京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

カムイのうた

2024年02月08日 | 映画・観劇
「『アイヌ神謡集』の著者、知里幸恵をモデルにした映画「カムイのうた」の製作が7月から始まった」



ここにある7月とは2022年の7月のこと。 - 北海道東川町が企画し、ふるさと納税で支援を募り、翌年秋には完成予定、などとある切り抜きを、まあご丁寧に保存していたというわけ。
ようやくこの2日から映画の公開が始まった。



【アイヌの昔話やアイヌの神様たちの話「カムイ・ユカㇻ」を祖母からいっぱい聞かせてもらった。自分の民族の誇りをこれだけ持つことができるようになったのも祖母のおかげだ】と菅野茂さん(『アイヌの碑』)。

【ユーカラ、昔から伝わる数多くの話は、主人公が人か英雄か女か、また、語る内容、目的、形式などで分けると何種類にもなり、それぞれが地域ごとに特色を持っている】とあった(『アイヌの世界に生きる』茅辺かのう)。

菅野氏の著書には、シャモの多い学校に通って苛められ、罪人にされ、差別的な言葉を浴びせられ、強制労働に従事させられ、アイヌ語の言葉を禁じられ、同化政策を押しつけられ…。アイヌ民族が歩んできた悲しい歴史も詰まっている。


「大正6年、学業優秀な北里テルはアイヌとして初めて女子職業学校に入学するが、理不尽な差別といじめに遭う。ある日、アイヌ語研究の第一人者である東京の兼田教授が、テルの叔母イヌイェマツのもとへアイヌの叙事詩ユーカラを聞きに来る。テルは教授の強い勧めでユーカラを文字にして残すことに着手し、その日本語訳の素晴らしさから、東京で本格的に活動することに。」
アイヌ民族が口承で伝えてきた叙事詩ユーカラを「神謡集」としてまとめ、工夫を凝らした日本語訳をしたテル。
1903年に生まれたテル(幸恵)は19歳の若さで亡くなった。

こうした類の本をちょろっと読んではみるが、アイヌ語の一つも覚えられない。それでも、こうして生きた人たちがいたのだ…と感慨をいだく。人間として非道な姿を見せつけられれば、不快極まりない思いがわく。決して今現在と隔絶した話ではないのであって、自分にもきっとそうした排他的な部分はあるだろうと顧みるし、反省につながりもする。

「この150年、あるいはそれ以上前からの、アイヌの辛かったことや楽しかったことが、すべて凝縮されてこの映画が出来ると思っています」
と何かに書かれていた。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
keiさんの見識の広さ。 (サッ チー)
2024-02-10 16:43:16
こんにちは。
 昨日は病院通いでした。
 長い時間待たされる時間がもったいなくて、本を持ってゆきます。「風神雷神」上・下(原田マハ著)
 時間が掛かりそうですが、楽しみです。
 Keiさんの見識の広さには驚きます。
 (余談ですが、昔仕事場にすごく美人のお母さんがいらして、ハーフかと思ったので出身をお聞きしたら「アイヌなのです」と言われて驚きました)
それでも、私は深く考えることもなく過ぎてゆきました。)
 人間の運命というか、生き様を深く考えもせずに
 生きていて、Kei様のように深く人間愛を考えることは素晴らしいです。
 我が身の軽さに情けなさも感じています。😅
 
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物語に師をがいたりです、サッチーさん (kei)
2024-02-10 20:31:46
こんばんは。
今度は宗達の物語ですね。
原田マハさんを知ったのはそんなに前ではないのですが、多作なのに驚いています。
読んだのはたったの1冊。「風神雷神」、こんど書店でのぞいてみます。

いえいえ、ただ関心が…。そうした関心もやはり小説から端を発して、
少しずつ広がってきたという程度のものです。
割と早い若い時期に『橋のない川』を通読しました。
理不尽さ。これは心に巣くいました。関心の発端だったのかなと振り返っています。
熊谷達也、川越宗一、玉岡かおる、西條奈加さんの作品からもたくさん教えていただきました。
幾つになっても、知ることがまず第一歩ですね(笑) 
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