( 8½ )(27)VR奥儀皆伝 TP-VR Attract. 謎解き・テーマパークVR Web版

2021-04-17 | バーチャルリアリティ解説
 Number27 / VR 研究者の サイトマップ   (3)~(11)
                          【( 8½ )総目次 
 どこに何を書いたか 探し回る Blog作者(私)のための「暫定 総目次」の 解説付き使い方

 (8½)も(27)回目を迎えました。現在の私たちは、例えば 大学で「VRシアター製作コース」を勉強中の 学生・社会人学生が、どんな VR技法で観客を驚かせようか、と計画を練っている所だ と思って下さい。
 それで、これを書いている私が びっくりしたことには、前回の
(26)で SDGsを視野に入れて TWI2050の趣旨に添った「VRシアターを EPCOTの日本館に創ること」は、西欧のルネッサンス時代にこれをすれば、言葉の正しい意味で「魔法 Magicと呼ばれた出来事だった事でした。(8½)(7)を参照 )私たちは、この Magicを、現在「化生論」(またはヘルメス科学)と呼んでいます。《この文章は、下 ↓ に続きます》


 画像借用元:http://art.pro.tok2.com/K/Kauf/z009.htm

(15)DL以外の「テーマパーク」の テーマは何 ?
 (【補講】ジョン・ディー博士は「制御工学」者でした。「薔薇十字団」は、数理科学者の同好会です。) 
(16) ウォルトは なぜ 「テーマパーク」の構築方法 を秘密にしたのでしょう。 併せて VR之極意。
   (15)(16)については → (29)に細かく内容を紹介しています。
(17) 数理モデルへの薔薇十字団の愛が「科学の未来」。(他に「バックキャスト」「逆工場」「 テーマパーク運営の公式」「バーチャルは仮想にあらず」「神武天皇は九州王朝分家の大和王朝の建国者」

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(3)IVRC作品に見る VRと体感劇場(前半)『人間椅子』
   『オシャレ魔女♥ラブandベリー』
   「観客(ユーザ)の自発的な操作」
   『およぐことば』「繰り返しに耐える強度」

(4)IVRC作品に見る VRと体感劇場(後半)『虫HOW?』
   『人間椅子』『YOTARO』 「作品の世界観」
   「手を動かしなさい」「感覚の数理モデル化」

(5)映画とは何か = VRの映像表現について
 「ワグナーの As Time Goes By」『映画術 ヒッチコック』
 「VR と MR / AR / AR / SR」の違い」
 『めまい』『赤ちゃん教育』『紳士は金髪がお好き』
 『米米 MUSIC RIDE』「VRの照明設計」
 「VR と MR 複合現実 / AR 人工現実 / AR 拡張現実 / SR 代替現実 の違い = VRの構成図では全部同じ

(6)VRの「リアリティ」とは 何でしょう 歌劇『ホフマン物語』のオランピア / 『レベッカ』の VR化 / 近代は いつからか )(2020.08.08)
 「VRにおける多感覚マルチセンソリーは、大画面映画の作るバーチャルな世界のリアリティに、触覚、嗅覚、味覚、体性感覚(揺れ)などを『彩り』で活用して、映画のリアリティを高める技術。」
 「VRの インタラクティブ性は、映画(体感劇場)のバーチャルな世界に観客(プレイヤ―)から直接、リアルタイムに変更を加えられること。」
 「VRは《魔術的 = ヘルメス学(化生論)的》な科学思想に分類されること。」
 『レベッカ』(VR レベッカ)「絵コンテ」「キャラクターの使用許諾」
 「デカルトの『方法序説』1637年。文献学者 カソーボンの『ヘルメス文書』偽書説 1614年。
 「フランセス・イエイツ女史や 坂本賢三先生らの発見した ヘルメス科学(化生論)の学燈に関する意外な事実を、今回 2020.08.08 から載せて行きます。」

