伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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なぜ 財政規律に注目するのか

2015-03-01 17:51:09 | 政治・政策・経済
読者の方からコメント欄に御質問を頂きました。
皆さんにもお伝えしたいと思いますので、
この場を借りて回答させて頂きます。


(ご質問)

  今晩は議員
  議員のブログを見ていると 議員は
  財政規律を軽視している国のありように
  危機感を募られているように感じます
  藤巻健史参議院議員のブログなども見られていますよね
  なぜ 財政規律の問題に関心を人一倍もたれているのか
  教えていただけますか


(回答です)

次のような理由から、
私は国の財政状況に強い関心を持っています。

 1 日本政府が財政破綻する可能性が高いと考えていること。
 2 国が破綻した場合、自治体及び国民へ
   マイナスの影響が大きいと考えていること。


上記のように考える主な背景について説明します。

1 国の財政破綻の可能性
(1)水平比較
現在の世界各国の中で、国の経済力(GDP)に対する
負債の大きさを比較すると、日本は先進国の中で飛びぬけて悪く、

財政危機に見舞われているギリシャと比べても、
日本のほうがはるかに悪い状況です。



ギリシャでさえこれほど大きな問題になっているのですから、
もっと悪い日本は、より注意すべきと考えます。


(2)垂直比較
日本の債務の大きさは、過去120年間で一番大きくなっており、
太平洋戦争を始める直前の状況に酷似しています。
異常な状態です。



(3)基礎的財政収支
1,000兆円を超える負債を返せないとしても、
これ以上増やさないようにしなければ負債は際限なく膨らみます。
日本は財政法により赤字国債の発行は禁止されているにもかかわらず、
巨額の国債が発行されています。平成22~24年の3年間は、
国の予算は借金による収入が税収を上回るという異常事態でした。

基礎的財政収支(プライマリー・バランス)とは、
税収・税外収入と、国債の支払いにあてられる費用を除く
歳出との収支のことを表し、その時点で必要とされる政策的経費を、
その時点の税収等でどれだけまかなえているかを示す指標です。

国は2020年度(平成32年)に
国と地方の基礎的財政収支を黒字化する目標を公表していますが、
実現はかなり厳しいと言われています。


(4)長期金利の問題
国の年間予算が100兆円ですから、
1,000兆円を超える借金はその10倍以上の規模。
税収は40兆円ほどしかありませんので、現在の長期金利は1%未満ですが、
もし国債の金利が上昇して3%に近づくと、
それだけで財政破綻の要因になります。


(5)日本は特別か
外国と違って日本の場合は大丈夫だ、
という意見もありますが、私の見解を述べます。

①国債は国内で買われているから大丈夫?
金利が低すぎて投資のメリットがないため、
外国人投資家は日本国債を買いません。
国内の銀行や生命保険会社は、長期国債を手放し始めており、
現在は日銀が買い支えている状況です。

日本国内の借金だから大丈夫という意見もありますが、
返す義務があるのは国で、返してもらう権利があるのは国債購入者です。
外国から見れば日本国内でのお金のやり取りですが、
注意しなければならのは、国の財布と、個人の財布は別だということ。
国が国債の支払いは一切やめますと言って、
はいそうですかと全ての国債所有者が応じるでしょうか
そうは思えません。

②将来の子どもたちは債務者でなく債権者?
「政府が国民からお金を借りているので、将来の日本の子どもたちは
お金を返してもらう方である、借金の先送りではない」という意見があります。

国債による収入で国の予算を組んでそれを使っているのは現在の我々です。
その借金はいつだれが返すのかというと、10年国債であれば
10年後の国民の税金からです。10年後の国民にとっては、
国債返済分の納税はしなければなりませんが、
その分のお金はすでに10年前に使われてしまっている状況。
納税負担だけおしつけられるのは詐欺ですね。

10年後に国債の返済を受けるのはすべての国民ではなく、
国債を持っている人だけ。
債務者と債権者はけしてイコールではありません

③いざとなったら日銀がお札を刷ればよい?
国家の借金を、その国の通貨を発行する中央銀行が肩代わりすることを
財政ファイナンス(マネタイゼーション)といい、
過去の苦い経験から先進国では禁じ手です。

財政ファイナンスを行うと、その国の政府の財政節度を失わせると共に、
中央銀行による通貨の増発に歯止めが掛らなくなって円の価値が暴落し、
ハイパーインフレ(物価上昇)を引き起こす恐れがあります。
そうなると、その国の通貨や経済運営そのものに対する
国内外からの信頼も大きく損なわれ、円の為替レートも暴落します。

日銀が大量にお札を刷って国債の返済にまわせば、
額面上は1,000兆円の借金でも返済可能ですが、ハイパーインフレが起きて
物価が10倍、100倍になっていれば、そのときに返済されるお金の価値は
10分の一、100分の一です。
この状態であっても返済できるのだから問題ないと考えるのか、
実質的に国債が紙切れになってしまうのだから問題があると考えるべきなのか。


例えば、国の赤字は1000兆円以上ですが、
日銀が「1,000兆円札」なんてものを一枚印刷して国に渡せば
赤字は解決するでしょうか?
世界中の誰もが1,000兆円札の価値を認めるでしょうか?

そんな「子ども銀行券」みたいなお札は通用しないでしょう。
ところが、日銀が1万円札を、何百兆円分も印刷し、
国から国債を買う形で国へお札を渡しているのが現在の姿です。
これはおかしいと金融市場が思いはじめたら、
国債価格と円の暴落が始まります。
(国債価格の暴落とは、具体的には国債の金利上昇です。
 プレミアをつけなければ売れないということ)



2 自治体・国民への影響
(1)自治体収入
独自の税収が多い財政力の強い自治体もありますが、
中には歳入のほとんどを国からの交付税に頼っている自治体もあります。
もし国が財政破綻すれば、交付税や補助金などがかなりカットされますので、
自治体の財政基盤を直撃します。


(2)社会保障制度等
もし国の財政破綻という事態になれば、あらゆる分野において
可能な限り予算の削減が行われます。生活保護を受けている方はもちろん、
福祉制度や介護・医療などにおいて、現在よりもはるかに
自己負担が大きくなるでしょう。


(3)物価及び為替レート
国の財政が破綻すると円の信用が下落します。
国債の債務不履行(デフォルト)を防ぐために中央銀行が円を
大量に増発した場合にも円の価値は暴落しますので、
ハイパーインフレ(物価上昇)の恐れがあります。

そうなると、円の為替レートも暴落し
これも物価上昇の要因となります。
ハイパーインフレの元では、給与所得者の賃金の上昇は
物価の上昇に追いつかないので生活は苦しくなります。
年金生活者などは更に苦しくなると思われます。



回答は以上です。

もし国が財政破綻してしまえば、
景気が良い悪いというレベルの話ではありません。
国民生活は窮乏し、自治体の行政経営も大きな制約を受けます。

長くなりましたが、
読んで頂きましてありがとうございました。

この話題以外にも、社会のこと、政治のことなどなど、
読者の皆さんからのご意見・御質問お待ちしています。





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