フィリピンではこの手の話が少なくない。
パラワン[沈船]で有名なダイビングスポット「コロン」。
ダイビング仲間-ピーターの話。
彼が中学の頃、親父がサブベージ会社をやっていた。
ある日、年配の日本人がやって来て、ボートとダイバーをレンタルした。
夏休みでもあり、ピーターも同行した。
目的は、沈船の船首にくっついている「丸い金属」を持ち帰ること。
現場に着いて、ダイバーが潜った。
日本人が正確な地図を持参していた。
30分後、ダイバーが何かの塊を持ち帰った。
日本人が言った「それは戦友の形見」だ、と。
結局、その塊だけを持って日本人は去った。
ピーターが大人になった時「疑問が湧いた」。
何故、わざわざパラワン島まで、そんな塊を取りに来たのか?
サルベージのチャーターも安くは無い。
ピーターがハワイの戦争博物館を訪ねた時に、それは判明した。
その塊は金塊だったのだ、戦争の初期に作られた軍艦には船首に金でできた「菊の紋」を飾っていた。
恐らく、その日本人は場所の再確認をして、後で戻って来るつもりだったのが、何かの事情で来れなくなった。
それから30年、当時潜ったダイバーは既に故人、場所も不明。
もしその時に、目的が読めていれば、何かの「目印」を細工できたかもしれないが、、、。