踊る小児科医のblog

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新型インフルエンザと福島原発事故 政府は全く正反対の行動をとった

2011年08月17日 | 東日本大震災・原発事故
 それにしても、どうして3月15日に東京は大騒ぎにならず、2009年の新型インフルエンザのときには過剰とも言える反応を引き起こしたのか。何ヶ月も考えて続けていたのですが、答えは実に簡単なものでした。

 多くの国民が政府やマスコミの言うことを信じてしまったからです。正確な情報が伝えられなかったために、的確な対策や行動をとることができなかった。

 新型インフルエンザは最初の1週間の情報、特にアメリカの高校における流行と収束状況で、強毒性ではないことは明らかでした。しかし、日本だけが「新型」の法律を適用して過剰な対策を続け、医療者には過大な負担を強いて、国民には恐怖心を植え付けました。この時の対策は明らかに過剰でしたが、2つの点で正しい行動でした。一つは、政府が法律に基づいた対策をとったこと。二つ目は、状況がわかるまで予防的に対策をとり、その後で緩めるという原則に基づいていたことです。結果的に、世界でも最も死亡率が低く抑えられ、国民の命は守られました。

 そして、今回の福島原発事故では、この2つの点で政府は新型インフルエンザのときと全く正反対の行動をとりました。SPEEDIの情報を知らせなかったこと、基準値を20mSvへ一気に20倍も引き上げたことなど、法律違反であるだけでなく、まず安全を確保して状況に応じて緩めるという予防原則に反し、国民の命をないがしろにする対策でした。当然、責任者は法に基づいて裁かれるべきです。

 福島だけでなく全国の子どもたちは、この国が自分たちの命を最優先にしてくれていないことを実感しています。大人の一人として情けなく申し訳ない気持ちで一杯です。

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