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京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 うらうらに…

2012年04月04日 | 今日も生かされて

桜と入学式はセットになりそうだろうか。京都の開花は例年とは1週間から10日遅れているということだ。ホトケノザが広がる畑地にモンシロチョウが飛んでいるのを見かけた今日は、二十四節気で言うところの「清明」にあたった。
【春うららかに山河草木が光輝き、万物清明の季節。蝶が舞う花の盛りを迎え、雁は北へ帰る頃。寒暖の差から水蒸気が発生し、昼は霞み、夜は朧月に】と。

         うらうらに照れる春日に雲雀上がり心悲しもひとりし思へば  大伴家持

それまでは必要としなかった携帯電話を持ち始めたのは、娘が進学のために東京に出たあとだった。よく家もあけたし夕刻からは仕事に出ていたので、娘も不自由に思ったのだろう。「持てば?」という感じでだけ言い残していた。持つことで、すぐに連絡が取り合えるという安心感は大きかったはずだ。だが、明るい春を迎えているのに、娘の姿が家から消えた空虚感に襲われていた。

その頃、この歌が思い浮かんでいたのだと思う。以来ずっと、アドレスの一部に拝借した一語を組み込んでいるのだ。14年間、機種を変えアドレスの一部を変えることがあっても、この一語だけは使い続けている。時の経過とともに、今ではこの語が気に入っているというだけのことになった。

今宵、空には月が浮かんでいる…・
コメント (4)
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