雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

Step6 「スターシャープ」と「マルチバンドシャープ」どっちが先?(私の画像処理)

2013年07月20日 | 画像処理のはなし
この記事は天体写真の「画像処理」について、
私の場合の手順・方法を紹介させていただいています。
取り立てて極意(ごくい)のようなものも無い中、心苦しくも連載7回目になります。
(これまでの記事は 左サイドバー カテゴリー 画像処理のはなし よりご覧ください。)

今回の記事タイトルの答えは「スターシャープ」が先だと思います。
その理由は「マルチバンドシャープ」を行うと、副作用として
星の輪郭がくっきりしすぎる事があります。(特に輝星や星雲内の星)
中心部が明るい星像は「スターシャープ」が効果的に作用しますが、
マルチバンドシャープ」で星が円盤状に肥大化するとスリムにできません。
という訳で、まずは「スターシャープ」から

Step 6-1 スターシャープ
使用ソフト ステライメージ7

『星景写真』や『星座写真』では、わざとソフトフィルタを入れて
明るい星を肥大化させ、目立つように撮る場合がありますが、
写す対象が星雲や系外銀河となった場合、星は明るく目立ち過ぎます。
更に空気のゆらぎや、撮影機材の性能からも星は肥大化して写ります。
この、場合によってはうっとおしい星々をスッキリ且つ少し控えめにし、
主役の星雲や銀河を引き立たせる機能が「スターシャープ」です。
今回もいじわるな言い方をすると、機材の性能や技術の不足分を
星をシャープに見せる事により、”ごまかす”効果もあります。

設定例.1 いて座の散光星雲 CanonNFD300mmF2.8 (F=4相当)
(画像クリックでスターシャープ後の全体表示) 右がスターシャープ実施後
一見すると変わっていないようですが、それなりに星像の良いサンニッパレンズとしては
これでも少しやり過ぎかもしれません。(しきい値は 8 くらいが良い?)
ごまかし”は、やり過ぎると不自然になってしまいます。
暗い星が消えたり、接近した星がつながってしまいます。(上の画像でも発生しています)

スターシャープ」の設定値は、星像の大きさでまるで違ってきます。
一般的には長焦点になるほど星像は大きくなり、
設定値もアバウトに大きくしないと効果が出にくくなります。
以下、焦点距離の違いによる実際の設定例です。

設定例.2 さそりからいて座の銀河 TAMRON17-50mmF2.8(f=50mm F4)
星像の大きさ:0.85  しきい値:12  半径:1.5
(画像クリックでスターシャープ後の全体表示) 右がスターシャープ実施後

設定例.3 マルカリアンチエーン VixenR200SS(f=800mm F4)
星像の大きさ:0.75  しきい値:  半径:2.5
(画像クリックでスターシャープ後の全体表示) 右がスターシャープ実施後

設定例.4 りゅう座銀河トリオ VixenR200SS+EXT(合成f=1500mm F7.5)
星像の大きさ:0.75  しきい値:  半径:
(画像クリックでスターシャープ後の全体表示) 右がスターシャープ実施後

以前のブログ記事でも書いたのですが、強力に「スターシャープ」をかけると、
ザラついた背景がなめらかになる想定外の効果があります。
(たぶんザラつきにも、星と同様なスリム化が行われるためと思われます)
「スターシャープ」には決まった設定値が無く、画像により最適値が大きく変化します。
副作用が出ない範囲でいろいろ試してください。


Step 6-2 マルチバンドシャープ
使用ソフト ステライメージ7

わたしの場合「マルチバンドシャープ」は、星雲や系外銀河の
細部を引き出したい時に使用しています。
使用する場合はかならず、星雲・銀河FIL(ステライメージでは「選択マスク」と呼んでいます)
を作成しています。
前項で書いたように、「マルチバンドシャープ」は星像を肥大させる副作用が有ります。
このため星雲FILを作成し、効果をかけたいところだけが明るくなるよう作成します。
また、効果の範囲が際立たないようぼかしもかけておきます。

この星雲FILを使用して「マルチバンドシャープ」をかけた設定例です。
設定例 M8干潟星雲中心部 VixenR200SS+EXT(合成f=1500mm F7.5)
(画像クリックでマルチバンドシャープ後の全体表示) 右がマルチバンドシャープ実施後
「スターシャープ」と同様、画像により最適値が異なります。
また強くかけ過ぎると、実在しない”細部”まであらわれてきますので注意が必要です。
(長くなりましたので、他の設定例は省略させていただきます。)


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次回は、フリーソフト FlatAideによる
カブリなどによる背景むらの補正方法の予定です。

雲上くもがみ
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