京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

赤色浄土

2024年02月16日 | こんな本も読んでみた
赤地にこの「絵師金蔵赤色浄土」の文字。「赤色浄土」の文字は、かなりのインパクトをもって飛び込んできた。
棚から引き抜いて、この装幀に目を見張った。
なんの情報も持たない初めて読む作家だが、これは出会いだった。


【幕末の動乱は土佐国も大きなうねりで吞み込んだ。様々な思想と身分の差から生じる軋轢は、人々の命を奪っていった。金蔵はそんな時代に貧しい髪結いの家に生まれた。類まれなる絵の才能を認められ、江戸で狩野派に学び「林洞意美高」の名を授かり凱旋。国元絵師となる。
しかし、時代は金蔵を翻弄する。人々に「絵金」と親しまれながらも、冤罪による投獄、弟子の武市半平太の切腹、そして、土佐を襲う大地震…。
金蔵は絵師として人々の幸せをいかに描くかに懊悩する。やがて、絵金が辿り着いた平和を願う究極の表現とは…。】 (帯裏に)


「知で血を洗う出来事は、血をもって浄化するしかない。死んでいった者、今生きて不安を抱えている者たちの魂をおさめたい」

人間の喜怒哀楽の感情を文章によって丁寧に紡ぐ。その描写が人間を立ち上げるのだろう。
絵画では、苦悩、怒り、喜び、哀しみをどう描けば訴える力を持つか。金蔵の「仰天するような構図、強烈な色彩」は、すさまじさあふれるものだった。



江戸では、浮世絵師、川鍋暁斎が人気を得ていた。彼の名が2回ほど作品中に出てきた。暁斎の娘とよ(暁翠)を主人公にした『星落ちて、なお』(澤田瞳子)がある。ここへ流れようかと迷ったけれど、今日の書店行きには目的があった。


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2 コメント

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赤色浄土 (サッ チー)
2024-02-17 15:02:43
赤いカバーのインパクトある本ですね。
絵師の話が続いて、面白くなりそう。
キット心に残り、真っ赤な情熱が心の中に燃えるかな。私も楽しみです。😃 
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絵師 (kei)
2024-02-17 20:45:37
こんばんは。
『火定』『プリズン・ブック・クラブ』も赤色の装丁でしたが、これまた格別?強烈です。
武市半平太、以蔵、吉田東洋、山内容堂…龍馬…
かつてのテレビドラマの俳優さんの顔が
浮かんで困りました。
そうした時代の中に生きた、一人の絵師の存在を初めて知りました。

鎮魂。こんな言葉が浮かびました。
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