笛吹きひゃらりのひゃらひゃら日記

器用貧乏系OLひゃらりが平穏な日常の中でフルート吹いたり歴史に夢中になったりしている日記です。

楽器購入に関して本気で考え始めた件

2010-08-10 23:23:10 | フルート【楽器選び】
この間の『フルートワールド2010』を受けて、
ちょっと自分の頭のなかを整理してみようと思いました。

まずは買い物(楽器購入)の方針。
①高い買い物だから、急がない。
なにしろ一介のさらりーうーまんですから、私。
検討に検討を重ねて、さらに検討しまくりたい。
時期としてはいちばん早くても冬のおボーナスが出てからでしょうか。
今フェアやってるけど、
フェアはまたやるでしょー!という楽観思想。
②というわけで買わないで試奏の手間は惜しまない。
直営ギャラリーに突撃して吹かせてもらって何も買わずにニッコリ帰る、
を繰り返す所存。

続いて欲しい楽器の方針。
①つくりは総銀&ハンドメイドで。
次に買う楽器は長く吹き続けて行きたいから、今の実力からしたら分不相応かもしれないけれどいいものを求めたいです。
②この間のフェアで、メーカーによって、また、モデルによって、音色がかなり異なることを学びました。
私はダーク&シックな音が好きなので、そういう楽器をパートナーに迎えたい。
キラキラした華やかな音も素敵だけど、
自分本来の好みと異なった方向性のものを買ってしまったら、
ずっと付き合っていけないような気がするから。
③音量はそれなりに欲しい。
今後どういう場で吹くかぜんぜん分からないけど、
肝心のときに「アーアーキコエナーイ」だと困る…

と、いうわけで。
どんな楽器が私にしっくり来るのかな?
がんばって探さなくちゃ

偽ドミトリーという存在③【お気に入り人物伝】

2010-08-09 23:52:27 | ロシア史なお話
 さてさて。
 
『殺害されたはずのドミトリー皇帝は生きていた!』というウワサがまたもロシアを駆け巡ったわけですが、これについてちょっと詳しく調べてみたいと思います。
この人、偽ドミトリー2世と呼ばれています。
ちなみに先代の偽者(偽者に先代って…)のことは偽ドミトリー1世という呼び名がついています。
こちらがその偽ドミトリー2世。ワイルド。
もともとは辺境の地で教師をしていたとも、流れユダヤ人であったとも言われています。
 ロシアとポーランドの国境あたりで出現した彼は先代の側近(というか先代の反乱軍の黒幕)に擁立されてモスクワに進軍、
モスクワ近郊のトゥシノに本陣を置きました。
側近はご丁寧にも偽ドミトリー1世の妃であるマリーナ(逮捕後、祖国ポーランドに強制送還されてました)を呼び寄せ、
『感動の再会』を演出します。
(マリーナはなんとこの後、偽2世と子供まで作ってしまうんですよ!)
うまいこと民衆達たちは偽2世に心を奪われ始めて、
皇帝ヴァシーリーは危機感を覚えます。
あんなに丁寧に殺したはずなのにね、おかしいね?
そしてあせったヴァシーリーは、さらに民意を失う愚挙に出てしまいます。
ポーランドとはまた違う隣国であるスウェーデンに特使を送り、
「ロシア領土をあげるから味方して!軍出して!」と要請。
為政者にとって、勝手な国土の割譲ほどキケンな政策はありません。
人心が離れるに決まってます。
スウェーデンにしてみればこんなオイシイ話はないので、
ヴァシーリーに恩を着せながらモスクワに援軍を出し、偽2世軍を攻撃。
偽2世軍はみるみるうちに弱体化していくのです。
そうすると偽2世に加担していたポーランド勢は「やーめたっ」と離脱して本国軍と合流するわ、
宮廷じゃ反ヴァシーリー派がクーデター起こすわ、
ロシア、ポーランド、スウェーデンが3つ巴の争いを繰り広げるわ、
ポーランドの王子がモスクワに乗り込んできて貴族の一部が皇帝に推挙するわ、
その王子が実家の親父さん(ポーランド国王ですな)と仲間割れするわ、
 
…ひっちゃかめっちゃかじゃありませんか。
 
こんな状態のさなか、
四面楚歌の偽2世はポーランドに見限られたことを察知して逃亡します。
そして落ち延びる最中に手下と仲間割れを起こし、刺殺されてしまいます。ぐさーっ。
 
 
これで終わりかと思いきや、間髪入れずにまた出てくるんですよ。
…何がって? 
 
