しばらく間があいてしまい失礼致しました。
なんか私、「後半へ続く~」と宣言すると決まって後半が書けなくなるっつージンクスがある気がする(笑)。
前回の【ヴィジュアル編】では「恥ずかしいカッコで人前で踊っちゃダメ」という話とその理由を書きました。
まあ何をもって恥ずかしいとするかは非常に価値観の分れるところであり、むしろ本当に気にしていただきたい人ほど頓着してくださらないという、絶望的な現実があるにはあるのですが(笑)、ここでは「私は恥ずかしい格好で人前に立ちたくない」というコモンセンスをお持ちの方が、ではどうすれば恥ずかしい格好になってしまう事を避けるべく、客観的に良い衣装を選別できる目を養えるか、じっさいのフラ業者さんが出している広告やカタログなどを参考に、実例を示していきたいと思います。
しつこいのを承知でもう一度くり返しますと、私には特定の個人及び団体を中傷する意図は毛頭ありませんので、ここでも特定を避け、実際の広告などの写真ではなく、自筆のイラストにて説明させていただきます。
長い事フラ教室をやっておりますと、生徒さんが「こういう衣装が欲しい」とどこかの業者さんのカタログをお持ちになる事が何度かありました。
しかし、それを一目見るなり喪黒福造の「ドーーン!!!」を喰らったような衝撃に襲われた事も、正直申しまして一度や二度ではありません。
別に、その生徒さんのセンスが悪い訳ではないのです。
衣装に対してそれほどの関心をお持ちの方ですから、普段の服装だってむしろお洒落な方の方が多いくらいです。
しかしながら、彼女達の持ってくる写真は少なからず、私にこういう心の叫びを引きおこしました。
騙されてる。あなた騙されてるわよと。
とはいえ、業者さんからしてみれば「騙すつもりで騙している」わけですよ。
まあ騙すって言い方は良くないですね。ココで言っているのは、いつぞやの残念おせちのように「届いたものが見本と違う」という話ではないのですから。それは犯罪ですので論外です。
合法的な商売をしていても、自分のところの商品を出来るだけ良く見せる、今風に言えば「盛る」事によって売り上げを伸ばそうとする事は、企業として当然の努力です。
とはいえ、カタログやフラ雑誌の広告に載っているものをそのまま鵜呑みにして注文してしまうと、届いた品物は同じでも、いざ自分が着てみたら「こんなハズじゃなかった!!」と絶叫するハメになりかねません。
今回の私の記事では、そういう喜劇…じゃなかった悲劇から一人でも多くの方を救い出すべく、フラ雑誌やカタログでドレスを見る際、どこに注意すれば巧妙な「盛り」に騙されずに済むか、えげつなく解説させていただきます。
(1) 「ジョジョ立ち」には気をつけろ!
「ジョジョ立ち」とは、かの有名な漫画の登場人物達がコミックス表紙などで行っている、およそ人間離れしたポーズの事です。
人間離れしてはいますが独特の美しさがあり、是非身に付けたいと願うファン向けの講座まで開講されているようです。
しかし!!!
我々が志すのは奇妙な冒険ではないッ!!!
フラなんだァーーーッッ!!!
…いかんいかん、あまり慣れぬパロディをやらかすと本物のファンの皆様に殴られそうだからこのくらいにして(※もちろん殴られれば「メメタァ」と鳴きます)、冗談は抜きにしても、「そりゃジョジョ立ちのつもりかッ!?」と突っ込みたくなるようなポーズをしたモデルやマネキンが、ここ数年増えて来ているのです。
例えばこんなの。
あらゆるジョジョ立ちの共通点といえば、必ず「捻り」が加えられている事ではないでしょうか。
手足を交差させていたり、ウェストを捻るなどして(ちょっと無理な角度まで)振り向いたり、そうやって生み出されたアシンメトリーこそジョジョ立ちの美しさだと思います。
そして、これらのフラの衣装のマネキン達は、まるでそんなジョジョ立ちへのリスペクトを表しているかのごとく、きょくたんに左右の肩の高さを変えてウェストを捻くらかしてます。
いやフラでカラダ捻っちゃダメだろ!?
どれほど荒木飛呂彦先生を崇拝していようと、フラに取り入れちゃいかんッ!!!
