伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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土光臨調 本丸はそのまま

2015-04-19 20:39:55 | 行政経営
読売新聞の連載「昭和時代」土光臨調下から。
土曜日の連載記事です。


(時代背景)

国の財政赤字が拡大し、
大平内閣は一般消費税を計画しましたが頓挫。
そのため鈴木内閣では、増税なき財政再建をめざしました。

その中心となって行財政改革を進めたのは、
第2次臨時財政調査会長に就任した土光俊夫さん。
元経団連会長。

記事によれば、「増税なき財政再建」は、
大蔵省主導の増税による財政再建路線に対する
経済界の不安と反発が凝縮されていました。
法人税増税を恐れていたのです。

土光さんは臨調の会長を引き受けるにあたり、
4か条の申し入れをしました。
1 行政改革の断行は総理の決意あるのみ
2 徹底的な合理化による小さな政府をめざす
3 地方自治体も含め日本中の行政の合理化をする
4 3K赤字の解消と民間活力を生かす
 *3K(国鉄、健保、コメ)

鈴木首相は、行財政改革は内閣の最重要課題。
政治生命をかけてこれを達成したい、と宣言。

予算要求のゼロシーリングや、補助金の1割カット、
公務員定数を5年で5%削減、
国鉄、電電公社、専売公社の民営化などにとりくみました。

しかし自民党内では、
総論賛成・各論反対。
省庁や族議員、
業界団体からの抵抗は止みませんでした。

答申は5次まで出されました。
出発時は財政健全化が最大の目標でしたが、
その後は成長をいかに実現するかが目的となりました。

現在の財政再建においても、
目標がプライマリーバランスの均衡だったのに、
いつのまにか対GDP比で下げる、
というように変えられています。

臨調で土光さんの秘書を勤めた並河さんによれば、
土光さんは3公社5現業など、数々の改革を行いましたが、
「根本問題には手がつけられなかった」と漏らしていたそうです。
省庁本体は変えられなかったのでしょう。



(「土光俊夫は語る」 講談社)

土光さんの言葉。26ページ

 僕は石川島播磨におったときに、
 とにかく壁をやぶれと。
 いろんな問題があるが、その壁を毎日やぶれと言ったら、
 「私は壁がありません」と言うんだな。
 「そうか、ないか」「君は座っているんじゃないか、
 立って歩いてみろよ、四畳半だろうが六畳だろうが、
 立って歩けばすぐぶつかるよ」と言ったんだ。
 問題意識がないんだ。だから歩いて毎日壁にぶつかれと。


122ページから引用。
(土光)
 国債の増発なんか、これ以上とれませんよ。
 今年初めに渡辺美智雄蔵相が、今年度の予算編成に関連して
 中期財政展望を出しましたが、それは空恐ろしくなるような見通しでした。
 それはね、五十九年度には、六兆八千億近くの国債を発行しても、
 まだ財政が六兆5千億千以上の赤字になるというんだ。
 現在でもすでに国債発行残高が八十二兆円になっているんですよ。
 百兆円を超すのは時間の問題なんだ。
 これは全部国民が負担する借金になるんだが、一人当たり
 百万円を越すことになってしまうんです。
 これはもう日本という国が破産しつつあるということだね。
(牛尾治朗)
 会長のおっしゃるとおり、わが国の国債依存率は異常ですね。
 欧米諸国にはそんな例はないし、ましてわが国でも太平洋戦争のときの
 水準を超えているんですから。



土光さんの時代でさえ、
財政赤字の大きさが大問題と認識されていました。
現在では、はるかに悪化しています。
しかしなぜか「インフレ2%達成」が最重要政策とされ、
財政赤字は問題視されていません。

むしろ異次元の金融緩和の名の下に
日銀が、借り換えも含めた国債の大半を購入するという
マネタイゼーションが進んでいます。

日本では財政法により赤字国債の発行は禁止されているにもかかわらず、
巨額の赤字国債が発行されています。平成22~24年の3年間は、
国の予算は借金による収入が税収を上回るという異常事態でした。



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