『実は実は、ドミトリー皇帝は、生きていた!』
 
1号、2号、そんでもって3人目。
仮面ライダー的にはV3です。
V3は1世や2世に比べてけっこう地味。
肖像画も、探したけど見つかりませんでした…、
支持者も少なかったし話し方やら存在感やらの説得力にも欠けたようで、
名乗りを上げた翌年には逮捕されて処刑されています。
こういうキャラが後になればなるほど小粒になっちゃうのは、いたしかたないですなぁ。
 
V3が亡くなったころから、なんとなくロシアの動乱は収束へ向かっていきます。
国民による義勇軍が結成されてモスクワで蜂起してポーランド勢から首都を奪還し、
全国会議を召集して新しい皇帝を選出したのでした。
その人こそ、ミハイル・ロマノフ。
ここからおよそ300年、ロマノフ王朝が続くこととなるのです…。
 
ここまで3部構成で動乱時代における『偽ドミトリー』という特異な存在に関して追ってみました。
内乱期に数多の勢力が戦国模様を繰り広げるのは世の常ではありますが、
やはりロシアは他国に比べてカラーが強いような気がします。
それがかの国の魅力と言えばそうなんですが…

参考文献:
『ボリス・ゴドノフと偽のドミトリー-「動乱」時代のロシア』 栗生沢武生 山川出版社
『ロシアとソ連邦』 外川継男著 講談社学術文庫
『イヴァン雷帝』 アンリ・トロワイヤ著 工藤庸子訳 中公文庫
Wikipedeia 英語版/ロシア語版

偽ドミトリーという存在②【お気に入り人物伝】

2010-08-08 21:40:42 | ロシア史なお話
てなわけで。
 
『実は殺された皇子が生きていたらしい!』
というショッキングなウワサが流れたロシアなんですが、
これ、ちょっと無理があるんですよ。
なにしろドミトリー皇子、ノドを刃物でグサー、ですから。
調査団も作られて死亡を確かめましたから。
 
けれどドミトリーを自称する若者はどんどんと味方を増やしていきます。
ボリス帝は敵が多かったから、彼らに利用されたといってもいいかもしれません。
反皇帝派の大貴族や混乱まっさかりのロシアを狙う外国勢力、
ロシア正教の代わりに勢力を拡大したいカトリックなどが偽ドミトリーのバックにつきました。
この僭称者の青年ですが、大貴族の家内で召使をしたあと修道院に入った脱走修道士のグレゴリー・オトレピエフだと言われています。
さてこの偽ドミトリー、
いつの間にかひそかに敵国ポーランドに渡ったそうです。
そして彼の地でカトリックに改宗したりポーランド国王に謁見したりポーランド貴族女性のマリーナと婚約したり、
帝位簒奪のためにいろいろ地固めをしたのでした。
こちらが婚約者のマリーナ。
ムソルグスキーのオペラ『ボリス・ゴドゥノフ』では偽ドミトリー以上の野心家として描かれている、
ポーランドを代表する肉食系女子(?)です。
どうしても王妃様になりたいんだってー。
ポーランドの威信をかけて戦いたいんだってー。
 
で、満を持してロシアに進軍した偽ドミトリー軍。
けれどボリスは前回も言いましたが戦争上手でございまして、
偽ドミトリー軍を見事全滅寸前まで追い詰めます。
さすがです。
しかししかし、ここでまさかの事態。
 
ボリス・ゴドゥノフ帝、崩御。
 
帝位はボリスの長男フョードルが継承したもののまだ若干16歳。
親玉を失った軍は総崩れ、
皇帝派の貴族達も偽ドミトリー派に寝返るものが続出しました。
そしてロシアお決まりのクーデターが起き、新帝フョードルは処刑されてしまいます。
その後偽ドミトリーは悠然と帝都モスクワに入城、戴冠。ドミトリー2世と称します。
こうして僭称者が晴れて簒奪を成し遂げてしまったのでした。
 
さて、実はこの時、ドミトリーの(ほんもののドミトリー皇子ね)の母親、
イヴァン雷帝の妻であったマリーヤはまだ存命だったりします。
というわけで偽ドミトリーはマリーヤの暮らす修道院に訪問し、
息子だと認めさせます。
(そりゃ、認めなかったら殺されちゃってもモンク言えないしね)
 
