京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

夜の紅茶

2022年03月26日 | 日々の暮らしの中で

昨晩の食事後、無性に紅茶が飲みたくなってしまった。一抹の不安通り、本を閉じても一向に眠気がやってこない。右に左に寝返りを打てど…、ああ「夜の紅茶」だ、と思い浮かんだ。

    むか~し、買ったまま読まずに処分したためか、『夜の紅茶』は江藤淳さんの作品なのだが最近まで開高健さんのものだと思い込んでいた。
ところで、開高健さんの未完に終わった小説『花終える闇』の冒頭の書き出が「漂えども沈まず」だと知ったのも、むか~しのこと。日常からどこかへ逃げ込みたいようなとき、よくこの言葉を思い出してきた。この夜なら、漂いながら夢の中へ…だったが。
考えるから眠れないのか、眠れないからあれこれ考えが巡るのか。結局浅い睡眠のまま今日を迎えた。

この春、中・高を卒業したエッセイ仲間に、お祝いの品とともに贈る言葉を考えていた。
私には山本兼一さんの言葉で、若い子たちのために胸にあたためている言葉がある。
「人は生きるためにお手本がいる。いい物語を多く読んで、生き方を模索していくのです」「自分探しより他人探しをしよう。あんな風に生きてみたいと思える人生の師に出会えたら真似してみるのです。そのうちに自分が見えてくるでしょう」
書くことは読むこと。これからも仲間であり続けられることがとても嬉しい。

「漂えども沈まず」はもう少し人生を知ってからでいい。どんな人生も決して楽ではない。
たまわった命。「生まれてきたことが花なんだ」から、心はいつも「漂えど沈まず」とありたいものですね。

(写真は哲学の道沿いにある大豊神社。梅と桜の揃い咲きとはいかず。
 哲学の道の桜は色づき、つぼみを膨らませていた 。25日)
コメント (2)
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