 【参考資料】オッフェンバック《ホフマン物語》「オランピアの歌シュトライヒ

(7)プレショーの VRでの意義 と「ヘルメス科学」仄聞
 「照明」「絵コンテ」「プレショー(キューライン)での作品テーマの告知」
 『VR-1』
 「プレショーは 映画で言えば予告編」「『先達』からの話を聞く」
 「科学思想の源流の明確な 3つの分類」
 「プリント倶楽部は、ジョン・ディー博士の発想から造られた。正確に言うと、スケッチパッドの枠組みに、ディー博士が 1570年に『原論』の序説に予告した 幾何学の光学・絵画術を組み合わせるとプリクラができた。つまり、プリクラは ルネッサンス科学(ヘルメス科学 = 魔術)の応用製品」
 「紅茶キノコのダイエットが 3日で失敗した女性は、プリクラで 自分を痩身美人に加工して SNSで拡散できるので、現代の魔法使い」
 「機械論の 鉄腕アトムや 8マンは、こわれたら修理されて 永久に人類の平和と安全を守ってくれる(因果性と永遠性)
 「機械論者のガリレオが 有機体論の教会を揶揄して 火あぶりにされそうになったので、機械論者たちは あわてて ヘルメス科学を悪魔の学だと攻撃することによって教会の矛先を変え、教会主導という体制下での保身を図った。(という具合に 3つの科学の歴史が概観できることに フランセス・イエイツ女史と 坂本賢三先生などの一部の科学史家が 1970年代に気付いた。)一方、石工の組合が 密かにヘルメス科学の薔薇十字団の同好会員を招き入れて原子物理学などの近代工学を作った(らしい)のだが、E・カッシーラーが原子物理学を支える《数理モデルの多変数の函数表記による解法》という研究方法は有機体論でも機械論でもなく、ヘルメス科学由来だと考えられることを(そうと強くは意識せずに)証明してしまっている。(『実体概念と関数概念 』など)」
 「化生論 = ヘルメス科学が秘密組織の石工組合で伝承された理由は、おそらく中世に錬金術研究のファウスト博士の五体が ばらばらになったことから 研究者のスキル不足による危険、つまり『魔法使いの弟子』の暴走を 賢者(研究者)たちが予防したい、という意図があったためではないだろうか。」
 ※ ジョン・ディー博士の「数学への序説」などについて(7)の初稿に加筆しました。(2020.9.28)

(8)化生論(ヘルメス科学)という 人類の希望
 (「失禁のVR」/ VRの「観客・数理モデル・ロバスト性」)
 「失禁のVR(『ユリアラビリンス』)が DCEXPO2016 で Innovative Technologies 2016 human部門特別賞を受賞しました。」『餅餅』『出血体験』『Mommy Tummy』
 「観客(有機体)/ 数理モデル(ヘルメス科学・化生論)/ ロバスト性(機械論)」
 「ウィトルウィウスの比例・均整理論(建築論)」
 「(ヘルメス科学の)建築士が プリクラの鏡の向こうに超高層ビルを建て、数理モデルの安全率を計算し、そのビルの似姿を鏡のこちらに建てました。」「日本住宅公団が戦後に建てた大型賃貸団地は、人間の居住を想定していないオフィスビルの建て方でした。」
 【参考文献】H.カーニイ著 中山茂・高柳雄一訳科学革命の時代‐コペルニクスからニュートンへ』(原著1971年、平凡社刊1972年、改版1983年)

(10)「パリスの審判」
 「機械論で VR作品は作れません。」「IVRC作品では、機械論的に開発が進められてきた作品でも、体験者数が100人を超えたあたりで、当初の開発意図とは違った 本来の化生論的なアプローチで開発された場合の その VR作品の完成目標の姿を、観客が教えてくれているのに気づきます。」
 「おそらく 50年くらい先に、利用者にとっての意味を第一に考えるヘルメス科学の枠組みで工学を考えることが当たり前になっています。例えば、日立グループのデザイン部門では、高価格な寝台列車の内装を鉄道車両の設計部門がデザインするときは、ユーザの体験、ユーザエクスペリエンスのストーリーをシナリオの形式で書いてみて、60代の夫婦が、フルムーンの高額な旅行パッケージで寝台車に乗る時に、どんな旅行を期待するだろう、どんな行動で一日を過ごすだろう、と考えて作ったストーリーから内装をデザインしています。」(絵コンテでも構いません。)
 
