京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

垢を落としましょう

2022年12月21日 | 日々の暮らしの中で

「 赴けば参りつかねどまづ見ゆる東寺の塔の尊かりけり」と詠んだのは浅井了意。
東寺では毎月21日に市が立つ。一年最後の今日は終い弘法と呼ばれ、正月用品や花などを買い求める人でごった返したに違いない。

東本願寺(お西も)では昨日、畳をたたいて一年のほこりを払う「おすす払い」が終わった。
「一年の心の煤を払はばや」と子規の句にある。
その昔、寺の掲示板にあった「毎日お風呂に入るなら、心の垢も落としましょう」という言葉を中学3年生に紹介したところ、「ほんまやなあ」と発した子がいた。しゅうぞうクンだった。感心しきりといったひと言。
息子より二つ上だったかな。すす払いの時季になると、「心の垢」を決まって思いだす。


そして26日は息子の誕生日。心ばかりのものを贈った。
私の誕生日に彼からメッセージが届いた。「当日に間に合わないんだけど、もうちょっと待っててー」とも添えてあって、でもそれから5カ月になろうとして、まだ届かない。いいんよ、別に。
お互い、夏場も師走もいろいろ忙しい。


昭和13年 12月21日 曇-雨
「冬の雨らしくない雨である。どうしてことしはこんなにぬくいのだろう。(中略)
今日は誰も来てくれなかった。誰をも訪ねてゆかなかった。もくもくとしてしめやかな一日だった。
ノーマネーそしてノーアルコールの一日でもあった。…
・愚を守る
・貧乏に落ち着く
・無能無力に安んずる
・おのれにかへる  」

11月に其中庵から湯田の風来居に移っている。思いが鬱するのか、寂しげで、悔やんだり、懐かしんだり、不眠を嘆き、執着のいろいろを記し…、と年が暮れゆく山頭火。
読んでいても気分が重く、なんか哀しいねえ…。
中古書店で3冊だけ買い求めてみたが、お返ししよう。自分は山頭火にさほど関心がないということだろうと考えた。
そんな類の本を取り出しては、また戻し。

新年へ、年の瀬の行事を一つずつこなして…。
                     (小林良正さんのほほえみ地蔵)

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