白河夜舟

水盤に沈む光る音の銀砂

雨の夜

2006-12-14 | こころについて、思うこと
緋色の大地に寝ころぶと
空から珊瑚が降りかかってきた
深く沈められた楓の葉が
太陽を包んでじりじりと焦げていた
胸に手を組み乗せて
安らかに 思い浮かべて微笑すると
こころの奥底の温度のなかに
まだなにも始まってもいないのが 
はっきりとわかった



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ぼくよりも若い 大切なひとの
病の知らせや予兆を聞くと
ほんとうにたまらなくなる
たしかにぼく自身
呼吸を忘れたり
心拍が異常に昂進したり
視野が溶け出すような感覚に陥ったり
極度の疲労感に苛まれるような
脳の器質に関わる病を持ってはいる




けれど 彼らのことばを伝え聞くたび
ぼくの病など 病ではないような気もする
ぼくは 大切なひとの病を思うとき
たとえば そのひとにこころを寄せすぎて
そのひとの病んでいる部位が痛み出したり
苦しみの症状が伝染したりして
勝手に疲れきってしまうことがある
彼らはそうしたぼくの姿など
見たくもないだろうけれど
ぼくはどうやら共振しすぎるらしい




けれど 祈るしかないのなら
祈るべきだし
思うしかないのなら
思うべきだ
共振してしまうのなら
共振し尽くすまでのこと




それがどれほど卑小で たとえ引き攣っていたにせよ
存在に感謝したことがあるのなら
こころの吃音に託すべきだ




じっと手を差し伸べて
それが届かなかったとしても
ぼくの手が実は 初めからそこになかったのだとしても
始まるまでは じっと 待っていようと思う
祈りのように



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胸の奥底が熱く
震えすらするというのは
どうしたことだろう




「      」

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