伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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成長神話からの脱却

2012-05-25 17:09:01 | 大きな時代の変革期



政治家として、現代社会の様々な問題に眼を向け、
その原因を探り、過去の歴史からの構造的な問題を分析した上で
これからの対策を考えています。

新しい政策を考える前提として一番大事なのは、
「今後も人類が地球上で生活を続けられること」、
と考えています。

有限な地球の中で、無限の成長を目指す資本主義は限界です。
環境や生態系を破壊せず、共存を目指さなければ
最終的には人類は生きていけません。

私の考えにぴったりの論文を見つけました。
大和総研経営戦略研究所 河口真理子さんの
 「『成長神話からの脱却』を考える
」です。

これからの社会・世界を考える基礎となる貴重な考察です。
とても分かりやすく、納得です。
30ページほどの分量ですので、行政職員や、学生の方は
ぜひ全文読んで見てください。
現在は閲覧できますが、念のためダウンロードした上で、
プリントしておくことをおススメします。(無料です)



以下、この論文を私が要約してご紹介します。
詳しくは、ぜひ本文で確認してください。

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(要旨)

「『成長神話からの脱却』を考える」
      大和総研経営戦略研究所 河口真理子


(はじめに)

人類は気候変動、生物多様性の喪失、
化石燃料や鉱物資源の枯渇、水不足、砂漠化など
人類の生存を脅かす重大な環境問題に直面している。

なぜ先進国の住民は、条件反射的に
「経済成長にプラスが善」と判断しているのか?



1 なぜ成長へと駆り立てられるのか?

5万年前に人類が誕生してから現在まで、
人類の歴史は3つの時代に分けられる。

 狩猟採取時代 5~1.2万年前
        採取生活なので人口は土地の生産性に依存。

 農耕定住時代 1.2~250年前(産業革命前)
        メソポタミア地方に定住し農耕を始めた。
        余剰生産物を富として蓄積し、文明が生まれた。
        エネルギー源は人力、動物、風水力、薪など。 

 新時代    250年前~現在
        産業革命後の社会。エネルギー源は化石燃料。
        鉄道などの輸送力増大により生産力は
        地域の生産性とは無関係になった。
    
マルサスの罠  産業革命が起こるまでは、
        その地域の住民は、その土地の生産力に依存していた。
        土地の生産力の上限が、
        人口が増えることのできる上限
だった。

私達が当たり前と思っている今の経済システムは
(人類5万年の歴史から見れば、)
産業革命以降の極めて短い時間に過ぎない

人間が母なる地球に甘え、人間社会の都合だけで
経済成長を追及してきている間に
地球の生態系は疲弊し、人間の目にも無限の経済成長は
不可能であることが明らかになった。



2 これから目指すべき経済発展とは?

1990年代に世界で8万人を対象に、
幸福度と所得の相関を調査したところ、
一定の所得レベルになると、それ以上所得が増えても
幸福度は上がらないことが分かった。

幸福と経済成長には、
それほど相関がないことがわかっているのに、
なぜ政策当局者をはじめ、みな
経済成長しなければならないと考えるのか?

経済成長の必然性が薄れたなら、
「幸福」を経済活動の目的にすべきでは?

従来のように仕事を排除した
「生活」部分のみのから幸福が創出されるライフスタイルではなく、
これからは「仕事(働き方)」を含んだ
ライフスタイルの構築が求められる。



3 幸福を追求する経済社会指標を考える

ブータン王国のGNH(グロス・ナショナル・ハピネス)
フランス 委員会報告(GDPの問題点、幸福度、持続可能性)
イギリス 委員会報告書(持続性、消費文化をやめる、環境制約)



4 持続可能な新しい経済システム

私たちがすべきこと。
 ①人々の意識・価値観を経済成長至上主義から
  幸福の追求にシフトさせる。
 ②資本主義から、新たな経済の仕組みへ移行。

そのためには、
「人間の欲望は無限だか、それを実現しようとする
 無限の物質的成長は物理的に不可能である」
という事実認識を広く社会に徹底する必要がある。

物質と精神両方のバランスを経済運営の指標とするには、
人々の意識を変革していかなければならない。

効率性でなく「時間の充実度」も
新たな経済的価値とすることも重要なポイント。
時間をかけること自体に価値を認める
スローライフと言う価値観が必要。

労働することは苦役とするのではなく、
働くこと自体に意義を見出す価値観

同時に醸成することになるだろう。

市場経済を中心とする近代化は、
3つの分裂をもたらした。

 ①科学と精神・宗教の分裂
 ②人間の場の分裂(家族、地域、国家など)
 ③自然生態系と人間活動のリズムの分裂
  (人間が自然を支配できると言う幻想)

新たな変化の芽を育てていくことで、
産業革命に次ぐ人類史4番目の革命は可能だろう。



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ご紹介は以上です。
参考になりそうな部分には、リンクを張りました。


(参考)
新しい形の エコビレッジ
過疎から考えるヒトの生活
「働き方革命」他者を幸せにする働き方


        

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