考えれば 国外から 大阪万国博を訪れた人たちの その
うち何人が「GAFAMの後追いに よく似た研究」を「日本人が 世界誇る
文化的成果物」と認めてくれるでしょう。つまり「GAFAMの後追いだ と
他国から思われかねない」研究は、
   そもそも 最初から やってはいけない「間違い」でした。

 □ 下は、世界が注目した 日本の「歌物語」に通じる意匠です;


【左】佐賀県立九州陶磁文化館監修 特別展「明治有田 超絶の美 ―万国博覧会の時代―」
ポスター(上は 兵庫陶芸美術館のもの) 写真提供:世界文化社
(写真左より)有田 染付蒔絵富士山御所車文大花瓶 1873年 有田ポーセリンパーク ウィーン万博出品作
香蘭社 染付青磁陽刻雲鶴文耳付大花瓶 1910-20年代 公益財団法人鍋島報效会
精磁会社 色絵鳳凰花唐草文透彫大香炉 1879-97年頃 個人蔵
【右】並河靖之「桜蝶図平皿」七宝 径24.6㎝ 明治時代 
清水三年坂美術館

 〇 源氏物語の 先進性

 格式ある日本の オリジナルな工芸品を世界に伝えた主要な交易路は「海のシルクロード」だったということに 改めて注意が必要です。日本の磁器や絹織物の美しさは、海を経由して 欧州を魅了していました。


 梅棹忠夫「文明の生態史観

 そして、これからの日本企業は(梅棹忠夫氏の)「東南アジア」と仲良くすることになるでしょう。最近の若い方は 私の言う「日本 = 東南アジア共労論」を(もしかすると)誤解するかも知れません。それは歴史を後戻りさせ、日本が東南アジアを植民地支配することだ、と。
 冗談は 顔だけ にして下さい。
 フェルナン・ブローデル先生(『文明の文法』)の ご見解を、次号以降にお伝えします。

 先ずは、世間からの「日本人 VR開発者」に対する誤解を 解いておきましょう。

 フランスの美女 で「東洋文学専攻」の学生さんなどから見ると、日本人の工学系「VR研究室」の学生のような「受験のために 古典文学を捨てた」教養のない、日本科学未来館の展示室の床で何も敷かずに「はんだ付け」してしまう デリカシーの無い学生たちは、もし
   源氏物語を「VR化」しなさい と課題を出されたら、
きっと『おじゃる丸』に似たキャラを「アバター」にしてお茶を濁すだろう。
 そう、フランスの美女 で「東洋文学専攻」の学生さんなどは考えるのでは、ないでしょうか。


 あさきゆめみし 新装版 講談社 / NHK Eテレ『おじゃる丸』月光町の星野ママと星野パパ (月から木 朝6時40分~)

 これは日本の誇る 教育番組『おじゃる丸』(教育効果は『セサミストリート』に負けません)にも失礼ですし、教養ある「IVRCの応募学生」にも失礼です。ぜひ、Laval Virtualなどの機会に、彼らと接して頂きたい(41)ものです。

 フランスの美女は、肝心な作品を忘れています。

 上村松園画伯の描いた 六条御息所の生霊《焔》です。


 上村松園《焔》1918年 東京国立博物館 着物の触感に注目!

 この絵は『攻殻機動隊』に比べても 見劣りしません(笑)。(詳細は 次号以降に。)
 日本は「四書五経と歌物語」で、欧米にその名が知られました。
 その伝統に立って IVRCの応募作品を開発するのであれば、工学系の学校と 芸大などでコラボすることを考えてみましょう。例えば『THE DIMENSION BOOK』(IVRC 2002)は、武蔵野美術大学+東京大学による「総合優勝」作品で、翌年 国際会議 SIGGRAPH の VR技術展示に採択されました。

それから、現在の観客の鑑賞に堪える 古典作品の脚色としては、1735年の ラモーの
歌劇《優雅なインドの国々》の 代表曲を、2019年に「ヒップホップ、クランプ、
ブレイクダンス、ヴォーギングなどの ストリートダンス」に振り付けた試みが挙げら
れます。化生論科学者のディドロが書いた 問題小説『ラモーの甥』に、ラモーの流行
曲だと言及されている歌劇です。VR化という言葉で 私が連想する「古典文芸の脚色」
は、こんな感じです。


 ラモーの歌劇『優雅なインドの国々』パリ国立オペラ座 2019年 演奏と踊り ←《必聴》/  舞台評

ここで、ラモーの このヒット曲を取り上げた理由は こういうことです。この歌劇で
は、北米 先住民(インディアン)、トルコ、南米ペルー、ペルシャ が全部「インド」
という(当時の)はるか 東方を表現する言葉で 一くくりに紹介され、彼らの側から
西洋文明を見れば「奇妙なことばかり」ではないか と、寸劇 仕立てで歌われました。
ですから、例えば、フランス人の VR作家が もしラモーに会えたとしたら、その後の
300年の フランスの国際関係を「VR仕立て」で 見せてあげられますので、
   (例えば、映画『カサブランカ』(5)なども 引用できて、)
自作の続編が見られた、と きっと喜ばれると考えたからでした。バックキャストです。

それと 同じように、

もしも 紫式部さんの ご近所に「21世紀の日本人 VR作家」が住んでいたら、彼女の
考えた歌物語の世界が、土佐派の大和絵や その後の日本の 工芸品の伝統に育まれ、
どのように流行したかを伝えられて、彼女を感激させたと思われます。

この話は、まだ続きます。

   《 鋳型化ここまで 》
   フェロー武田 「家紋自動車 ⑤」(物語 ⑨)ラモーのブレイクダンス(VR奥儀皆伝(8½)(50)
   Blog TP-VR Attract.のトリビア 2022.5.02

 「おじゃる丸」第25シリーズエンディング曲 「いとをかし」春ver 椎名林檎

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暫定総目次
 VR奥儀皆伝( 8½ )(51)に続きます。 →
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