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福島県の小児甲状腺がん:7~15人(確定~疑い)/10万人:2012年は2011年より減少傾向か:判断は数年後

2013年06月06日 | 東日本大震災・原発事故
昨日の続きです。
資料が掲載されたのでそちらの数字で計算し直してみました。

福島県 第11回「県民健康管理調査」検討委員会(平成25年6月5日開催) 
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=24809#10kentouiinkai

概要(数字が間違っていたので訂正しました)

2011年度 40764 細胞診82 確定7 疑い4 合計11 良性1
2012年度 134735 細胞診63 確定5 疑い11 合計16
合計 175499 細胞診145 確定12 疑い15 合計27

頻度(受診者10万人あたり)

2011年度 7.9~26.2人(2月発表の時点)
2011年度 17.2~27.0人
2012年度 3.7~11.9人
合計 6.8~15.4人



端数が少し変化しているだけで、昨日書いた計算とほぼ同じです。
4月に書いた「1万人あたり1~3人程度のレンジ」と比べると、2011年度は確定診断が増えたが全体では3人未満、2012年度はいずれも2011年度を下回っている。
(2012年度は二次検査の受診率が低いので今後もっと増える可能性が高い)
全体の受診数が増えたので、平均値も低下。

これが多発なのか、潜在的ながんをスクリーニングでまとめて早期発見しただけなのか、どちらにしても不可解。これは4月に書いた通りです。

→福島県外3市と福島県内の甲状腺検査結果の比較 考えられる推論2つはいずれも不可解 2013年04月03日
 http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/46d539e4482351e8ee38cd08c4f56e8a

判断は結局のところわかりません。
昨日の記者会見でも「今までにないのもと比較しろと言われても言えない」と答えていたように、今後の推移、特に2巡目の検査で今回A判定だった人の中から甲状腺がんが増えてくるかどうかをみないと何とも言えない。





(追記)

福島の小児甲状腺検査:現時点では被曝との因果関係や多発を主張する根拠は乏しい。しかし、最初から被曝の影響ではないバックグラウンド値という前提はもっと非科学的。結局、検査結果の推移を見ていくしかない。これが当たり前の考え方。

元々、一人ひとりについて因果関係を証明することは出来ない。しかし、因果関係の有無に関わらず子どもの健康に何かあれば親が自責の念に苦しむことは目に見えていた。だから避難を訴えた。これは事故直後の話。

いま甲状腺がんが発見された子どもの親は、被曝とは関係ない(明らかな因果関係は認められない)と説明されて、そう思うことで自分を納得させようとしているはず。とは言っても、頭で納得しても、ときどき溢れてくる感情まで抑えるのは難しいだろう。

一つの仮説として、1年目、2年目、3年目と線量の低い地域に移るにつれ、頻度が低下する傾向が見えてくるとしたら、2巡目以降に新たな甲状腺がん発生が増えてくる可能性がある。これが否定できるなら良いのだが、それを知るためには何年も待たなければいけない。

(しかし、タバコとのリスク比較の間違いを指摘した時もそうだったし、瓦礫問題以来、この甲状腺検査騒ぎも、危険・安全・中立いずれの人にとっても有害無益になっている。なまじfollowerや信奉者が多いだけに厄介。)

(更に追記)

福島の小児甲状腺がん:有病率「1万人あたり1~3人程度のレンジ」を注目しながら、というのは、この福島の調査から今後の推移をチェックするための目安という意味で、普通に考えれば高すぎる数字。

有病期間10年とすると有病率「1~3人/1万人(10~30人/10万人)」は発生率「1~3人/10万人」に相当する。これはベラルーシの1990年代前半の発生率。それが福島の今だというのは理解不能。

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