てなわけで鮮烈なデビューを飾った偽ドミトリーでしたが、
やはりその親ポーランド、親カトリックな政策は反感を買うわけです。
「都にいるポーランド軍が狼藉を働いても皇帝はなにも言わない!」
「新しい皇妃はポーランド娘らしいぞ!」
「つーかロシアに来たくせにロシア正教に改宗もしないでカトリックの流儀を持ち込むなんて、どういう了見だ!」
「ってか皇帝自身がカトリックに改宗したとかいうウワサもあるぞ!」
偽ドミトリー、ピンチでございます。
こうなったらロシア史的にどうなるか。
…はい、クーデターですね。
ほんとにロシア人はクーデター好きだなぁ。
大貴族ヴァシーリー・シュイスキー公(ちなみにこの人、ドミトリー皇子死亡調査団の人です)を中心に反皇帝派は挙兵、偽ドミトリーは逮捕のうえ殺害されました。
宮殿の窓から逃げようとしたら足を骨折しちゃって、身動きが取れなくなったところで、銃でずどん。
こちらは逃げようとしてる偽ドミトリーの絵です。
(カール・ベニングの『最後の数分間』という作品。タイトルのつけ方が秀逸です)
さて、殺された偽ドミトリーの遺体は赤の広場で見せしめにされた上に焼却処分されました。
遺灰は大砲に詰めてポーランド方面にどかーん。
今回の反乱軍は仕事が丁寧です。
そりゃそうだね!また偽者が出てきたらいけないものね!
 
けど、出ちゃうのよ。
だってロシアなんだもん。
 
クーデターの立役者であるシュイスキー公が即位を宣言してヴァシーリー4世と称してまもなく、
ロシア中をあのウワサが駆け巡ることになります。
 
『実は、ドミトリー皇帝は、生きていた!』
 
うわぁ。
まただぁ。
 
 
参考文献:
ボリス・ゴドノフと偽のドミトリー―「動乱」時代のロシア』 栗生沢武生 山川出版社
『ロシアとソ連邦』 外川継男著 講談社学術文庫
『イヴァン雷帝』 アンリ・トロワイヤ著 工藤庸子訳 中公文庫
Wikipedeia 英語版/ロシア語版

偽ドミトリーという存在①【お気に入り人物伝】

2010-08-07 22:31:24 | ロシア史なお話
『実は生きていた!』

古くは源義経から最近では韓流ドラマに至るまで世間一般に広く好まれるシチュエーションですが、
普通なら伝説とか娯楽レベルで済まされる話ですよね。
しかしロシアは違う。
ロシアはこんな情報に踊らされて20年近くも国が内戦状態に陥ってしまったのです。
この時代は『スムータ(動乱)』と呼ばれています。
まんまやないけ。
日本で言うと16世紀末~17世紀初頭、ちょうど安土桃山時代から江戸時代に移行するころの話ですね。
ことの起こりはイヴァン4世(雷帝)の後継者問題です。
余談ですがイヴァンが雷帝って呼ばれるの、おかしいなぁって思うのです。
ピョートル大帝が始めてロシアにおいて皇帝という名乗りを上げたのは、イヴァンの治世より150年くらいあとのことです。
けどまぁ、ごちゃごちゃすると分かりにくいので今は皇帝ってことにしておこう。

こちらイヴァン4世。肖像のフチが花柄でかわいい。

イヴァン4世はその通り名からも分かるように苛烈な性格であったといわれており、
当時皇太子であった次男(長男は早逝)を口論の末誤って杖で撲殺したという過去がありました。
こちら、イリヤ・レーピンによる『イヴァン雷帝とその息子』という絵です。

ズームしてみましょう。

激情に駆られて息子を打ったものの、
我に返ったイヴァンが「自分はなんということをしてしまったんだ!」とショックを受けているシーンですが、
鬼気迫る表現力と言わざるを得ません。
ともあれ、皇太子を失ったイヴァン4世にはふたりの息子が残されました。
1人は、皇太子の同母弟にあたるフョードル。生まれつき病弱、かつ知的障がいがあったと言われています。
もう1人は、教会に正式に認められていない妻が産んだ(つまり庶子扱いとなる)ドミトリー。
このとき、まだ幼児です。
イヴァンの死後、とりあえず順当に兄のフョードルが帝位につきますが、
彼は傀儡にしか過ぎません。
数多の政敵を押しのけて最終的に実権を握ったのは、フョードルの妃の兄、ボリス・ゴドゥノフでした。

