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京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

こくと香りの深みに

2023年07月24日 | こんな本も読んでみた

向田邦子さんの食べ物のエッセイに「もったいぶって手順を書くのがきまり悪いほどの単純なもの」という一節がありましたが、これも同様で、ソルダム酒を作りました。
材料は
  ソルダム 1kg
  レモン  4個
  氷砂糖  400g
  ホワイトリカー 1.8 ℓ

ソルダムは縦に2カ所の切り込みを入れ、氷砂糖、皮をむいて半分にしたレモン、ホワイトリカーを瓶に入れて漬け込みます。約3ヵ月で熟成。果実はこの時点でのぞきます。


『豆腐屋の四季 ある青春の記録』を読みながら、三浦しをん『月魚』を読み終えて、
思いを強くすることがある。
『豆腐屋の四季…』が書庫に収まってしまっていることがとても惜しい、ということだ。
書棚に並んでいても、縁なく終わる本は山とあるわけだが、書庫には良い本がたくさん眠っているんだろうなあと日頃思っている。


古書店「無窮堂」3代目当主・本田真志喜(24)と、幼いころから兄弟のように育った同業界に身を置く瀬名垣太一(25)。
35000冊の蔵書の査定依頼を受けた瀬名垣と真志喜。寄贈か売るかでもめる遺族に、
真志喜は言う。

「図書館に入ってしまったら本は死んでしまう。流通の経路に乗って、欲しい人の間を渡り歩ける本を、生きている本というんだ」
「図書館の蔵書になったらカバーも函も捨てられ、無粋な印を押され、書棚に並べられればまだよいが、下手をするとずっと書庫に収められたままですよ。チャリティーバザーのときにただも同然で売りさばかれるのです」
「ろくに目録もつくらず、バザーや廃品回収業者に安く払い下げられ、そういう本が古書市場に流れてくる」

文章に作品に、色気がある。キャラクターが魅力だ。
心情に葛藤あり、融和ありのドラマがあって、自分を見つめ、相手を思い、官能の色も濃く? 想像の余地があって余韻が残る。
しをんさんの世界だろう。
二人の間におきたある出来事、それによる二人の関係の展開。本当はどうだったんだろう…なんて。

大きな事件も場面転換もないけれど何度か読み返したくなる、こくと香りの深みにはまる。
コメント (4)
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