こんな本もいいですよ、
ということで「おまけ編」3冊ご紹介。
1 黒柳徹子「窓ぎわのトットちゃん」
昔ベストセラーになりました。黒柳さんの自伝。
子どもらしさ、育て方が胸を打ちます。
好奇心のかたまりのトットちゃんは、
型通りの教育に納まらず、小学1年生で退学になりました。
お母さんが見つけた転校先のトモエ学園は、
トットちゃんの純真な思いと行動を温かく受け止め、
のびのびと教育してくれました。
こどもがこどもでいられる貴重な時間。
こどもの在り方、教育の在り方。考えさせられます。
戦時中なのに、けた外れにのびのび育ったトットちゃん。
それはお母さんのチョッちゃんが偉大だったのです。
小学1年生のトットちゃんは学校の帰り道、
小学2年生くらいの男の子に出会いました。
(以下、引用)
あるとき、トットちゃんが、学校の帰りに、
この小さいガケの下を通ったときだった。
マサオちゃんが、そこに仁王立ちに立っていた。
両手を腰にあてて、えらそうな格好で、
突然、トットちゃんに、大きい声で叫んだ。
「チョーセンジン!」
それは、とても憎しみのこもった、鋭い声で、
トットちゃんは、こわかった。そして、なんにも話をしたことも、
意地悪をしたこともない男の子が、なにか、憎しみをこめて、
高いところから、自分に、そんなこと、いったことにも、びっくりした。
トットちゃんは、家に帰ると、ママに報告した。
「私のこと、マサオちゃんが、チョーセンジン!といった」
ママは、トットちゃんの報告を聞くと、手を口にあてた。
そして、みるみるうちに、ママの目に、涙が、いっぱいになった。
トットちゃんは驚いた。なにか、とても悪いことなのかと思ったから。
すると、ママは、鼻の頭を赤くして、涙をふきもしないで、こういった。
「かわいそうに・・・。きっとみんながマサオちゃんに、
『朝鮮人!朝鮮人!』というんでしょうね。だから『朝鮮人!』
というのは、人に対しての悪口の言葉だと思っていいるのね。
マサオちゃんには、まだ、わからないのよ、小さいから。
よく、みんなが、悪口を言うとき、『馬鹿!』なんていうでしょう?
マサオちゃんは、そんなふうに、誰かに悪口をいいたかったので、
いつも自分が、人からいわれているように、『チョーセンジン!』と、
あなたに、いってみたんでしょう。なんて、みんなは、ひどいことを
いうのかしらね・・・・」
それから、ママは涙をふくと、トットちゃんに、ゆっくり、こういった。
「トットちゃんは、日本人で、マサオちゃんは、朝鮮という国の人なの。
だけど、あなたも、マサオちゃんも、同じ子供なの。
だから、絶対に、『あの人は日本人』とか、『あの人は朝鮮人』とか、
そんなことで区別しないでね。マサオちゃんに、親切にしてあげるのよ。
朝鮮の人だからって、それだけで悪口いわれるなんて、
なんて気の毒なんでしょう。」
*黒柳 朝「チョッちゃんが行くわよ」もぜひどうぞ!
2 新谷かおる「エリア88」 マンガ本です。単行本全23巻。
主人公のパイロット・風間真は親友に騙され、
外人傭兵部隊の航空基地エリア88へ送り込まれました。
毎日が戦争ですが、契約期間が終わるまで除隊されない..。
生き残って恋人に会うために、今日も戦闘機を操る。
すばらしいマンガは無数にありますが、
一番深く心を動かされたのはこの「エリア88」
戦場における傭兵部隊なので、
いつ死んでもおかしくない状況の中、仲間を信じ、助け、
敵の戦闘機を落とし、生き延びます。
気が狂いそうなほどの恐怖と死に包まれた戦場での毎日。
その極限状況の中で人間は、
どこまで「己」を、「人間性」を保てるのか?
戦闘シーンが注目されがちですが、非常に重い主題です。
この重量感はまるでドストエフスキーを読んでいるよう。
ラストに救いはあるのか?
3 高橋秀実「弱くても勝てます」 ノンフィクション
東大合格者数日本一(当時)の開成高校野球部が、
平成17年夏・東東京予選ベスト16まで勝ち進みました。
勉学優先のためグラウンドで練習できるのは週1日。
高校野球で強くなろうと思うと、
投げて、打って、守って、走って、と
あれもこれも求めがちですが、彼らにはそんな時間は無い。
限られた時間の中で勝つにはどうしたらよいのか?
捨てるんです。
「走攻守すべてを鍛えなければいけない」というのは、
思い込みだったんです。
彼らの思いきった割り切り方は、パレートの法則を想起させます。
一番大事な20%を伸ばすためには、残りの80%は捨てる。
この潔さが試合にどう生きるのか?
野球だけでなく、マーケティングや経営など、
多くの面で勉強になります。