京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

背表紙を眺めながら

2022年11月28日 | 日々の暮らしの中で
今年は母の33回忌に当たっていた。縁者はみな関東に住まいしていて、実家の墓守も拙寺で勤めている。お墓参りと我が家でのお勤めをしておいて、報恩講が終わった東本願寺に参拝した。
思いだす人がいなくなった時、故人は二度目の死を迎える、と言われたのはどなただったか。

その帰り、書店に立ち寄った。
『カカ・ムラド』と、平台から『バスでおでかけ』(絵・文 間瀬なおかた)を選んで、ブックサンタさんになった。

孫のLukasが3、4歳のころ、彼自身はバスにあまり縁がなかったが、工藤ノリコさんの『ペンギンきょうだいバスのたび』を好んでいて、繰り返し繰り返し「これ読んで」と数ある中から抜き出してくる一冊だった。なんべんとなく一緒にお話を追ったことが思い出された。

母親ともたびたび訪れているようで勝手知ったる書店。私ともよく行ったが、足を運んだ割に本を買ってあげることはなかったのではなかったか。姉や兄の時の本がたくさんあったせいだろう。
そんな子が明日は6歳の誕生日を迎える。近所の公園仲間が誕生日を祝ってくれたそうな。


ここは本店よりも好きな店で、先日来探していた『平台がおまちかね』を見つけた。これまた他店では見られなかった『背表紙は歌う』と合わせて、買ってしまった。


『本バスめぐりん』など、本を巡る、書店を訪れる、様々な人間の背景が描かれるのを興味深く読めたこともあって、ついもう少しと欲が出ていた。未読の本が積み重なるほどあるのに。

「背表紙を眺めながら暮らしたい」といわれた斎藤環さん。電子書籍にないものが背表紙で、並んで見えるものは一つの表現となるから、書棚をあまりあけすけにしたくない。物質としての本には、本と暮らす楽しみがある、などと。

積んでおいて後で読めばいいってことさ、と思い直そう。
コメント (2)
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