京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

楽しんで100円儲けたら

2024年05月14日 | 日々の暮らしの中で

柿若葉に目を細めていたのは束の間、緑の色は深まって、そよぐ風にざわざわと葉音を立てる。この緑の重なりの下にはびっしりと、うつむき加減で柿の花が咲き出した。

オニグルミの木にも爽やかな緑色の葉が茂り、赤い花穂が出て、こうして形を成してきた。



「若葉の梢涼しげに茂りゆくほどこそ、世のあはれも、人の恋しさもまされ」
ほんとですねえ、兼好さん。
こんな季節に母の日がやってきて、子供たちから「お母さん」と呼びかけられるが、わたしも「おかあさん」って呼んでみたくなる。

連休中、20冊ほどの文庫本を中心にブックオフ行きとして取り出し、紙袋に入れておいた。
しばらく置いておくと手放すのが惜しくなり、元に戻す。そして別候補が袋に入る。そんなこんなを繰り返していると、
「読んでいない本を残して、読んだ本を売るのは間違いで、読んだ本こそ残すべきだ」と言われる出久根達郎氏の言葉を目にした。

〈ブ〉では「書名は基本的に見ていません」そうだ。まず見た目がきれいであること。新しいものであること。そして店の在庫の状態で、買い取り価格が決まる。店舗での販売価格が買い取りの基準になるというから、この網から洩れてしまえば、売っても10円、5円なんて結構あることだ。


【売る方には買った時の思い入れがあるんですよ。でも、買う側とは必ずしも一致しない。客に買い取り価格が安いと言われたら、「でも、この本読んで楽しんだでしょう? それで100円儲けたらいいじゃない」】

と言うことにしていると出久根氏の談話が引用されていた。(岡崎武志『読書の腕前』)。この本も河原町通りに面した〈ブ〉で買ったもの。

おっしゃる通りですな。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
兼好法師 (Rei)
2024-05-15 11:33:49
小倉百人一首にあったような?思い違いでしょう。
官職から出家されたのですね。
若葉の季節にふさわしい歌、私には難しい歌です。

ブックオフは亡夫他界後、夫の親しい友人数人に
来ていただいて、何冊かもらっていただき
残りはブックオフに大きな段ボール一箱売りました。
その後〈ブ〉とはお付き合いはありません。
老人ホームへもましてや冥途へ持ってはいけませんのに・・・・
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増え行くばかりでに… Reiさん (kei)
2024-05-15 14:11:14
『徒然草』、「折節の移りかはるころこそ、ものごとに哀なれ」の一文で始まる第19段のなかの一節です。
「…祭の比」の若葉の梢…。
ちょうど今日はその葵祭です。日差しがほとんどありません。

ご主人様が遺された本について何度か拝読した記憶があります。
4店舗のブックオフが行動範囲の中にありまして(笑)、気ままにのぞいています。
文庫本中心で少しずつ減らす程度の処分は楽ですが、それでさえも思い切り悪くています。
我が家も夫の書庫はすごいことになっています。大量の処分って難しそうですね。
資源ごみでは灰になるだけ。図書館寄贈は有難迷惑になることも…。
著者はなるべく古本屋さんへと薦めています。それでも買い取りたくない本もあると言いますし…。
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古本屋へ? (Rei)
2024-05-15 14:48:19
今では古本屋がどこにあるかもわからず
自由に行動もむつかしく困りました。
作品には作者の魂が宿っているような気がして
安易に処分したくない気がしています。
亡夫の本は専門書が大半、処分も気が楽でした。
余命短い今になり、遺された者が困るかと思いますと
それも又困る一つです。「お悩み相談欄」になりました。
すみません
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若葉の梢涼しげに茂りゆくほどこそ (りりん)
2024-05-16 12:23:01
こんにちは
オニグルミの赤い花穂、初めて見ます。
こんな風に実がつくのですね。
近くの家の敷地にクルミの樹があって、秋に実を採るのですが。
こちらでももうじき見れるかな。

私は好きな作家の本は全部今のところ残しています。
ブックオフ、使ったことありますが、買取価格が安くて(^^♪
最近はメルカリで。
後は自宅から送付の業者も使ったことがあります。

>わたしも「おかあさん」って呼んでみたくなる。
胸に沁みます・・・。
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ほんと、いざとなると困りものですね Reiさん (kei)
2024-05-16 14:41:06
古本屋さんにも本棚には傾向のようなものがありますからジャンルで分けて、文学関係は○○書店などと
20-30冊ぐらいずつこまめに売るのが高く買い取ってもらうコツだそうです(笑)
日本を代表するような文学者の個人全集、函入りの立派な本、高い値が付きそうですが今はほとんど需要がないとあります。
なかには店も客も血眼になって探しているものはあっても、
普通の家庭においてあった2.30年前の全集はまず値がつかない・・・と。
拾い読みだけでも(そうか、そうか)とうなづいていますが、
「古本と古本屋の業態に関する知識のない人が、売る前に、あえこれ皮算用するのはムダといっていい」。
この古い文庫は買い取ってもらえて5円がいいとこ、など思いながら出したりしまったりしてます。
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メルカリも、ですね  りりんさん (kei)
2024-05-16 15:05:40
新聞でオニグルミの冬芽が紹介されたのを機に、この数年、変化を見つめているのですが、
まあ、変わらず同じような変化です(笑) 当たり前?
ぜひ様子見に足を運んでみてください~。
花穂が出るまでの変化が一番楽しく思います。

むか~しむかし読んだ本、そうした中で減らそうとすれば、5円、10円は良しとしなくてはなりませんね。
それでもそんな値で手放すのが惜しくなって、また仕舞い込むのです。思い入れがあるのでしょうね。
本は財産と硬く考えて、いざとなると困ることもあるものですね。

母娘(子)、家族として一緒に暮らす時間って本当に少ないものです。

今日、柚木さんの「オール・ノット」を知って、読んでみたくなっています。
〈ブ」を探してみます。探すこと自体も楽しみなのです。また増えてしまう…。
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