雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

それでも星は流れる(オートガイド編その1)

2013年01月28日 | それでも星は流れる
前回の記事 で、EM-200USD赤道儀(中古)を購入した理由として『20センチ反射を搭載するには90S赤道儀では無理があるという事で』 と書いたが、本当のきっかけとなったのは
2010.2.21の夜に90S赤道儀のモータの回転伝達ギヤが寒さで凍りつき、根元から抜け落ちてしまったトラブルだった。
既に製造してから30年以上が経過しており、回転ギヤのオイルが劣化したためと思われた。
印のギヤが凍り付いて空転しなくなり、根元から抜け落ちた。)
その後手持ちの二輪用オイルをさし、時間をかけてなんとか回転するようになったが、再発のおそれがあった。

そんな時にちょうど天文機材の中古専門ショップで見つけたのがEM-200USDだった。(購入2010.3.28)
本題からはずれてこのような説明を行うのは、安易に無駄遣いした訳ではない事を・・・
なんですって! 無駄遣いしてないですって? ←(家内の声)
・・・(言葉につまりながら)内緒で買うには大きすぎたEM-200+スチール三脚だったが、
そんな訳で購入してまもない2010.4.8夜の検証で、ピリオディックモーションが大きくてノータッチガイドには使えない事がわかった時はショックだった。
(検証結果の詳細については前回記事を参照ねがいます。)

そこで幸いEM-200USDにはガイド機能がある事から、ノータッチガイドをやめ、オートガイドの導入を検討してみた。
フリーソフトのPHD Guidingを使っている人が多かったが、CCDカメラとの組み合わせが人それぞれで、何を選べばよいかわからなかった。
そこで選んだのが、ちょうど天文雑誌にも紹介されていた イタリア製の スマートガイダー
価格は一式で78,000円と決して安くなかったが、『毒を食らわば皿までも』 の心境で購入した。
パソコンも要らず、操作も簡単で初心者向けとのうたい文句だったが・・・

(左は ガイド星を検出したところ   右はオートガイド中 )

オートガイドに必要なガイド鏡は30年前に手動ガイドに使っていた、タカハシ50mmガイドスコープを使う事にした。

(手前 右側は小型だが高性能だった自由雲台、 その隣はあとから購入したスターベースのスーパーボールヘッド)

このガイド専用の鏡筒は接眼部のネジ及び回転部でオフアキス機能を持ち、ガイド星の位置を微調整できるすぐれもの。
オフアキス機能・・・・鏡筒の向きを変えずに、接眼部をズラス事により見える範囲を変更できる機能)

2010. 4.24  メイン鏡筒の20cm反射鏡筒(Vixen R200SS)でスマートガイダーの検証を実施。
・・・・ガイドスコープはR200SSの2本の鏡筒バンドを鉄板でつなぎ、その上に小型の自由雲台を乗せて搭載した。
・・・・結果は、キャリブレーションで”No Move”が出てそれ以上先にすすめない!
(わかったこと)
・とにかくガイドスタートできるまでとてつもなく時間がかかるようになっている。(20分以上はかかったような・・・)
・途中で星を見失ったりすると、また最初からやりなおさなければならない。
・シンプルなかわりにアバウトな表示内容では、うまくいかない場合の原因分析もできない。

2010. 5. 3  今回はキャリブレーションまではOKだったが、ガイドスタートするとじきにグラフが片側により、”STAR Lost”でとまってしまう。
・・・・自由雲台では、ガイドスコープの2.2kは重すぎるのかも?

(R200SS kissDX(SEO-SP2) 露出時間 わずか81sec)

2010. 5. 7  キャリブレーションで”No Move”エラー。 結局スマートガイダーをあきらめ、ノータッチガイドで撮影。

(R200SS kissDX(SEO-SP2) 露出時間 180sec ノータッチガイド)
ほとんどの画像が赤経方向に流れており、EM-200のピリオデッィクモ-ションが原因と思われる。
もう、ノータッチガイドにも戻れないのか?

