水早 -mizuha- 神社と写真と一人旅。

カメラ片手にゆるり神社めぐり。
公共機関&徒歩での日帰り参拝記録をメインに綴っています。

知れば知るほど -2

2020-06-04 | 宅 建


FUJI FinePixF30(2011/8)沖縄

 


納得いかない法律いろいろ その2。
(※令和1年現在)


1【取得時効】所有権の取得時効
2【他人物売買】他人の物の売買契約をすること自体は有効
3【抵当建物の賃借人】賃貸マンションの抵当権が実行(競売)されて退去
4【借 地】土地を貸したらどうなるか
5【不法行為】被害者(原告)に立証責任がある(※民事)

 

 

抵当建物の賃借人

これは、納得いかない云々・・というより、
知っておいたほうが安全だよなと思った法律でした。

 

 

賃貸マンション・アパートなどを借りていて、
その建物が「抵当に入っているかどうか」まで考える人は、
どれぐらいいるんだろう・・。


多くの場合、大家さんは物件を抵当に入れて(物件を担保にして)、
銀行などから融資を受けて、購入・建築します。
なので、抵当権が設定されていない物件のほうが、はるかに少ないはずです。
(実際、不動産賃貸管理の仕事をしていた時に目にしたのは、
  抵当権設定済みの物件ばかりでした。)

 

 

賃貸借契約において、  
借り主(賃借人)がマンションなどを借りる権利(建物賃借権)は、
建物引き渡し(契約締結)or 賃借権の登記などの対抗要件があれば、
第三者に主張(対抗)することができます。
(賃借権の対抗要件を備える事で、引渡し後に貸し主(賃貸人)が代わっても、
新しいオーナーに対して借りる権利を主張できる。)

 

でも、
抵当権設定済み物件の大家さんが
借金を返せなくなると、
抵当権が実行(建物が競売にかけられる)されて、
物件の所有権は、買受人に移る。

その際、買受人(新所有者)に退去を要求されると、
賃借人(借りてる人)は出て行かなくちゃならない。
(=賃借権を対抗(主張)できない。)

退去までの猶予期間は6ヶ月なので、
抵当に入った物件を借りていて、競落人に退去を要求された場合は、
遅くとも6ヶ月後には住む場所を失うわけですね。
(もちろん買受人が退去を要求しなければ、問題なし。)

 

これは、
単にオーナーが代わって云々・・ということではなく、
賃借権と抵当権、どちらが優先されるのか?というお話です。

 

 


賃借権 VS 抵当権。

追い出されるかどうかは、「物件の引き渡し」か、「抵当権の登記」か、
どちらのほうが早かったか?によって事情が変わってくる。
(=「引渡し or 賃借権登記」と、「抵当権設定登記」との、先後関係)

 

もし、
引き渡しに、既に抵当権設定登記が行われていた場合、
自分の賃借権を主張できない。
(抵当権が優先されるため、退去しなければならない)

逆に、抵当権設定登記のほうがだった場合は、
賃借権を主張できる。
(賃借権が優先されるため、これまでと同じ条件で住み続けられる)

 

 

・・とは言え、
そもそも、抵当権が設定されていない物件を探すほうが難しいので、
抵当に入ってたからと言って、
闇雲に恐れる必要はないのだけれど、
賃貸物件を借りる際は、こういう事もあり得るんだって、
チラっと頭の片隅に入れておこうと思いました。

 

なお、抵当権などの登記上の権利は、
契約時の重要事項説明で聞かされる&重説書にも記載があります。

 

 

 

つづいて、

土地を貸したらどうなるか

 

結論から言うと、
「貸したらほぼ戻って来ない(笑)」になっちゃうんですが・・


土地活用でもしようと思って、
建物をたてる目的の相手に、土地を貸す』。

・・これ、後々のことを考えるととてもハードな選択。

法律を理解した上で、それを実践できるならいいけど、
そうじゃないならもういっそ売っちゃったほうがラクよって、
率直に思いました。

 

まず、
建物所有目的土地を借りる権利を、
借地権』と言う。

他人の土地を借りる権利のうち、
土地の上に建物を建築する目的がある場合の権利です。

 

建物所有を目的とする地上権物権)」
     
建物所有を目的とする土地賃借権債権)」
    ||
 借地権

  (※ 物権=物を支配する権利/債権=他人へ請求する権利)

 

他人の土地を借りて、
その上に自分の建物を建てるために借地権を設定する場合、
借地借家法が適用されますが、
同法では、賃借人保護等の観点から借り主が手厚く保護されています。
(※民法の規定に優先して適用される)

 

建物所有目的の相手と、普通借地契約を結ぶとどうなるかというと、

(原則)
 ①契約期間最低30年以上上限なし)になる。
 ②期間の満了後 → 自動的に法定更新される。
  ・初回:20年以上(上限なし)2回目から:10年(上限なし)で更新。
  ・借り主の「更新請求」や「満了後の使用継続」などに対し、
   貸主は「遅滞なく、正当事由ある異議」を述べない限り更新拒絶できない。

    (ただし、正当事由の判断は厳しく、なかなか認められない。)
 ③解約時 → 借主は貸主に対し、建物買取請求権を行使して建物を買い取らせることができる。
    (買取り請求された
時点で売買完了。貸主は拒否できない。)

 

②の更新については、そのとき土地の上に建物があるかないかで変わるけど、
建物さえあれば上記期間で法定更新されます。

 

なお、建物所有が目的ではない場合(青空駐車場とか資材置き場とか)や、
一時使用目的使用貸借の場合は
借地借家法の適用がないため、
賃貸借の存続期間の上限は50年まで(改正民法604条)となります。

 

 

土地を貸したら戻らないと思えって言われた事あるけど、
こういう事なんだねー。


まず最初に必ず30年以上貸さなきゃいけなくて、
以後、よほどの事がない限り貸主は更新拒絶できず、
20年、10年・・と半永久的に更新されていく。
やっと解約できたと思っても、
請求されたら建物を買い取らなきゃならない・・。

 

いやー、
相当ハードな道程じゃないですか。

借地借家法は大変ありがたい特別法だし、
借主保護もよくわかる。

でも貸主、ちょっと可哀想すぎません?

こんなん、先々のことを考えたら、
やっぱサクっと売ったほうがラクかもしんないって思うし、
これじゃ誰も土地を貸したがらないじゃんね。

まあ、だからこその定借(定期借地契約)誕生なわけですが、
つくづく「当事者双方にとって平等で平和的なルール」
を定める難しさを感じました。

あいだ取って両者引き分けー♪
みたいな、
誰もが納得できる審判なんて存在しないのか

 

賃貸借関係は、納得いかないというよりも
まだ発展途上にも思えて、コレジャナイ感がどうも拭えない。
そういった意味でモヤモヤする法律かな。

 

というわけで、
建物所有目的の相手に一度土地を貸したら、半永久的に戻ってこないよ
というお話でした。