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雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

「ノータッチガイド」で 大口径C11鏡筒のパワーを引き出せるか?

2025年03月19日 | 機材
日本海側の雪国越後に住んでいるため 今年に入ってまだ一夜しか撮影できていないのですが、
この先 星が見える天気に巡り合えたなら、C11鏡筒春の系外銀河を狙うつもりです。

昨年8月に30年以上も使われずに眠っていた大口径のC11鏡筒が突然やってきて、
苦労の末 なんとか撮影ができるようになったのは11月になってから。
撮影に至るまでの苦労話は以下のブログ記事で ↓
ある日突然 大口径C11鏡筒がやってきた!!

撮影はできるようになったものの 最大の課題は
大きくて口径28㎝)重い鏡筒・カメラ一式15kg)この鏡筒を
搭載重量が許容限界に近い赤道儀(EM-200Temma2M)
いまや後期高齢者となった私の体力で、使いこなせるのだろうか?
更に欲を言えば
どうやったら大口径の威力が感じられる天体写真を撮る事ができるのか?

今回は上記の課題について
昨年11月以降の4夜の撮影結果を元に整理してみました。

Ⅰ. レデューサーは必須
シュミットカセグレン方式のC11鏡筒は口径28㎝、焦点距離は2800㎜にもなる長焦点の鏡筒です。
これまでに使ったことのある長焦点の鏡筒はカセグレン方式のVC200Lで焦点距離は1800㎜でしたが、
ガイド撮影での歩留まりの低さから、星雲・銀河の撮影ではレデューサーを付けて使っていました。
その経験から2800㎜での星雲・銀河の撮影はまず無理だろうと考え、
x0.63レデューサー(合成FL=1764㎜)をすぐに購入しています。

ほかにも レデューサーで焦点距離が短くなった事によるメリットがあります。
① F値が小さくなり、明るい画像が得られる事で・・・・・・・・・・・・・・
露光時間の短縮 またはカメラのGainを抑える事ができる
Gainを下げるとノイズ低減ダイナミックレンジを拡大できる)
② 拡大率が抑えられる事で、星のぶれなどが目立ちにくくなる・・


Ⅱ. オートガイドはあきらめて、ノータッチガイド
最初にも書いたように、オートガイド用の機材を追加するのは更に赤道儀への負荷を増やします。
C11にレデューサーを付けても、やっとVC200Lと同等の焦点距離になっただけで、
これまでの実績を見れば オートガイドの歩留まりは期待できません。
となれば
いっそのこと赤道儀内蔵モーターまかせのノータッチガイドではどうかと、
これまで4夜ほど撮影を続けてきました。

その中でも重要だったのが
ノータッチでも星の流れが許容範囲の「最大露光時間」と、・・・・
ノータッチ連続撮影による写野の移動が許容される連続撮影枚数
を調べる事でした。
ノータッチ連続撮影すると次第に写野がずれて行き、コンポジットができないエリアが増加します

上記のノータッチ撮影に関する2項目は
撮影鏡筒の焦点距離と赤道儀モーターを含む駆動部の精度で決まるのですが、
これまでの4夜での検証結果から
許容最大露光時間30
連続撮影枚数30
つまりノータッチガイドで、30露光30連続撮影して1セットとする
ことにしました。

これまではノータッチガイドで32枚連続撮影してきたのですが、
ノータッチガイドでの歩留まりが ほぼ100%だったことから、
今後はきりのいい1セット15分となる30枚で行くことにしました

前回記事に掲載した子持ち銀河M52ノータッチ連続撮影1セット(32枚16分間)分を
星の位置合わせ無しで”比較明”で重ね合わせた画像です。 ↓
赤道儀の赤経モータ速度が完全に日周運動と一致していれば星が点像となるはずですが
実際にはウォームギヤの偏心やギヤの遊びにより進み遅れ(ピリオディックモーション)が発生します。
もし赤道儀の極軸設定が完璧なら、ピリオディックモーションにより水平(東西)方向の短い直線になるのですが
上の画像では極軸設定誤差から、上下(南北)方向の動きも加わった結果
右下から左上方向に星像が移動しています。(”M”の字となっているのはピリオディックモーションのため)

ちなみにピリオデックモーションの周期はウォームギヤの歯数で決まり、
EM200赤道儀の歯数180枚では1周期8分になります。
つまり1セット撮影16分なので2周期分を32枚で分割している事になり、
実際に検証した結果 星像の流れは許容範囲と判断しました。
1枚の露光時間をもっと伸ばせればいいのですが、30秒露光でやめておいた方が無難との結論に。


1セットの撮影では総露光時間は15分なので、何セットも撮影して総露光時間を増やすのですが、
1セット分のノータッチ撮影が終わったら必ず15分間でずれた写野を元の位置に戻さなければなりません。
でないと、写野のずれが累積して使える画像エリアがどんどん小さくなります。
わたしは撮影にステラショット3を使っているので、「導入補正」の機能を使えば
簡単にできるはずだったのですが、なぜかC11鏡筒になってからはその機能が成功したためしがなく
仕方なく写野に近い星を使って手間も時間もかかる方法を使っていました。
幸い今年2月に供給されたアップデータでやっと「導入補正」が使えるようになりました。
(どうやら昨年9月に供給されたアップデータに問題があったようです)
まだ長焦点では失敗することもあるとのことですが、
このM52を含めた4タイトル中3タイトルでは成功しています。
これで各セット毎に3,4分かかっていた作業が、わずか数秒で完了できるようになりました。

導入補正」を使った5セット分((総露光80分)を位置補正なしで重ね合わせた画像です。 ↓
星の移動の軌跡に違いはありますが、写野のずれが累積することはなく
ほぼ1セット分のズレで収まっています。
この方法を使えば何セットでもノータッチガイドで撮れる事になります。

( 撮影画像のコンポジットは各セット単位に実施して一度保存し、・・・・・・・
全セットが完了したら、更にそれらをまとめてコンポジットします )

最終的には総露光時間の目標をどれだけにするかですが、
以前4セットを基本にすると決めたものの、今思うと総露光時間1時間というのは
あまりに少なすぎると考えるようになりました。
特に今後より低いGainで星の色が飽和しない高品質な画像を求めるなら、
数夜にわたる より多くの総露光時間を目標とすべきです。

ノータッチガイド30秒露光の制約から、総露光時間を増やすには
撮影枚数を増やすしかないのですから。


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星が見えない事には総露光時間を増やすと言ったところで たわごとですが、
先ほどSCW雲予報(広域)を見たところ ・・
21日(金)の夜に もしかしたら今年2夜目の撮影ができるかも
まだ数日先なので、たぶんまた悪い方に変わっていくんでしょうけど
心の準備だけはしておきます。


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