「曇りふたがる」日々も中休み、雨上がりのわりに風が爽やかに吹き抜ける。
大物の洗濯をしている間に本堂も庫裏も窓や戸を開放してまわる。はては押し入れや戸袋にも手を広げるから「茂るままなる」草などには当然目をつむる。
洗濯物を庭に広げ、掃除機をかけて拭き掃除。
こんな日の営みは、代代の女たちによってきっと同じように繰り返されてきているのだろう。
梅雨明けを待つ心持ちなど、昔も今も変わるものではないと思いながら、いただきものの田中長さんの奈良漬けを噛みしめお茶漬けをすする昼餉。

夕飯の時間になると「とーふ とーふ」とラッパが聞こえてくる。「こだわりのおいしいおとうふはいかがですか」
と、ああ今日は金曜日だと必ず思うのだ。
豆腐屋さんのラッパに乗って、葉室麟さんが『豆腐屋の四季 ある青春の記録』(松下竜一)について書かれた、読んで間がないエッセイを思いだした。
松下竜一さんは大分県中津市で家業の豆腐屋を継ぐかたわら作歌を始めた。
「松下さんの短歌は根底に何ごとかへの怒りを内包している」
「短歌として洗練され、研ぎ澄まされた言葉はたとえ、ささやかでも風なのだ。風はたゆむことなく世の中を変えていく。だから、一人の若者が言葉によって何ごとかを成そうとした勇気を大事にしたいのだ」
この世はさまざまな風が吹く。
風を通して、家空間の肌触りもよくなった気がする。
大物の洗濯をしている間に本堂も庫裏も窓や戸を開放してまわる。はては押し入れや戸袋にも手を広げるから「茂るままなる」草などには当然目をつむる。
洗濯物を庭に広げ、掃除機をかけて拭き掃除。
こんな日の営みは、代代の女たちによってきっと同じように繰り返されてきているのだろう。
梅雨明けを待つ心持ちなど、昔も今も変わるものではないと思いながら、いただきものの田中長さんの奈良漬けを噛みしめお茶漬けをすする昼餉。

夕飯の時間になると「とーふ とーふ」とラッパが聞こえてくる。「こだわりのおいしいおとうふはいかがですか」
と、ああ今日は金曜日だと必ず思うのだ。
豆腐屋さんのラッパに乗って、葉室麟さんが『豆腐屋の四季 ある青春の記録』(松下竜一)について書かれた、読んで間がないエッセイを思いだした。
松下竜一さんは大分県中津市で家業の豆腐屋を継ぐかたわら作歌を始めた。
「松下さんの短歌は根底に何ごとかへの怒りを内包している」
「短歌として洗練され、研ぎ澄まされた言葉はたとえ、ささやかでも風なのだ。風はたゆむことなく世の中を変えていく。だから、一人の若者が言葉によって何ごとかを成そうとした勇気を大事にしたいのだ」
この世はさまざまな風が吹く。
風を通して、家空間の肌触りもよくなった気がする。