京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

差出人からのプレゼント

2022年05月10日 | 日々の暮らしの中で

孫たちそれぞれに見繕ったポストカードに一筆を添えて、一つの封筒に納め郵便局に持ち込んだ。

3月14日に出した前便がいつまでたっても着かず、なんてルーズなんや!?と気分を害し、もうどうでもいいとあきらめ半分でいたが、なんとこの2日に送り返されてきた。通りの番号に当たる数字、22とすべきところを12と書き間違えていたのだ。原因は自分にあった事がわかってハンセイ! 人を罵ったり責めるのは簡単だけれど、くるっと方向を変えて思い切りわが身にグサッ! 
その3枚も入れ直したので計6枚、190円だった。


先日読んだ『代筆屋』(辻仁成)。辻氏が吉祥寺駅近くに部屋を借りて住んでいた小説家として駆け出しのころ。小説はさっぱり売れず依頼もないのに、代筆の依頼ばかりが舞い込んで大盛況だったそうだ。その体験がもとになっている『代筆屋』だが、「追伸(あとがきにかえて)」は、心温まるものだった。

「開封した便箋の手触り、文字の人懐っこさ、封書に貼られた切手やスタンプに至るまで、手紙にはそこかしこに、なんとも言えない人間臭さがある」の一文で始まる。何人もの郵便配達人を介して遠方から届けられる嬉しさにも触れている。
郵便局でピカソの切手付き封書百枚セットを購入したそうだが、日本へはプラス40サンチーム(パリ在住)の切手が要る。氏は、この切手を「差出人からのちょっとしたプレゼント」とし、「なんでもない人生の、ささやかな喜びのひとつがある」と言われた。

手持ちにふさわしい切手がなくて、窓口で重さを確かめ必要な金額を払っていたが思いを改めた。
そこで今日はついでに切手を見繕いたいと思っていたのに、ころっと忘れて帰宅してしまった。
                                (絵は辰巳明子さん)

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