ジョジョ立ちマネキンの身体のラインを赤い点線で示すとこのようになります。
コレを実際の踊りに取り入れますと、左図のようにジョジョ立ちとはほど遠いフラとして余りにも残念な状態が出現します。
まあ、マトモな踊り手ならまずやりませんね、こういう体勢は。
正しいフラの姿勢にすると、右の赤線のように肩のラインが真っ直ぐになり(肩の高さをかえる場合もごく静かに動き、急激に左右の高低差が生じるような事があってはなりません)、背骨にも一本の芯が通ったように真っ直ぐになり、ちょうどTの字を形成します。
フラにおいてジョジョ立ちを行う事はまずありません(写真撮影の際にやってるダンサーがいたら、私は迷わずヘタな人認定します)。
他の分野、他のダンスでは美しいとされる姿勢でも、フラにおいてはそうではないという好例です。
と、いうことは。
もしあなたがこのジョジョ立ちマネキンの着ている衣装を着て人前に立ったとき、この状態を目撃する人は皆無だという事です。
ですから、マネキンにジョジョ立ちをさせた姿がどんなに美しかろうとそれは無意味です。
このようにマネキンの胴体を捻くらかせて撮影している場合、何か目くらましをしたいのかもしれないと疑いましょう。
たとえば、もし同じ衣装で真っ直ぐ立ったら、ウエストはこんなにきょくたんにくびれて見えません。
ウェストを現実よりもくびれて見せているという事は、相対的にスカートのボリュームをじっさいより多く見せているという事であり、おそらく実物の衣装は、ジョジョ立ちマネキンで見るよりだいぶスカートのボリュームが少なく、スト~ンとしたつまらない形である事が予想されます。
まして、写真は立体映像ではありませんので、スカートを出来るだけ前に出し、横に広げ、よりボリュームを「盛る」事も可能です。
とりわけ、今回私が資料として使ったジョジョ立ちマネキンの衣装の写真は、マトモな分量があるスカートなら当然出来るはずのドレープが全く出来ておりませんでしたので、かなりショボい分量であろうと思われます。
ああ、「スカートのボリュームが足りないならペチコートで出せばいいじゃない」とは考えないでくださいね。
スカートのボリュームはペチコートでは誤魔化せません。
ショボい分量のスカートを無理矢理ペチコートで膨らましているのは傍から見てバレバレです。痛々しい感じが増すばかりで恥ずかしい上、揺れ方も硬くなり美しくありません。
バリバリした素材で少ない分量を誤魔化しているようなペチコートなら尚更です。
同じくショボいスカート分量を誤魔化そうという意図が透けて見えるポージングとして、下図のようなものも存在します。
立て膝って………(絶句)
ジョジョ立ち以上にフラから遠のいたわ!!(笑)
ちょ、ちょっとこういう体勢になるフラ(しかもドレスだからアウアナ)が思い当たらないのは私だけでしょうか…。
写真撮影のポーズったって、この座り方で撮ったら完全にヤンキーです。
あ、でもコレが韓国のチマチョゴリだったらケンチャナヨ(大丈夫だよ)。
韓国女性の正装であるチマチョゴリを着て正式な場でお食事などをする際、スカートがキレイに流れるよう、女性は立て膝で座るのだそうです。韓国人のご主人をお持ちの大学の先生から聞いた話だから確かだよ。
だから私もそれを聞いて以来、ビビンバの時は必ず立て膝にしているのですが、フラの衣装でビビンバを食べる事はそうとう稀なケースなんじゃないか…少なくともカタログのポーズに採用するほど頻繁に起る状況ではないような気がします。
まあこれも、実際にはお世辞にも多いとはいえない分量のスカートを出来るだけ前に出し、広げるための立て膝なんでしょうね。
さらに、ジョジョ立ちも立て膝も共通した「盛り」がもう一つあります。
それはいずれも足の長さが良く分らない事です。
これは「敢えて分らなくしている」のですよ。
自分の脚はこのくらいの長さがあるか、今一度冷静に自分のバランスを考えながら見てみましょう。
少なくとも、私は無いです(笑)。
裾の長さ=設定上の脚の長さを非常識に長くしてある事に加え、日本人が考慮しなければならないのは、ほとんどの日本人は足先の隠れるような長さのドレスでは踊らないという事です。
どうも日本人はスカートの裾を引きずる事に激しい嫌悪感を抱いているようですね。
ホロクーではないドレスやスカートの話です。
ハワイのクムやミュージシャンが飛び入りで踊るのを拝見していると、ヒールのある靴を履いた状態で既に床スレスレの靴を履いておられる方が多く、それで靴を脱いで踊る訳ですから、思いっきり裾を床に引いた状態で踊っていらっしゃいます。
しかし日本人は、一般的にロングと言われる丈であっても、裸足で床に立ったとき、くるぶしくらいまで出るものを好む方が多いように思われます。
踊り出しても、よほどダウンしない限り裾が床につく事はありません。
それは個人の好みですので、とくに「裾を引きずるのは生理的に耐えられない」と感じる人の場合、もちろんフラ用のロング丈のドレスやスカートも短くしていいのですが、ロング丈においてはスカートが短いほど脚が短く見えるという事は残念ながら事実です。
ところが、ジョジョ立ちマネキンも立て膝マネキンも、くるぶしどころか足先すら完全に隠れています。
ですから、たとえあなたの脚がマネキンと同じ長さだとしても、直立の状態で完全に床につく長さの裾で踊らないのであれば、じっさいのスカートはマネキンより短くなるという事です。
(2) 現実離れしたモデルは信用するな!