ボリスはけっこう英邁な摂政だったようです。
もとが下級貴族なので大貴族たちの特権を制限したし、
外交上手の戦争上手で国土の拡大に努めました。
しかしながらここで勇み足。
田舎の領地に押し込められていた皇弟ドミトリーが謎の死を遂げます。享年8歳。
これに関しては、ボリスの密命により暗殺されたという説が有力です。
しかしながら公式には事故死と発表されました。
こちらがかわいそうなドミトリー。 8歳のわりにおとなっぽいイメージです。


さらに時を置かずして病弱だったフョードルが実子を残さず他界。
すると、リューリク朝に繋がる血脈の人間やその他の有力貴族はいるものの、
なかなか後継者が決まらないという事態に陥ります。
そしてなんと、それを受けて集められた全国会議(貴族だけじゃなく、聖職者や商人・町人階級も召集されました)でボリスが皇帝に選出されます。
その出自や政策の明解さから、民衆を味方につけたのが吉と出たんでしょうね。
というわけで晴れて帝位についたボリスでしたが、なってみるとけっこうタイヘン。
当然ながら大貴族の反発は潜在的だし、
彼の治世はけっこう飢饉やら天災やらが多かったらしく、
最初は支持母体だった民衆を味方につけるのもだんだん難しくなってきました。
おまけに、
その、
なんというか…
スネに傷持つ身だし…
そんなときにロシアを席巻したのが、冒頭のウワサだったのでした。

『実は、ドミトリー皇子は、生きていた!』

つづく。

参考文献:
『ボリス・ゴドノフと偽のドミトリー-「動乱」時代のロシア』 栗生沢武生 山川出版社
『ロシアとソ連邦』 外川継男著 講談社学術文庫
『イヴァン雷帝』 アンリ・トロワイヤ著 工藤庸子訳 中公文庫
Wikipedeia 英語版/ロシア語版

フルートワールド2010に行ってきた件

2010-08-06 22:17:49 | フルート【楽器選び】
先週銀座の山野楽器に遊びにいったとき、
店員さんにチラシをいただいた『フルートワールド2010』。
本日、仕事を定時で上がって覗いて参りました!
店頭にはりっぱなノボリが、ぱたぱた。


7階イベントフロアが二つに分かれていて、
片方がミニステージ、片方が試奏コーナー。
ミニステージではフルーティストさんたちの演奏があったりもしたようです。
(わたしは時間が合わなくて演奏を聴けませんでした。ざんねん。)
試奏ブースにはたくさんのメーカーさんが出展していて、
スタッフさんに声をかけて吹かせていただくシステム。
普段触ることもできないような高級品を手にとってみたり、
いつか買いたい!と狙っている価格帯の楽器の吹き比べをしてみたり、
楽しいことこの上なし。

というわけで以下、
自分宛の備忘録として試した楽器の感想メモなどを。
手の届かないような高級品に関しては省略します(笑)

ムラマツ DS …はっとするほど吹きやすい。音はシックで低音が特によく響く。
初めて吹いた総銀だからかな、ずっと憧れてたメーカーだからかな、
とてもいいイメージです。
サンキョウ セミハンドメイド…リングキィは苦手意識。
スタッフさんとうまくお話できなくて、試奏できませんでした
ミヤザワ AZ BR…華やかな音色。リップがゴールドできれい。
扱いやすそう。
アルタス A1307…スターリングシルバーより純度の高いシルバーを使っているそうな。
透明感のある音色。でも音量はあんまり出ないのかな?
パール MAESTA…高音がいちばん吹きやすかった。
高音が柔らかく響くのはポイント高い。けど、リングキィだったんだよねぇ…
カタログによればリングキィとカバードキィは選択可能だそうなので、
今度直営ギャラリーに行ってカバードで試してみたいと思います。

柔らかいしっとりした音色が好きなので、
ムラマツとパールが私の中のランキングでは比較的高め。
それにしても日本はフルート天国です。
こんなにメーカー(しかも素晴らしいところばかり!)がひしめいている国はないよ!
今日のフェアでアドバイザーをされていた先生によれば、
関東地方は世界のコンサートフルートの8割を生産しているエリアだそうです。
日本に生まれてよかったよ~