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伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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大阪市の夜間中学  元不登校生の入学可能に

2016-07-18 18:43:53 | 教育・PTA・児童福祉
7月15日に、市議会文教福祉委員会で視察した報告です。
丁寧にご説明頂きましてありがとうございました。
現状を知ると同時に、大いに考えさせられ、勉強になりました。

 日 時  7月15日(木)午前10時~
 場 所  大阪市役所
 説明者 教育委員会総務部学事課、指導部中学校教育担当指導主事



(概論)

「夜間中学」と言われることが多いですが、
夜間だけの授業を行う独立した中学はありません。
昼間に授業を行う普通の中学校が、
授業の2部制として夜間にも行っているものなので、
正式には「中学校夜間学級」という位置づけです。

大阪市では、4つの中学校夜間学級があります。
大阪府全体では7校あり、府内の入学希望者は、
いずれかの中学校に入学できるよう連携をとっています。
(詳しくは各中学のリンク先をご参照ください)

大阪市立天王寺中学校夜間学級
・生徒60人(1年1学級、2年1学級、3年2学級)
・府の予算で1970年からパンと牛乳による捕食給食を行っていたが、
 橋下知事の改革により、給食費用は府でなく地元自治体が負担すべきとされ
 カットされた。大阪市としてはお金がないので廃止したまま。(市長は橋下さん)
・夜の授業の合間に長めの休み時間があり、生徒は持参したものを食べている。

大阪市立天満中学校夜間学級
・生徒52人(1年1学級、2年1学級、3年2学級)

大阪市立文の里中学校夜間学級
・生徒16人(1年と2年複式学級、3年1学級)

大阪市立東生野中学校夜間学級
・生徒115人(1年1学級、2年1学級、3年2学級)
・外国人の生徒の割合が高い(韓国・朝鮮の生徒多い)
・特別支援学級がある(3名在籍)



(生徒について)

・授業は習熟度別に行っているが、ホームルームを行うのは学年のクラス。
 1年から2年は学力にあまり関係なく進級できるが、3年生の中には
 学力が不十分な生徒もおり、まだ中学に残って学びたいという希望があり、
 その場合は最長6年まで在籍できるので3年生のクラス数は多い。

・生徒は、戦争の影響で学ぶ機会を得られなかった高齢者が多い。
 そのような年代の生徒は、高齢化のため年々減少しているので、
 各校とも生徒数は減少傾向にある。

・外国籍の生徒が多いが、日本生まれの在日2世、3世が多い。
 近年ではそれ以外の国から来たニューカマーの生徒が増えている。

・夜間学級にも長期欠席の生徒がいるが、自身の病気や、
 仕事の都合、家族の介護のためなどの理由が多い。



(不登校の生徒の受け入れ)

昨年文部科学省から通知が出されました
 従来は中学校を卒業した者は
 夜間中学に入学できないとされていましたが、
 卒業証書は持っていても、不登校のため授業を受けていなかった方を
 夜間中学に受け入れることに改善されました。
 大阪市では、各校3名程、不登校だった方が入学できました。

文部科学省の通知には次のように書かれています。
「不登校や親による虐待等により中学校の課程の大部分を欠席していた
 又はそれに準ずる状況であった等の事情により,実質的に義務教育を
 十分に受けられておらず,社会で自立的に生きる基礎を培い,
 国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うといった
 義務教育の目的に照らして,再度中学校に入学を認めることが適当と認められる」

この通知により、これまでは夜間中学への入学を認められなかった、
卒業証書はもらっても不登校だった方の夜間中学への入学が実現したのです。
児童や保護者にって、喜ばしいことです。

文部科学省は、義務教育の重要性と、
それを受けられなかった場合の補償の重要性を
この通知で訴えています。

さて一方で、現在では全国に多くの不登校の生徒がいます。
学校に在籍していても、実際は不登校で
重要な義務教育を受けていない状態。

その対応策の一つてして、
学校以外の学びの場として、フリースクールなどへ行けば、
中学校の登校日数としてカウントされる場合もあります。
まったく家に引きこもっているよりは、
公認の中学校でなくても、そこへ行って学んでほしい、
という趣旨だと思います。

文部科学省の通知により、
不登校だった中学卒業生も夜間中学には入れます。
だとすれば、義務教育を保証するには現役の不登校の生徒も、
希望があれば夜間中学へ受け入れるべきではないだろうか、
私はこう考えます。

もし受け入れないなら、
現役の中学生である3年間が終わるまでは、
夜間中学の入学は認めないけれど、
卒業すれば入学してよい、ということになります。

それでは、不登校の生徒にとって、
待っているだけの3年間の時間は意味があるのか?
生徒にとってプラスなのか?

夜間中学とは、独立の中学ではなく、
昼間の中学の夜間学級です。

現役の中学生なら、あらためて入学云々を議論するまでもなく
すでに中学生なのですから、昼間部から夜間部へ移ることは、
校長の判断で十分だと思われます。

このように考えていましたので、
現役の不登校の中学生の夜間部への受け入れについて質問しました。


<大阪市教育委員会の回答>

・今のところそのような相談はない。
・まず昼の部へ通わせたい。
・大阪市は指定中学以外の中学校へも就学できるようになっている。
・たとえ不登校だったとしても、卒業してすぐに
 夜間部へ受け入れるのはいかがなものか。
・中学の進路指導では夜間部は紹介していない。
・現役の中学生の年齢で夜通学するのは心配がある。



(不登校生に対する多田の感想)

・大阪市では自由に中学校を選べるなら、
 昼間部に行けない不登校の生徒は、
 まず夜間部のある中学校へ転校したらよい。
・その上で、夜間部の授業を受けたい希望を校長に伝え、
 校長の判断で夜間部の授業を受けさせれば良い。
・現役の中学生は、昼の授業を受けるのが理想だとしても、
 不登校状態でまったく授業を受けられないよりは、
 たとえ夜間部でも正式な中学校で義務教育を受けられるほうが
 どれほど、その生徒にとって望ましいか計り知れません。
・大阪市教育委員会の回答として、たとえ不登校だったとしても
 「卒業してすぐに夜間部へ受け入れるのはいかがなものか」
 という回答には驚きました。
 なんのために、またせるのか?
 それが生徒にとってプラスになるのか?
 そもそも、なんのために義務教育は存在するのか?
 むしろ、現役の中学生の時に夜間部の授業を受けて卒業し、
 高校など次の進路につながったほうが望ましいと思います。
・夜間中学とは、戦争で教育を受けられなかった高齢者のための学校であり、
 その年代の方がだんだん少なくなるので、夜間中学も縮小していく、
 という考え方なのでしょうか?



(その他)

夜間中学では、先生よりも高齢の生徒さんも多く、
いろいろな事情を抱えています。
さらに、日本語がわからなかったり、
読み書きがまったくできないレベルの生徒もいるので、
一般の中学教員よりも、授業や指導は格段に難しいのです。

夜間中学専門の教員採用は、
恐らく、どの自治体も行っていないと思いますが、
長く夜間中学に携わる中核となる教員は必要だと思います。

私はこのように考えていますので、
先生の人事ローテーションについて質問しました。

回答は、
一般の中学校の先生の人事ローテーションの中で
夜間中学の人事も対応している、とのことでした。

不要な心配かもしれませんが、
もし、夜間中学に対して理解や熱意が足りない先生が
不本意ながら配属されたらと、ふと思ってしまいました。

きっと大阪市の教員の方は熱意にあふれ、
夜間中学へ転勤になったとしても、
私の心配は杞憂なのだと信じます。



(参考)

全国夜間中学ガイド 2016年3月3日発行!


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