『パリスの審判』(ドローン計測による女神の 水着写真と『人間椅子』デバイスを使った体重測定)
 「ベルリオーズの歌劇 
『トロイアの人々』」(欧日の国民的アイデンティティの違い。例えば、吉川英治の小説『新・平家物語』との比較)
 「科学の3つの源流、有機体論科学 The Organic tradition化生論科学 The Magical tradition機械論科学 The Mechanistic tradition についての補足」
 「有機体論は 古代からの常識で、その成果物は 神から 農産物や豚として 人間に与えられました。」
 「17世紀の最先端科学は機械論 で、ガリレオ、メルセンヌ、デカルト、パスカル、ボイル、ロイヤル・ソサエティ、ホッブスら。この土壌から 土木・軍事用の機械が出て来て、電子計算機も機械論だと思い込まれてきました。
 「ヘルメス科学は 古代の権威ある神学的な科学で、コペルニクス、ジョン・ディー、ブルーノ、ギルバート、パラケルスス、ファン・ヘルモント、ケプラーら。神が人間に与えた恩寵 おんちょう を、開発者が聖なる技工をこらした人工物として開発し ユーザはその恩寵を 開発者から 与えられます。」

(11)「テーマパークとは何か」という謎を解きます。
   (他に「 パリスの審判」「VR実装時の有機体論、化生論、機械論」)
 ※ VRの『観客・数理モデル・ロバスト性』について(8½)(8)も 比較参照して下さい。
 (11)では、最初に「有機体論、化生論、機械論」について、ざっくり説明しました。
 a)有機体論。来場客の来場目的と、その目的を どう満足させれば イベントや パークのリピーターが増えるかについて考えます。ところで VR作品では、
 b)化生論(ヘルメス科学)が成立するかどうかが アトラクションの肝です。パラメータや サービス内容を増やして、却ってアトラクションとしての まとまりを欠いてしまった場合は、その部分を(いくら苦労した開発箇所であっても)全部アトラクションから省きましょう。観客が予備知識なく、直感的・自発的に操作することで、そのバーチャルな空間が成立します。
 c)最後に、開場から閉園時間まで『機械』として故障なく動作するための、最適な製造会社の選定、そして 開園前の点検・メンテナンス内容について考えます。IVRC のような 実証実験の VR作品開発の場合の機械論、つまり 非営利のVR作品の 量産性と保守性については、公開中の機器の頑強さ(ロバスト性)、そして、故障からの復旧方法が簡単に見つかることや 撤収作業のし易さが重要である、と読み替えて下さい。
 有機体論、化生論、機械論については、(8½)(8½)坂本賢三先生の講演記録を参照。
 ほかに、「『パリスの審判』現場運営」「【稲元章博さんの近著】予告」
 そして、「テーマパークは、遊園地では ありません」(1953年、ディズニーランド開園の2年前に シカゴの あるホテルに当時の遊園地の有力興行主が集まってディズニーランドの失敗について論じた、説得力溢れる大予測。必見。)
 ウディ・アレン監督『女と男の観覧車』日本版予告。(予告編冒頭のCGの一番左に立っているのが、1939年NY万国博のアミューズメントゾーンから移設された『パラシュート』。ヒッチ監督の『スミス夫妻』1941年も できれば参照。)
 『イッツ・ア・スモールワールド』(動画)

   ( 8½ )「暫定総目次

 ※ 以前 ここに載せた「登壇発表の予稿の書き方」は(29)に引っ越しました。

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《上の文章 ↑ から ここに続きます》

 私自身は「VR」「サイバネティックス」そして「一般システム理論」が 主に「化生論」で開発されていたことに(8½)(7)を書いていて(2020.8.18)改めて気付きました。VRが「化生論」が主体になって、有機体論・機械論・化生論科学の融合したものだと、はっきり分かったからです。ですから、コンピュータ科学に関しては、農作物(有機体)のように 1年毎の黒字を企業が計上できる事が 全くのナンセンスで、企業イメージのための金融操作で見せかけの単年度利益を演出している IT 産業界の現状は 株価操作の「有機体論的粉飾」であること、も同時に分かりました。

 また、機械論の企業のように「設計30日・材料調達と試作に60日・量産図面作成に10日」従って、VRの開発に、年度末の 3月30日に量産図面を仕上げるには 100日前に予算承認の必要がある、といった開発スケジュールをカレンダー通りに「押し付けた」機械論の計画を立てることも、
   全く無意味です。
これは、VRの開発者には得心して頂けると思います。(だからしなくていい、という意味ではありません。)