2010. 7.18  自由雲台に2.2kのガイドスコープは重過ぎると考え、交換レンズのEF70-200mmF2.8レンズにエクステンダx2.0(合成f=400mm)を使ってみることにした。
こんどはキャリブレーションは無事パスしたが、オートガイドに入る前のREDEY状態でグラフが範囲外となり、最初に戻された。

2010. 8. 7  鏡筒バンドへの取り付けをやめ、購入したジュラプレートおよびスーパーボールヘッドで平行に並べてやってみた。(格段にしっかり固定できるようになったが更に念を入れてエクステンダもはずした。)
はじめて、キャリブレーションからオートガイドまでスムースに入ることができた。

やはり、まだ流れている。 f=200mmにもかかわらず、時々グラフがオーバーフローする事がある。

2010. 8.16  再び、EF70-200mmF2.8レンズにエクステンダx2.0(合成f=400mm)と焦点距離を延ばしてやってみたところ、奇跡でもおきたのかと思うくらいグラフが安定し、完璧なガイドと思われたが・・・
ペリカン星雲」(はくちょう座) R200SS反射鏡筒 f=800mm 2010.8.17  300sec×12枚 EM-200USD赤道儀 スマートガイダー 、ガイドスコープ:EFZoom(f=200mm) +エクステンダ(x2.0)
コンポジット後の写真ではわからないが、個々の画像ではなぜか星が流れて写っている。
ガイド状況をグラフを見ると

星は相変わらず西から東に流れている。ノータッチガイドとほとんど変わっていない。 なぜだ!!
・・[1時間あたりの流れ] △Ra=-60.6 pixel/H ・・・△Dec=+17.3 pixel/H  (写野中心の赤緯 +44°)

2010. 9. 4  バランスにも留意し、更に50mm(f=700mm)のガイドスコープに変更し焦点距離を延ばしてやってみたが、前回同様にグラフが安定し、こんどこそオートガイド成功かと思われた・・・
NGC6946&6939」(はくちょう座・ケフェウス座) R200SS反射鏡筒 f=800mm 2010. 9. 4~ 5  300sec×15枚 EM-200USD赤道儀スマートガイダー ガイドスコープ:D50mm f=700mm


やはり星は流れていた!

・・[1時間あたりの流れ] △Ra=-41.5 pixel/H ・・・△Dec=-15.6 pixel/H  (写野中心の赤緯 +60°)

前回もこれ以上無いほど安定したスマートガイダーのグラフ表示だったのに、Ra(赤経)の流れは写野中心の赤緯を考慮すればやはり同じくらい流れている。(天の北極に近いほど日周運動の動きが小さい。y座標を簡易的にDecとしたため、傾き分ずれが生じている)
そこで思い当たる事があった。
今年の夏は非常に暑く、ノートを見ると撮影した両日とも夜になっても外気温は24℃と記録されている。
それぞれの日に撮影した画像を拡大してみると

(各画像は200%拡大表示。ノイズがわかりやすいようにコントラストを上げてあります。 クリックで拡大できます)
赤い斑点状のノイズの他に、小さな輝点(ホットピクセル)が散らばっている。
この夜の外気温度は24℃もあった事から、熱ノイズと思われる。
EOSよりスマートガイダーのちっぽけなCCDの方がノイズ特性に優れるなんて事は考えられない。
まして連続使用となれば盛大なホットピクセルが発生していると考えられる。
スマートガイダーはホットピクセルを星と勘違いした!』 のではないか?
それならグラフが安定するのは当たり前である。(ホットピクセルのCCD面の位置は変わらないから)

(長くなっていますので、途中は省かせていただきます)


実はあとでわかる事なのですが、中古で購入したEM-200のガイド用の経路のどこかにルーズがありました。(この後、PHD Guidingにして始めてわかった事。)
このため、キャリブレーションやガイド中にときどき制御信号が届かずにいろんな問題を起こしていました。
シンプルな反面、不親切なスマートガイダーの表示では、この赤道儀の不具合まで見つけ出すことはできませんでした。
ひんぱんに発生するエラー表示にとてつもない無駄な月日と労力を費やしました。
結局、2010.12.10に本体の不具合も発生したこともあり、なんの成果も得られずに2011年6月に2万円で売却してしまいました。(売ったのは不具合で送られてきた交換品です。・・・念のため)
唯一の成果(といえるかどうか)キャリブレーション中に撮影した画像より、EM-200のバックラッシュが見えた事。
 
(赤経Decのキャリブレーションで戻り方向がバックラッシュにより、まったく戻らないか、途中までとなっている。)


 次回はPHDガイディングの導入です。 ・・・  
 につづく



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天文ガ○ドなどにも検証記事が載ったりしているので、
スマートガイダーかなり売れたと思うのですが
どれくらいの人が使いこなせたのかなあ・・

記事のボリュームの大きさの割りに、
どれだけ参考になるのか自信がないのですが・・

雲上くもがみ

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