ハワイにはたまにバービー人形みたいなスタイルのダンサーがいます。
ご本人はダンサーと思っているのですが、彼女の踊りはフラというよりモデルさんポーズの連続なので、私が読者モデル=読モと同様に「フラモデル=フラモ」と名付けているような方もいらっしゃいますね(※だから誰とはいわない。バレバレでもいわない。)
そういう方々は日本でも人気が高かったりするので、様々な日本の業者さんのカタログや広告でモデルとして活躍なさっていたりします(※一人しか思い当たらないとか言わないように、ほら、ハワイには綺麗な子がいっぱいいますし)。
もちろん、彼女のファンになる事は無問題ですし、そんなファン向けに、あるいは前述のように自社の衣装を「盛る」為に、業者さんが積極的にモデルとして取り入れるのはごく自然な流れです。
しかし。
あまりにも現実離れした人がモデルを務めている場合、自分が着てもそっくりそのまま同じになるという事は、本当に辛く悲しい話ですが、まず滅多にありません。
そういうシビアな現実をシビアに具現化するとこうなります。
たとえば髪型、フラモの彼女がやっていたらお洒落で可愛く見えたとしても、自分がやるとむしろジョジョとはまた別の国民的人気漫画のあの人の方が近いという可能性は否定できません、いえ、どちらかというとそっちの気配の方が濃厚です。
また、首の長いフラモさんならスッキリと着こなせている襟元や袖のボリュームも、首の短い人や姿勢の悪い人が着るとどうにも野暮ったくなってしまうかもしれません。
そして、ボディコンシャスな衣装の場合、フラモさんのようにメリハリが出るとは限りません。
普通のモデルさんと違い、フラモさんは出るとこ出てる方もいらっしゃいますからね。
トドメはさっきジョジョ立ち&立て膝マネキンの項目でも言及した脚の長さです。
フラモさんは元々の脚が長い上、先程のマネキンと同じく、足先までスッポリ覆っている長さのドレスを着ている事もあり、こうなっちゃうともうバランスは完全に嘘と思って見た方がいいです。
スカートの中で、およそフラでは履かないようなヒールの高さの靴を履いてる可能性すらありますからね。
小物使いを見ても、フラモさんが付ければ素敵に見えても、あまり深く考えずに取り入れると悲惨な事になるので注意が必要です。
たとえば、あるフラモさんが某社の最新カタログで被っていらしたチュール付の帽子は、一見するとウチが大昔に使ったドレスハット(私がツイッターのアイコン画像で被っているもの)みたいですが、フラモさんの被っていたデザインですと、そのまま被ったら完全に冠婚葬祭です。
このように、フラモさんの写真を見て「綺麗or可愛い!→私も同じコトすれば同じになるっ☆」と、安易に考えないように気をつけましょう。
客観的に自分の顔立ちやスタイルを考えてみる、それが難しかったら直接現物を見に行く、そういった工夫が必要なのです。
本当に優れたデザインであれば、たとえフラモさんのような並外れた容姿でなくても、着た人を充分に美しく「盛って」くれるチカラを持っています。
「盛った」事によって実物よりマシに見せかけられたドレスに騙されるのではなく、逆に優秀なドレスのチカラを借りて自分自身を「盛れる」よう、日々是精進して見る目を養おうではありませんかッ!!!