   「全く新規の」VR製品や VRシアターを創るには、有機体論や機械論は 使えないのです。

 今、ここで、私たちが作っている VR作品が、もしも、観客(プレイヤー)が「産業用VR展」の会場で手に取るものだったら、それは 機械論のスケジュールで作られる VR装置の部品であっても一向に構いません。しかし、観客が EPCOTや IVRCの会場などで体験(体感)することを期待しているのは、「VR作品」です。情報メディアなので、そのVR作品には必ず「表示装置」に示される「作品としてのテーマ」があるはずです。
 VR作品は、コンテンツを内包しているので「化生論科学 Magical tradition」の製品です。

 昨日、「ヘルメス主義」「ヘルメス文書」の頁を、弘文堂の『科学史技術史事典』からコピーして(8½)(7)の一番下に付けました。できれば、図書館などで この事典を手に取って、その項目の「参照項目」に書いてある、
   「ルネサンスの科学」「科学革命」
などに読み進んで貰えれば嬉しいです。

 1570年にジョン・ディー博士が ユークリッド『原論』の英語訳に付けた『数学への序説』Mathematicall Praeface to the Elements of Geometrie of Euclid of Megara は、その後、100年以上も『原論』が再刊されるたびに一緒に印刷され、大勢の欧州の「工業製品の開発者」に刺激を与えました。そうした歴史を経て、16世紀に Magicと呼ばれた「ヘルメス科学」は、20世紀に「一般システム理論」「サイバネティックス」「マルチメディア」「スケッチパッド」「人工現実」「VR」などに用いられる応用技芸として華ひらき、例えば TWI2050のための工業開発などに応用されています。
 ちなみに、坂本賢三氏が Magic「ヘルメス科学」という応用科学を、アラビア科学・ゾロアスター教などの東方の起源を含めて「化生論」と訳しました。

 ところで、ディー博士は、『序説』を書く前から エリザベス1世に応用科学者として(1558年頃から)重用されました。彼が英国に教えた(幾何学を応用した)「航海術」は、インド・アメリカとの交易ルートの開拓や 欧州での海戦などに活用されて 英国に莫大な利益をもたらしました。しかし、次に1603年に即位した英国王はディー博士の「魔術」に否定的な態度を取ったため、貴族院議長(大法官)の F・ベーコンもディー博士から影響を受けて書いた著作物(『ニューアトランティス』など)にディー博士の名前を出すことを はばかりました。

 (ディー博士はヘルメス科学者です。F・ベーコンは唯物論的機械論の科学者でした。)

 そして、ディー博士(1527年-1609年)の没後の1614年に、ある文献学者が ルネッサンス科学の基礎である『ヘルメス文書』の成立を(通説より ずっと遅くの)西暦2-3世紀頃だったと発表して ヘルメス科学は急速に人気を失い、ヘルメス科学は地下に潜った」とされています。おそらく「薔薇十字団員の独自研究」などに形を変えたのです。それは つまり、薔薇十字団がヘルメス科学と ディー博士のオリジナルな研究に深く影響を受けて組織された団体だったからでした。

 ヘルメス科学自体は、少なくとも 西暦2-3世紀以来(今日まで)、魅力的なイノベーション科学であり続けています。ところで、18世紀半ば以降になると、科学者が 役に立つ「人工物」についてのアイデアを盛んに発表したり、それが実際に工業化・製品化される事が当たり前になりました。「産業革命」という名前で過大に評価された時期もありましたが、ざっくばらんに言えば、紡績機や織機が欧州で発明された事から インドでの高級手工業生産が武力で禁止されて欧州の産業技術が発展したとか、古い形態の蒸気機関の修理を頼まれた大学助手が画期的な改良方法を思いついて、そのまま科学者と呼ばれ、起業家になっていったような時代でした。ともあれ、機械や工場生産による産業が発展したので、機械論に混じって伝承されていた「化生論」は、時代の要請から 再び着目され(ディドロの『百科全書』などを経由して)現在、コンピュータ科学の最前線に復権しています。例えば、コロナの患者数を予測している「社会シミュレーション」が 化生論の科学です。

