京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

寒かったから

2022年03月22日 | 日々の暮らしの中で
寒い一日だった。早朝、雨音で目が覚めたようでいて二度寝がいささか過ぎてしまった。
雨が上がっても風が出て、心身の凝りをほぐしに歩いてこようか?という気にすらならない。寒暖差が応える。

菜の花が手に入ったので煮びたしにしよう。そう思って他の青菜やブロッコリーなど順次茹ではじめるうちに、子供の頃、外から帰ると冷たくなった手をうすみどり色に染まった、まだ熱いゆで汁で手を洗うよう母がよく言ったことを思いだしていた。ひねればお湯が出る時代ではなかったし、子供の帰宅時間に合わせるような母の心遣いと無駄なく使いきる姿とが二重写しになる。

湯のみは伊万里、急須は弄山万古、茶葉は京からの下りもの。
「美味えな」。喉を鳴らし、「ほんと美味ぇや」
「おぬしの淹れた茶は何故、こうも美味いのか。どうにもけったいな心持ちがするぜ」
小間物問屋「遠野屋」に気まぐれに立ち寄る同心と岡っ引きに、遠野屋の主人・清之助が〈丁重と邪見の間のほどほどのあしらいで淹れるお茶〉を、二人はたまらなく喜ぶ。「世辞じゃなく、生き返る心地がしますねえ」


三様の人間像が魅力で購入済みのシリーズ。9巻中の5巻目を読み終えた。

こんな寒い日、清さんのお茶で温まりたいわ。

コメント (3)
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