
本日、市議会で一般質問をしました。
質問と答弁の要点をご報告します。
(質問の全文はコチラ)
なお、私の速記メモを基にしていますので
正しくは後日公開される議事録をご確認ください。
令和7年6月議会 一般質問 市議会議員 多田稔
生活排水等を浄化する方法は下水道事業だけではありません。
各家庭等に合併浄化槽を設置する方法もあります。
この二つのやり方の違いを質問により明らかにし、
行政が税金を使って下水道事業を進めることの意義を
確認したいと思います。
((参考)) 汚水処理人口普及率=
(公共下水道等+合併浄化槽)利用人口÷人口×100
1 「下水道事業について」
(1)浄化レベル
下水道事業及び合併浄化槽の設置は、
共に生活排水等の浄化が目的であり、
どちらの方法でも排出される水の水質は環境基準に
適合したレベルに浄化されると思いますが、
市長の認識をお伺いします。
(答弁)
・どちらも環境基準に適合する
(2)財政負担の年数と金額
① これまで伊勢崎市が下水道整備のために要した年数と
完成までの残りの年数をお尋ねします。
(答弁)
・市単独下水道 昭和46年から54年経過
・流域下水道 平成15年から22年経過
・計画全て完成まで あと120年を要す
(多田コメント)
・120年もかかる間に社会環境や人口等の
前提条件が大きく変わってしまうと思います。
② これまで伊勢崎市が下水道整備のために要した費用の財源内訳として
国等の補助金、市の一般財源、下水道事業の企業債及び受益者負担金の
それぞれのおよその金額と割合をお尋ねします。
(答弁)
・下水道企業債 398億8千万円 55.5%
・国等の補助金 200億2千万円 27.9%
・市一般財源 110億1千万円 15.3%
・下水道留保資金 80億4千万円 11.2%
・受益者負担金 38億8千万円 5.4%
(多田コメント)
受益者負担金はわずかで、ほとんど税金が財源のようです
③ 下水道全体計画が全て完成するまで全体の事業費と市の財政負担が
今後どれくらい必要となる見込みか尋ねします。
(答弁)
・今後必要な総事業費 1,434億円
・うち、市の一般財源 219億円
(多田コメント)
・実績から受益者負担金を5.4%と仮定すると、
巨額の公金が必要となります。
(3)災害等への対応
災害に強い安心・安全な街づくりは自治体の使命です。
今年1月に発生した埼玉県八潮市の大規模な道路陥没事故は、
下水道が壊れたことが原因とみられます。
下水道システムは一番上流の住宅から一番下流の下水処理場まで
全ての管がつながり、かつ汚物や汚水が流れるための
微妙な傾斜が続いていることが必要です。
もしも巨大地震が発生した場合は下水道管が破損します。
住民は自分の家に何の被害が無くても、長大な下水道システムの
どこかに不具合が発生すればトイレの使用もできなくなります。
① 下水道による有毒ガス発生の危険性について、
合併浄化槽使用の際の安全性と比較しどのように
認識されているでしょうか。
(答弁)
・合併浄化槽 有毒ガスの発生はほぼ無い
・下水道 有毒ガスが発生することある、
5年ごとに点検している
② 大規模地震災害があり下水道が使えなくなった場合、
自宅のトイレ等が使用できずに避難する必要がある市民は、
最悪の場合何名くらい発生すると想定されていますか。
またそれは防災計画に反映されているでしょうか。
(答弁)
・市の最大避難者数 7万7千人
・県の防災計画に地震被害の想定がある
(多田コメント)
・7万7千人もの人が自宅で生活できないのは大問題
③ 大規模地震災害の復旧において、
浄化槽使用の場合と下水道使用の場合では、復旧のための日数や
費用はどのように違うと認識されているでしょうか。
浄化槽は一世帯当たり、下水道は総額でお答えください。
(答弁)
・日数と費用の答弁がありませんでした。
(多田コメント)
下水道事業の継続と早期復旧を図るための
「下水道BCP(業務継続計画)」を策定しました。
それによれば、下水道が使える仮復旧までの目標は
60日以内とされています。
・自宅トイレが使えないのが2~3日ならともかく、
2カ月もトイレが使えなければ自宅で生活できません。
最悪、7万7千人が2カ月です。各家庭に浄化槽があれば
こんなことにならないのに。
(4)下水道全体計画の見直し
現在、伊勢崎市公共下水道全体計画を見直し中ですが、
・浄化能力の面では、合併浄化槽も下水道もどちらも問題ないこと、
・費用の面では、各家庭等が合併浄化槽を設置する場合、
設置及び管理費用は自己負担であり税金投入はゼロ円であるのに対し、
下水道事業は建設と管理に膨大な税金投入が必要なこと、
・災害の面では、合併浄化槽は有毒ガス発生の恐れがほとんど無く、
災害時の復旧も早く安価で済むのに対し、下水道が大きな被害を
受けた場合は復旧に多くの日数と多額の費用を要し、
非常に多くの住民が自宅で生活できなくなること、
以上のことから、下水道整備を進めるよりも
合併浄化槽の普及を進める方が望ましいと私は考えますが、
伊勢崎市公共下水道全体計画の見直しにおいて
合併浄化槽よりも下水道の方が有利と判断する場合の基準を
市長にお伺いします。
(答弁)
・合併浄化槽と下水道の2本立てでいく。
・社会情勢、財政状況の変化を踏まえて下水道事業が
持続可能となるようたえず見直しする。
・判断基準は経済性、効率性、事業期間等。
(再質問1)下水道の新規建設をやめた場合の影響
・現在ある下水道事業は当面続けるとして、
今後新規の下水道建設をやめるとだれがどう困るのか?
(答弁)
・現在の下水道施設は多くの人が長く使う想定で作ってあるので、
施設能力に対して有効活用度が下がる。
(多田コメント)
・思考の罠、いわゆる「サンクコスト効果」ですね。
これまでお金や労力、時間を投資してあるので、
今後のコストがメリットを上回っても、
同じことを続けてしまう傾向のことを言います。
この罠に囚われると不合理な状態をやめられず、
さらに深みへはまり込んでしまいます。
(再質問2)
・下水道全体計画の見直しは、市の財政負担ゼロである
合併浄化槽中心の方向へ転換するのか、
それとも今後の事業費が1434億円必要と見込まれる
下水道整備を継続するのか、今が大きな分岐点であると考えます。
「経営とは何をしないかである」という言葉があります。
将来の伊勢崎市民にとってより幸せなのはどちらの方向でしょうか。
市長のお考えをお伺いします。
(市長答弁)
・生活環境と水質を守っていく。
・浄化槽と下水道が相互に補完するようにする。
・今後の人口変動や社会状況の変化を見ながら
下水道事業計画区域を減らしていく。
(多田コメント)
・下水道未整備地区では合併浄化槽が義務化されています。
・今後1400憶円も費用をかけて市が下水道を新設しなくても
各家庭に合併浄化槽があれば社会的に間に合っています。
・今後日本中で急激に人口減少と高齢化が進みますので、
自治体の財政はどんどん苦しくなります。
・自治体はやらなくて良い仕事をやる余裕は無くなりますので、
下水道事業をやめる流れが今後出てくると思います。
・伊勢崎市は先見の明でその流れに先鞭をつけるのか?
それとも様子見、後追いに甘んじるのか?
(参考記事)