なんか私、「後半へ続く~」と宣言すると決まって後半が書けなくなるっつージンクスがある気がする(笑)。
前回の【ヴィジュアル編】では「恥ずかしいカッコで人前で踊っちゃダメ」という話とその理由を書きました。
まあ何をもって恥ずかしいとするかは非常に価値観の分れるところであり、むしろ本当に気にしていただきたい人ほど頓着してくださらないという、絶望的な現実があるにはあるのですが(笑)、ここでは「私は恥ずかしい格好で人前に立ちたくない」というコモンセンスをお持ちの方が、ではどうすれば恥ずかしい格好になってしまう事を避けるべく、客観的に良い衣装を選別できる目を養えるか、じっさいのフラ業者さんが出している広告やカタログなどを参考に、実例を示していきたいと思います。
しつこいのを承知でもう一度くり返しますと、私には特定の個人及び団体を中傷する意図は毛頭ありませんので、ここでも特定を避け、実際の広告などの写真ではなく、自筆のイラストにて説明させていただきます。
長い事フラ教室をやっておりますと、生徒さんが「こういう衣装が欲しい」とどこかの業者さんのカタログをお持ちになる事が何度かありました。
しかし、それを一目見るなり喪黒福造の「ドーーン!!!」を喰らったような衝撃に襲われた事も、正直申しまして一度や二度ではありません。
別に、その生徒さんのセンスが悪い訳ではないのです。
衣装に対してそれほどの関心をお持ちの方ですから、普段の服装だってむしろお洒落な方の方が多いくらいです。
しかしながら、彼女達の持ってくる写真は少なからず、私にこういう心の叫びを引きおこしました。
騙されてる。あなた騙されてるわよと。
とはいえ、業者さんからしてみれば「騙すつもりで騙している」わけですよ。
まあ騙すって言い方は良くないですね。ココで言っているのは、いつぞやの残念おせちのように「届いたものが見本と違う」という話ではないのですから。それは犯罪ですので論外です。
合法的な商売をしていても、自分のところの商品を出来るだけ良く見せる、今風に言えば「盛る」事によって売り上げを伸ばそうとする事は、企業として当然の努力です。
とはいえ、カタログやフラ雑誌の広告に載っているものをそのまま鵜呑みにして注文してしまうと、届いた品物は同じでも、いざ自分が着てみたら「こんなハズじゃなかった!!」と絶叫するハメになりかねません。
今回の私の記事では、そういう
(1) 「ジョジョ立ち」には気をつけろ!
「ジョジョ立ち」とは、かの有名な漫画の登場人物達がコミックス表紙などで行っている、およそ人間離れしたポーズの事です。
人間離れしてはいますが独特の美しさがあり、是非身に付けたいと願うファン向けの講座まで開講されているようです。
しかし!!!
我々が志すのは奇妙な冒険ではないッ!!!
フラなんだァーーーッッ!!!
…いかんいかん、あまり慣れぬパロディをやらかすと本物のファンの皆様に殴られそうだからこのくらいにして(※もちろん殴られれば「メメタァ」と鳴きます)、冗談は抜きにしても、「そりゃジョジョ立ちのつもりかッ!?」と突っ込みたくなるようなポーズをしたモデルやマネキンが、ここ数年増えて来ているのです。
例えばこんなの。
あらゆるジョジョ立ちの共通点といえば、必ず「捻り」が加えられている事ではないでしょうか。
手足を交差させていたり、ウェストを捻るなどして(ちょっと無理な角度まで)振り向いたり、そうやって生み出されたアシンメトリーこそジョジョ立ちの美しさだと思います。
そして、これらのフラの衣装のマネキン達は、まるでそんなジョジョ立ちへのリスペクトを表しているかのごとく、きょくたんに左右の肩の高さを変えてウェストを捻くらかしてます。
いやフラでカラダ捻っちゃダメだろ!?
どれほど荒木飛呂彦先生を崇拝していようと、フラに取り入れちゃいかんッ!!!
