雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

アイソン彗星(11/17)を ”DSSもどき ”で再処理をする

2013年11月23日 | 画像処理のはなし
17日早朝に撮ったアイソン彗星(C/2012 S1)の再処理をおこないました。
ブログ掲載した画像が、2日連続の徹夜でもうろうとした頭で
画像処理したものだった事もあったのですが、
ほんとの理由はまるこうさんのブログ記事
 で、
彗星も恒星も流れていない画像に刺激を受けたためです。

通常、彗星の画像処理は恒星位置または彗星位置を基準にコンポジットするのですが、
その場合、彗星か恒星は流れた画像になってしまいます。
( 画像クリックで全体画像表示 )
恒星位置を合わせてコンポジット(重ね合わせ)したもの

彗星中心核位置を合わせてコンポジットしたもの

本来、彗星自体が短時間で移動しているため、時間をおいて撮った画像を
重ねあわせれば、上の画像のどちらかになるはずです。
天体写真をやっている人なら、わたしを含めだれでも
どんなトリックを使っているのか?興味を持つはずです。

ありがたい事にまるこうさんのブログには、このDSSというソフトの
使用方法も解説されていましたのでさっそくダウンロードしてみました。
残念ながら現行バージョンはまだ60Dには対応していなかったため、
まるこうさんから教えていただいたβ版(まだ検証中の最新バージョン)を使いました。
以下の画像が、DSSの「星+彗星スタックモード」で画像処理した
恒星も彗星も流れない画像です。
まるこうさんの掲載画像に比べてはるかに冴えないのは、
月明かりと低空という悪条件だった事もありますが、
わたしが考える一番の理由は、わたしの方が焦点距離が短く、
露光時間も短い事から、彗星の移動量が少なくて
こんな処理結果となったのではと考えています。
(その理由は、あとで)

DSSの処理結果が思わしく無かったことから、どのような処理をおこなえば
星も彗星も流れない処理ができるかで、3日間はまってしまいました。
手順はあとで説明しますが、ステライメージ7だけで処理した画像です。

( 画像のズレた周辺部はトリミングし、画像をタテ表示にしてあります。)
彗星の位置は使用した1枚目の画像の位置にしてあります。
(30秒露光の画像56枚で作成。他の撮影DATAは18日のブログを参照ねがいます。)

ほぼDSSと同じ結果が得られたと考えております。
詳しい手順はこのあと説明しますが、簡単に言うと
星を消した彗星だけの画像と、彗星を消した恒星だけの画像を重ねあわせる
という処理をおこなっています。

60枚近い元画像を何度もコンポジットする作業で、途中手抜きをしてしまいました。
更に時間をかければまだ画像は改善できると思いますがお勧めしません。

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ブログをやっているみなさんへ。
NHKでもアイソン彗星を取り上げ始めました。
画像は無くても、”アイソン彗星”のキーワードは入れておくように。
”B-CAS”ではありませんよ。(笑)

雲上くもがみ
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ステライメージ7で、”eepkytackerもどき”を行う手順
(興味のある方だけご覧ください。)

手順1 彗星だけの画像を作成する。
も参照願います。
(1).できるだけ時間間隔をあけた画像3枚以上を、彗星中心核位置を基準に
しきい値”0.1”で、加算平均(σクリッピング)する。
(2).以降の画像も同様におこなう、(全画像を何組かに分けてコンポジットしていく。)
(3).コンポジットしてできた画像を更に加算平均する。(σクリッピングなし)
以上で恒星の消えた彗星だけの画像ができる。
*彗星の移動量が少ないと、星の光跡がかすかに残ってしまう。


手順2 恒星だけの画像を作成する。
手順1の方法では彗星を消す事はできない!
星と違い、彗星は尾を含め広がりを持っているため時間間隔を空けても
同じ位置の明るさがあまり変わらないため、σクリッピングでは除外できない。
(まして、今回の画像のように尾が流れる向きと進行方向が近いとなおさらである。)

DSSでこの問題をどう処理しているかは不明ですが、
わたしは元画像から、手順1で作成した彗星画像を減算する事にしました。
以下はその手順で、”DSSもどき”処理のポイントになります。

(1).減算用画像の作成
手順1で作成した彗星だけの画像の明るさ調整をします。
具体的には、背景の輝度レベルを"0"付近まで下げます。
計算上は背景レベル0なら彗星分のみの明るさが引き算され、
元画像の星や背景の明るさはそのままで、彗星だけが消えてくれる事になります。
明るさ調整の済んだ減算用画像

(2).元画像から減算用画像を引き算
減算用画像と元画像(ダーク・フラット済み)を開き
①.ステライメージの「合成メニュー/コンポジット」で[減算]を指定。
減算用画像の彗星核が黒く表示されていますので元画像の彗星核の位置に移動させます。
(* 全ての画像について行わなければならないので大変ですが、
彗星中心核の位置指定はDSSでも必要な作業です。)
ここで注意しなければならないのは、減算用彗星画像は全画像を平均して作成されているため、
元画像の彗星の明るさが変化している場合、減算しすぎや、減算不足が発生する事です。
 
左の画像は彗星の高度がまだ低く暗いため、減算しすぎ。 右は高度が上がって逆に減算不足となっている。

画像処理ソフトなら、元画像の彗星核の明るさに応じて減算用画像の
明るさを変える事も可能ですが、今回は省略しました。
仮に彗星核の明るさだけを合わせても、コンポジット画像とのピークの山のちがいから
減算差分が出てしまいますが、それは次のσクリッピングで除去できます。

②.減算の済んだ画像をコンポジットする。
注意するのは前項で説明したように、減算の済んだ画像には
彗星核の残骸が残っています。
これを消すためには手順1と同様、σクリッピングで加算平均しなければなりません。
完成した恒星だけの画像

手順3 恒星だけの画像に、彗星だけの画像を比較明合成
恒星と彗星の2枚の画像がつくれれば、後は自由自在です。
たとえばこんな画像
アイソン彗星群 ?」 もつくれますが、
ここはやはり撮影画像に合わせて彗星の位置を決めるべきでしょう。
もはや”絵作り”といった世界ですが、手順・方法はちがっても
DSSの「星+彗星スタックモード」でやっている事も同じことです。

アイソン彗星の前に撮ったラブジョイ彗星も機会を見て
DSSもどき”で処理してみたいと思っています。
コメント (8)
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