京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

「雨と言葉」

2008年06月09日 | 日々の暮らしの中で
      ≪ 雨と言葉≫ (石垣りん『焔に手をかざして』)

 町を歩いていて、おや? と、足より先に気持ちが立ち止まる。そっと手のひらをひらいて、次の一滴を待つ。「降ってきたわ」。
 雨ふりは、よく、そんなふうにしてはじまった。このごろは地下道だの、アーケードだのがふえて、だれに言うともない、しいていえば、天からおとずれたものへ
の、声になったり、ならなかったりする、ひそかな言葉も不要になってきた。
 (中略)
 いちにちの勤めを終え、立ち寄った喫茶店で、たたんだ傘をテーブルに立てかけ、コーヒーを下さい、とたのんだらウェートレスに「もう雨はやみましたか?」とたずねられた。この人は朝来たまま空を見ていないのだ。私の耳の中で、言葉がやさしく濡れてきた。 (73.7.15「サンデー毎日」)


あら?雨かな? と、いう状況の始まりではありませんでしたが…。天気予報は的中。
出かけるときは日傘が欲しかったものですから、便利な晴雨兼用の傘を持って出ました。私はとにかく傘を持つのが嫌いで、できることなら日傘も持ちたくありません。理由は簡単、荷物になってしまうからです。バッグに入れておくのもかさばるし、で、ホントにいやなのです。まあ、この時期そんなこと言っていても、仕方ないのですが。

気づくと外は傘の花。午後、帰宅しようとする時間も結構な降りようで、「晴雨兼用」での使い初め?です。
偶然にも雨の日にさしたことはありません。
ブルーのきれいなレース柄になっているので、雨にも対応の仕様なのはもちろんですが、濡れるのはもったいないなあと。

1時間もすると日差しが戻ってきました。明日はお天気になりそうです。
急いでビショビショの傘を広げました。


   “私の耳の中で、言葉がやさしく濡れてきた”  

 どんなふうに味わえばいいのかしら…


コメント
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