ジョジョ立ちマネキンの身体のラインを赤い点線で示すとこのようになります。
コレを実際の踊りに取り入れますと、左図のようにジョジョ立ちとはほど遠いフラとして余りにも残念な状態が出現します。
まあ、マトモな踊り手ならまずやりませんね、こういう体勢は。
正しいフラの姿勢にすると、右の赤線のように肩のラインが真っ直ぐになり(肩の高さをかえる場合もごく静かに動き、急激に左右の高低差が生じるような事があってはなりません)、背骨にも一本の芯が通ったように真っ直ぐになり、ちょうどTの字を形成します。
フラにおいてジョジョ立ちを行う事はまずありません(写真撮影の際にやってるダンサーがいたら、私は迷わずヘタな人認定します)。
他の分野、他のダンスでは美しいとされる姿勢でも、フラにおいてはそうではないという好例です。
と、いうことは。
もしあなたがこのジョジョ立ちマネキンの着ている衣装を着て人前に立ったとき、この状態を目撃する人は皆無だという事です。
ですから、マネキンにジョジョ立ちをさせた姿がどんなに美しかろうとそれは無意味です。
このようにマネキンの胴体を捻くらかせて撮影している場合、何か目くらましをしたいのかもしれないと疑いましょう。
たとえば、もし同じ衣装で真っ直ぐ立ったら、ウエストはこんなにきょくたんにくびれて見えません。
ウェストを現実よりもくびれて見せているという事は、相対的にスカートのボリュームをじっさいより多く見せているという事であり、おそらく実物の衣装は、ジョジョ立ちマネキンで見るよりだいぶスカートのボリュームが少なく、スト~ンとしたつまらない形である事が予想されます。
まして、写真は立体映像ではありませんので、スカートを出来るだけ前に出し、横に広げ、よりボリュームを「盛る」事も可能です。
とりわけ、今回私が資料として使ったジョジョ立ちマネキンの衣装の写真は、マトモな分量があるスカートなら当然出来るはずのドレープが全く出来ておりませんでしたので、かなりショボい分量であろうと思われます。
ああ、「スカートのボリュームが足りないならペチコートで出せばいいじゃない」とは考えないでくださいね。
スカートのボリュームはペチコートでは誤魔化せません。
ショボい分量のスカートを無理矢理ペチコートで膨らましているのは傍から見てバレバレです。痛々しい感じが増すばかりで恥ずかしい上、揺れ方も硬くなり美しくありません。
バリバリした素材で少ない分量を誤魔化しているようなペチコートなら尚更です。
同じくショボいスカート分量を誤魔化そうという意図が透けて見えるポージングとして、下図のようなものも存在します。
立て膝って………(絶句)
ジョジョ立ち以上にフラから遠のいたわ!!(笑)
ちょ、ちょっとこういう体勢になるフラ(しかもドレスだからアウアナ)が思い当たらないのは私だけでしょうか…。
写真撮影のポーズったって、この座り方で撮ったら完全にヤンキーです。
あ、でもコレが韓国のチマチョゴリだったらケンチャナヨ(大丈夫だよ)。
韓国女性の正装であるチマチョゴリを着て正式な場でお食事などをする際、スカートがキレイに流れるよう、女性は立て膝で座るのだそうです。韓国人のご主人をお持ちの大学の先生から聞いた話だから確かだよ。
だから私もそれを聞いて以来、ビビンバの時は必ず立て膝にしているのですが、フラの衣装でビビンバを食べる事はそうとう稀なケースなんじゃないか…少なくともカタログのポーズに採用するほど頻繁に起る状況ではないような気がします。
まあこれも、実際にはお世辞にも多いとはいえない分量のスカートを出来るだけ前に出し、広げるための立て膝なんでしょうね。
さらに、ジョジョ立ちも立て膝も共通した「盛り」がもう一つあります。
それはいずれも足の長さが良く分らない事です。
これは「敢えて分らなくしている」のですよ。
自分の脚はこのくらいの長さがあるか、今一度冷静に自分のバランスを考えながら見てみましょう。
少なくとも、私は無いです(笑)。
裾の長さ=設定上の脚の長さを非常識に長くしてある事に加え、日本人が考慮しなければならないのは、ほとんどの日本人は足先の隠れるような長さのドレスでは踊らないという事です。
どうも日本人はスカートの裾を引きずる事に激しい嫌悪感を抱いているようですね。
ホロクーではないドレスやスカートの話です。
ハワイのクムやミュージシャンが飛び入りで踊るのを拝見していると、ヒールのある靴を履いた状態で既に床スレスレの靴を履いておられる方が多く、それで靴を脱いで踊る訳ですから、思いっきり裾を床に引いた状態で踊っていらっしゃいます。
しかし日本人は、一般的にロングと言われる丈であっても、裸足で床に立ったとき、くるぶしくらいまで出るものを好む方が多いように思われます。
踊り出しても、よほどダウンしない限り裾が床につく事はありません。
それは個人の好みですので、とくに「裾を引きずるのは生理的に耐えられない」と感じる人の場合、もちろんフラ用のロング丈のドレスやスカートも短くしていいのですが、ロング丈においてはスカートが短いほど脚が短く見えるという事は残念ながら事実です。
ところが、ジョジョ立ちマネキンも立て膝マネキンも、くるぶしどころか足先すら完全に隠れています。
ですから、たとえあなたの脚がマネキンと同じ長さだとしても、直立の状態で完全に床につく長さの裾で踊らないのであれば、じっさいのスカートはマネキンより短くなるという事です。
(2) 現実離れしたモデルは信用するな!