 ですから、例えば、ベルタランフィ著『一般システム理論(1968年)に「フィードバック」として紹介されているのは 機械論のフィードバックではありません。フィードフォワードの説明が難しいので、入力を一つ、出力を一つに限定した その特殊な場合の「フィードバック」を例に挙げたのです。
 ここから生じた 良くある誤解は、例えば、期末に T型フォード 1万台を完成させるためにフィードバック理論が 工場生産に使われたり、納期までに 家庭用ゲーム機のパッケージ50万個を納品するためにフィードバックが使われて、超過勤務 200時間越えで労災認定される病気の開発社員が数多く出てくるようなフィードバックが実装されてしまったことです。しかし、ベルタランフィ氏や ノーバート・ウィーナー博士は、そんなおバカな間違いを 最初から一言も述べていませんでした。

 一般システムは、「フィードフォワード」で 有意義な目標を設定できることが売りでした。

   【フィードフォワード】制御 https://www.rkcinst.co.jp/technical_commentary/14308/

  (27)~(30)を書き終えた後に、ドイツの製造工場のバリューチェーン「インダストリー4.0」が、正にシステムの「フィードフォワード」を目指していることに気が付きました。分かりやすいので、ここでは事例として米国のハーレーダビッドソン社を説明に挙げますが、ここで重要なことは、製造工場の人たちも、もちろん代金を払う顧客も、
   ハーレーダビッドソンの 熱烈なファンだ
という事実です。好物を製造している人たちが、その良さを分かってくれる人に、一刻も早く製品を届けたいので、このバリューチェーンは構築されました。横幹ニュースレター No.049 May 2017  参照。

 このシステムの開発者、運用者、現場操作者、購入者は、全員 ハーレーが大好きだったのです。

 ところで、エルンスト・カッシーラーが面白い本を書いていて、17世紀のデカルトの科学論と その同時代の劇作家コルネイユの戯曲が良く似た論理(倫理)で書かれている、というのです。偶然ですが、主著の『方法序説』の刊行と 代表作『ル・シッド』の上演は 共に1637年でした。さて、コルネイユの作品の一つに『舞台は夢』(1635年上演)という戯曲があり、岩波文庫にも入っています。その舞台では、
   なんと、魔術師が「洞窟のイドラ」を使ってアルカンドルに彼の息子の幻影を見せる
   (つまり VRです)
   という有名な場面があるのですが、、、

私の演出だったら、その魔術の場面は「HMD」をアルカンドルにかぶせて、彼のリアルタイムに見ている映像 = 幻影を最初は「洞窟の壁の大スクリーン」に そのまま投影する、という方法で観客に見せようと思います。アルカンドルが興奮して前に出ると、スクリーンの(アルカンドルが観ている)息子がスクリーンで大写しになって、そのまま 2Dから3D(の役者)の姿に(ちょうど USJの『ターミネーター 2:3-D』の映像 → 実物の実体化のように)舞台に現出するのです。


 こうした VR装置を使った古典演劇の演出を見て貰えば、バーチャルリアリティが コルネイユの少し前のルネッサンス時代に もし実現されていたら、必ず「魔法」と呼ばれていたということも、現在の観客に実感して貰えるのではないでしょうか。コルネイユの『舞台は夢』の魔術師は、シェークスピアの『テンペスト』(筑摩世界文学大系〈第75〉シェイクスピア集『あらし』)のプロスペローをイメージすると分かり易いです。余談ですが、コルネイユの『ル・シッド』を原作にした 1961年の映画『エル・シド』は大好きな作品です。また紹介してみたいと思っています。

 ※ ここから「全く新規の」VR製品や VRシアターを創るための、有機体論・機械論でない化生論の作り方は?という話になります。a)映画のように「第2班」を作る。b)関係者試写会のような「全体プレビュー」をやる。c)最後の「演出の強調」に助っ人を見つけて置いて「納期」に間に合わせる。などについてです。→ (28)に続きます。

【この続き】(8½)(28)VR 研究者の サイトマップ → ( 8½ )(28)
      (8½)(29)VR 研究者の サイトマップ → ( 8½ )(29)
( 8½ )「暫定総目次