白河夜舟

水盤に沈む光る音の銀砂

付箋で済まされるような

2008-12-03 | 日常、思うこと
2年半に及んだ心療内科での治療が終了した。
少し、遅すぎた。





禁煙してからは、3か月半になる。
東京・練馬のI氏邸でKOOLを吸ったのを最後に、
ただの1本も、口に銜えることすらしていない。
喫煙の習慣をやめてしまうと、喫煙者の口臭やマナー、
部屋に染み付いた黄色いヤニや落とし切れぬ臭気が
気になって仕方がなくなる、ということがわかった。





きっと、ホテルのバーでシングルモルトを嘗めながら
コイーバを一服、ということはこれからもあるにせよ、
日常生活のなかで煙草に火をつけることはもうないだろう。





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一か月前に注文していたスーツが仕立て上がった、との
電話が入ったので、これを受け取りにテーラーへ赴いた。
思い描いていたとおり、ビジネス・シーンでかろうじて
通用する程度のぎりぎりの線を少し踏み越したスーツが
出来あがった。





カシミアとモヘアの混紡による、super 120’sのウールの
ブラウン・グレーの生地の色艶、光沢も申し分なく、
アクアマリンの滴るようなオルタネイト・ストライプも
身にまとえば自然と、薄いチャコール・グレーの
チョーク・ストライプのなかに沈んでくれる。
斬新な織り合わせの生地を、トラディショナルな型に
仕立てることで、あくまでプリンシプルの流儀を踏まえて
遊ぶという、節度のある面白さを出せたのではないかと、
自画自賛している。





これで、この冬のコーディネートがようやく決まった。
アクアスキュータムのイギリス製のトレンチ・コートに、
同じくアクアスキュータムのスコットランド製、2mの
カシミアのロングマフラーを合わせ、
仕立て上がったドーメル・アイスのスーツを包む。
ネクタイは銀座・田屋のシルク・薔薇柄・ローズピンクの
織物、もしくは、同じく田屋のシルク・格子柄の織物、
これに、この夏に購入したIWCのアンティーク腕時計を
合わせ、クロケット・ジョーンズのオードリーを履く。
これに、大峡製鞄のダレスバッグがあればいいのだが、
口座残高を勘案して、この冬はステファノ・マーノの
ブリーフケースで、些か不釣り合いだが、我慢しておく。





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11月を、ほぼ毎日、オリオンが西に沈むころに家を出て
再び天頂に達することに家に戻る、というような生活で
過ごしていたために、一時期風邪をこじらせて、
味覚、嗅覚、聴覚を無くしたことがあったものの、
何とか仕事が峠を越えたこともあり、
ようやく早目に家に戻れる日が出来てきた。
酔心の純米酒を温燗にして、水炊きにした牡蠣をポン酢で
賞味しながら呑むのは格別である。





昨日は、ようやく平日に休みを取って昼まで眠るという
労働者にとって最高の安息を得た。
14時間ほど眠ったせいで、起きたての発言が支離滅裂で
あったようだが、
平日の午後に体温で温めた暖かな毛布に頭まで包まって
ごろごろと猫のように転がっているのは至福の時間であり
無上の幸せだといっても差支えない。





夜になってようやく起きだして、鍵盤の前に座って
ひさしぶりにバッハを弾くと、
指がもつれて多声部を明確に引き分けることがどうにも
出来なくなっていた。
これは相当にリハビリを要するな、と思いながら、
ジスモンチのファリャーソ、7つの指輪を弾いてみた。
ジスモンチのピアノ曲は、指の運びもさることながら
腕の運びが実に理に適っていて、
ポリリズムの処理をうまく切り抜ければ実に弾きやすい。





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近傍のライブハウスは、無名のピアノ弾きには冷たく、
弾かせてほしい、金なら出す、という申し出は断られた。
どこか、ピアノを弾ける場所はないだろうか。





久しぶりに、ジャズ、っぽいものを、弾いてみたが、
頭の中に、ベースとドラムの理想の音像を描きながら
ひとり、自慰的演奏に興じるのにも飽きがきた。





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ようやく、ハイオクガソリンが120円台前半の価格に
落ち着いて、5000円だせば40ℓの給油が可能になった。
しばらくボルボをお腹いっぱいにしていなかったせいか、
久しぶりに満腹にしてやると、加速の伸びが尋常ではない。
自動車はやはり穀潰しである。





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筑波嶺の言霊の導きか、
思いがけないところに縁が出来た。





僕は花にふさわしい音は松平頼則の作品にあると思う。





詳しくは、東京にて。






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