京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

しみじみ、そして晴れやかに

2023年11月15日 | 日々の暮らしの中で
つわぶきの黄色い花が晩秋から初冬の庭の一画に、目も覚める鮮やかさで目に入る。脳天を一本何かがツーッと突き抜けるような晴々しさだ。
〈つはぶきはだんまりの花嫌ひな花〉と三橋鷹女は詠んだけれど、一隅を照らすほどの花の色の鮮明さに好ましい魅力を感じる。
早くも一番の見ごろは過ぎてしまった。


つわぶきと言えばもう一人、網野菊さん。
幼少時に実母と別れ、以後3人の継母に育てられた。
「母、母、母。母は沢山あるけれど、本当に心から甘え懐かしめる母は一人もない」と書いている(『おん身は花の姿にて』)。
生涯志賀直哉を師として文学の道を歩んだ菊さん。「不幸のときいつも文学に立ち戻る」とも。

網野菊の作品から感じられる〈ひとり暮らしの凛々しさが好き〉だ。〈孤独の内に砂漠をつくりあげることは誰にでもできる。しかし、そこに花を咲かせることができるのは、豊かな心だけである〉と江藤淳。


〈冬支度するも一人や石蕗の花〉
菊さんの、自身気に入っていると書いていたこの句を、やはり今年もしみじみ味わう。

明後日17日、孫娘は晴れやかに高校の卒業式を迎える。
当日はYoutubeで式がライブ配信されるとのこと、姿を探せるかどうか。
午前中に式典を終え、パーティまでの間に髪を整え、メイクしてもらって…。このための場所移動に運転手は大変だ、と言いながら親は出番を待つ。


「今日は友だちと“まつげつけにいってる”」
3歳。小さい頃から身を飾ることが好きだった…。

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6 コメント

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大先輩の祖母! (Unknown)
2023-11-16 16:52:02
おめでとうございます。
孫娘さんの高校卒業という一つの節目を迎え、先ずは大きな安堵を与えられましたね。
そしてこれから始まる新たな生き方に色んな思いを重ねながら成長を見守る。
祖母という立場の有難さも感じながら、少し心配もするとてもいい充実の時間ですね。
大いに頼りにされているのに、実は音信も途絶えがち。
そんなギャップを感じながらも精一杯気を揉み心配する、そんな役割を演じられるのも祖母という存在でもありますね。
しっかり楽しみながらしっかり応援してあげてくださいね。
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Unknown (なおとも)
2023-11-16 19:51:22
お孫様の高校ご卒業おめでとうございます。
感無量でしょうね。YouTubeでお姿見つかる事をお祈りしています。いつも、素晴らしいブログ、楽しみに、また勉強に拝読しています。有り難うございます。なおとも
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節目に、ありがとうございます Unknownさん  (kei)
2023-11-16 20:42:43
Unknownさん、お言葉ありがとうございます。
病院の廊下で産声を耳にしてから18年が過ぎました。
幼いころから日本での暮らしも体験しながら、私たちを楽しませてもくれました。
やがて社会人となるために、選んだ道を新たに歩み始めるでしょう。
これからですよね。何がしたいのでしょう(笑)
そんな話もこれから聞かせてもらいます。
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ちらっとでも…と(笑) なおともさん (kei)
2023-11-16 21:01:50
なおともさん、いつもありがとうございます。
そしてまた今日は卒業祝いのお言葉を嬉しく頂戴いたしました。
中学3年生を前にしてオーストラリアに戻り、父娘の生活が始まりました。高校進学を考えてのことでした。その1年後、大阪を引き払って家族は合流しました。
上手に乗り越えてこの日を迎えることができましたのは安堵しています。
これからだな、と思っております。

狭い個人的な関心にとどまるところで思いを残しているだけで、「素晴らしい」などとは無縁です。
幾つもの人生があること、読書を通しても教えられています。
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ご卒業おめでとうございます! (Rei)
2023-11-17 10:29:45
幼い時からずっと見守ってこられたKeiさん
一入思いは深いことと思います。
立派なお嬢さんに成長なさいました。
月並みな言葉ですが「光陰矢の如し」です。
卒業式を終えられ近々に京都へ来られるのでしたね?
指折り数えてその日を待っておられることでしょう。
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指折り数えて Reiさん (kei)
2023-11-17 20:42:59
Reiさん、ありがとうございます。
幼稚園、小学校を京都でも体験入学の形で学ばせてもらいましたことを思いだしました。
大阪に住まいを移したときの、中学校の担任にこの姿を見ていただきたくもなりました。
こうした体験がいつか何かの役に立つことはあるかもしれませんね。
スリットの入ったドレスから脚を出して、内心「あらまあ~」の思いでしたが、
みんなこんな格好だと娘は言います。

大阪時代の友達と数日遊んでから京都にやってきます。
名古屋に向かう友人と一緒です。
よい想い出を作って帰れますよう久しぶりに気張らなくっちゃなりませんが、気力体力がもちますかどうか。
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