ハワイにはたまにバービー人形みたいなスタイルのダンサーがいます。
ご本人はダンサーと思っているのですが、彼女の踊りはフラというよりモデルさんポーズの連続なので、私が読者モデル=読モと同様に「フラモデル=フラモ」と名付けているような方もいらっしゃいますね(※だから誰とはいわない。バレバレでもいわない。)
そういう方々は日本でも人気が高かったりするので、様々な日本の業者さんのカタログや広告でモデルとして活躍なさっていたりします(※一人しか思い当たらないとか言わないように、ほら、ハワイには綺麗な子がいっぱいいますし)。
もちろん、彼女のファンになる事は無問題ですし、そんなファン向けに、あるいは前述のように自社の衣装を「盛る」為に、業者さんが積極的にモデルとして取り入れるのはごく自然な流れです。
しかし。
あまりにも現実離れした人がモデルを務めている場合、自分が着てもそっくりそのまま同じになるという事は、本当に辛く悲しい話ですが、まず滅多にありません。
そういうシビアな現実をシビアに具現化するとこうなります。
たとえば髪型、フラモの彼女がやっていたらお洒落で可愛く見えたとしても、自分がやるとむしろジョジョとはまた別の国民的人気漫画のあの人の方が近いという可能性は否定できません、いえ、どちらかというとそっちの気配の方が濃厚です。
また、首の長いフラモさんならスッキリと着こなせている襟元や袖のボリュームも、首の短い人や姿勢の悪い人が着るとどうにも野暮ったくなってしまうかもしれません。
そして、ボディコンシャスな衣装の場合、フラモさんのようにメリハリが出るとは限りません。
普通のモデルさんと違い、フラモさんは出るとこ出てる方もいらっしゃいますからね。
トドメはさっきジョジョ立ち&立て膝マネキンの項目でも言及した脚の長さです。
フラモさんは元々の脚が長い上、先程のマネキンと同じく、足先までスッポリ覆っている長さのドレスを着ている事もあり、こうなっちゃうともうバランスは完全に嘘と思って見た方がいいです。
スカートの中で、およそフラでは履かないようなヒールの高さの靴を履いてる可能性すらありますからね。
小物使いを見ても、フラモさんが付ければ素敵に見えても、あまり深く考えずに取り入れると悲惨な事になるので注意が必要です。
たとえば、あるフラモさんが某社の最新カタログで被っていらしたチュール付の帽子は、一見するとウチが大昔に使ったドレスハット(私がツイッターのアイコン画像で被っているもの)みたいですが、フラモさんの被っていたデザインですと、そのまま被ったら完全に冠婚葬祭です。
このように、フラモさんの写真を見て「綺麗or可愛い!→私も同じコトすれば同じになるっ☆」と、安易に考えないように気をつけましょう。
客観的に自分の顔立ちやスタイルを考えてみる、それが難しかったら直接現物を見に行く、そういった工夫が必要なのです。
本当に優れたデザインであれば、たとえフラモさんのような並外れた容姿でなくても、着た人を充分に美しく「盛って」くれるチカラを持っています。
「盛った」事によって実物よりマシに見せかけられたドレスに騙されるのではなく、逆に優秀なドレスのチカラを借りて自分自身を「盛れる」よう、日々是精進して見る目を養おうではありませんかッ!!!