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伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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戦争の素人は戦略を語り、戦争の玄人は兵站を語る

2023-07-28 20:37:59 | 行政経営

「戦争の素人は戦略を語り、戦争の玄人は兵站を語る」とは、

軍事学において有名な格言です。

 

「兵站(へいたん)」とは聞きなれない言葉ですが、

ウイキによれば「兵站」とは

軍事学上、戦闘地帯後方の軍の諸活動・諸施設等を総称したもの。

戦争において作戦を行う部隊の移動と支援を計画し、実施する活動。

例えば兵站には物資の配給や整備、兵員の展開や衛生、

施設の構築や維持などが含まれる。

 

多くの方が戦争で一番目に留まるのは、

敵同士が直接対峙する最前線地帯において

武器を用いて戦闘している場面だと思います。

 

その場所で勝利すれば、

勝った方の軍隊はどんどん相手側へ侵攻し

支配地域を広げれば良いと思われるかもしれませんが、

実際はそんな簡単なものではありません。

 

鉄砲の玉や武器の補給、燃料の補給、兵士の補充、

食料等の補給、負傷兵の収容等、戦闘を支えるためには

多くの支援活動が必要であり、それが兵站。

 

「兵站のマネジメントを考えずに、

 戦闘作戦だけを語るのは素人」というわけです。

 

これって戦争だけでなく、

行政にも当てはまるのでは?

 

戦後の日本は人口増と経済成長が続き、

税収も増え続ける中で、道路を作り、公共施設を作り、

水道を整備し、福祉や保健や医療制度を整え、

新しい社会の課題に対応するため、

新しい政策を考え、実施してきました。

これが国や地方行政のメインだったと思います。

 

しかし現在の日本では人口減少が始まり、

今後100年で3分の1になるという予測もあります。

それに伴い税収は減少し、道路や施設は人口に対して過剰となり、

老朽化もどんどん進行しています。

 

行政の仕事が、社会課題との「闘い」だとすれば、

どんな仕事にどれだけの職員と予算を充てるのかが、

勝敗のカギとなります。

 

かつては、

新しいものをどんどん作る政策がもてはやされましたが、

これからは、すでにある過剰な道路や公共施設等を

いかに減らしながら維持管理していくかが、

メインの仕事になっていくでしょう。

 

沼田市は今後40年で公共施設の総床面積を40%削減すると

2017年に報道されました。

10年後に沼田市は、建築後30年以上の建物が9割になります。

全ての建物を改修・更新するには年間33億円かかりますが、

沼田市では年間11億円しか充てられないので

施設の総量を6割減らす必要があるとの内容。

伊勢崎市も他人ごとではありません

 

新しい政策や施策が必要ないわけではありません。

時代の変化やニーズに合わせて、

必要なものは生み出す努力は絶えず必要。

しかし、これからは行政の持つ戦力(人・カネ)の大部分は

既にあるインフラや公共施設の維持管理に割く必要があるでしょう。

この状態は軍事学上の「兵站」重視に相当すると思います。

 

人口減少や、今あるインフラの老朽化、及び過剰化、

返せないほどの国の借金の膨張を無視して、

もし政治家が「新規の公共施設をどんどん作れ」と主張するのは

かなり的外れでしょう。

 

公共施設や社会的インフラの維持管理、縮小が

これからの時代の行政の仕事の主役になっていくからには、

役所の将来の政策を練る企画部門の仕事は、

「いかに行政を縮小させていくか」という戦略を練るのが賢明です。

 

行政の全部門の方は兵站を重視するとともに

企画部門の方は、今までと目指す方向が180転換したと

認識して頂きたいと思います。

 

 

 

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