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「2025年に喫煙率ゼロ」は日本でも達成可能(その2)未成年2019年、『最後の喫煙者』は青森県の女性か

2013年06月06日 | 禁煙・防煙
(その1)より続く


一方、都道府県別の喫煙率では、青森県は男性1位、女性2位、総合2位で、平均寿命は連続して男女とも最下位という最低の状況にあります。


これまでと同様に、2004年を起点にして計算してみます。(結果はあとでまとめて表にします)


未成年の喫煙率は、青森県の調査で2007年に比べて、


2011年には激減しています。特に高3は男女とも4年で1/3程度まで低下している。


未成年の喫煙率の全国調査でも、2000年代以降は直線的に低下してきている。


以上をまとめて表にすると、
「喫煙率ゼロ」推定年は、
未成年2019年、医師2022年、
成人男性:2025年(厚労省)~2031年(JT)、
成人女性:2024年(厚労省)~2033年(JT)
という計算結果となります。

これは最初に述べたように、そうなるという予測ではなく、仮定した計算上の値であり、今後の規制政策を考える上での材料です。

ここで、政府目標の「2022年に12%」をあてはめて計算してみると、どの予測よりも先の2041年というとんでもない数字になる。

この目標値が自然低下よりも高いということは当時から指摘し批判していたのだが、JTが形だけの抵抗で矛を収めたのは「何もしない」よりも高い有名無実の目標だということを知っていたからに違いない。


同様に、都道府県別喫煙率で調べると、
全国最低の島根県では2023-24年、
全国平均で2027-2030年、

青森と喫煙率トップ争いを演じている “ライバル” 北海道でも、2024-2026年で全国平均を下回る一方で、
青森県では2029-2038年という数字がはじき出された。

昔々、筒井康隆の『最後の喫煙者』という小説があったが、このまま行政の後ろ向きの姿勢が続けば、『最後の喫煙者』が青森県の女性になる蓋然性は高い。


以上は直線的低下という仮定の下に考えた結果だが、
喫煙率の増減には、
新たな喫煙者:①未成年、②成人
喫煙を中止する人:③禁煙、④死亡
という4つのファクターがあり、


今後、①未成年の喫煙者は激減し、②成人の喫煙開始者は元々少ない上に減少、
③禁煙する人と④亡くなる人は、今後増加する一方だろう。
特に団塊世代は未成年の2倍くらい人口が多く、今後残念ながら「喫煙者を先駆けとする団塊世代の大量死時代」が到来することは避けられない。
矢印を全部足すと、喫煙者は激減する一方であり、低下速度が鈍るよりもむしろ、更に加速することの方が期待できる。

ただし、男性医師の喫煙率でわかるように、何もしなければ減少速度は鈍化してしまう可能性がある。
(最後には何を言ってもやめようとしない、どうしようもない質の悪い喫煙医師が残っているのが現状。)


喫煙率減少速度の鈍化を防ぎ、更に加速させて、早期に喫煙率ゼロを実現するためには、これまでのような「禁煙・分煙・防煙」という三原則では駄目で、


特に「分煙」が受動喫煙防止対策として不適切であるということはWHOも米国政府も、日本政府ですら公式に認めています。
禁煙と防煙の重要性が低下した訳ではないが、


今後「タバコのない青森」を実現させるためには、タバコ税大幅増税、屋内全面禁煙の法制化、広告禁止・販売法の三条件がクリティカルに重要となる。
いずれもタバコ規制枠組み条約(FCTC)に定められている政策を実現するか否か、という簡単な問題。

今年の禁煙デーのテーマは広告・スポンサー活動禁止についてであり、シンポジウムでは屋内全面禁煙について議論していただき、参加者にも十分にご理解いただいたはず。

現実に、ニュージーランドでは「2025年に喫煙率ゼロ」を目標にして、広告・販売規制の強化に乗り出している。
国際条約「FCTC」を遵守して国民の命を守ろうとする国と、国際条約を無視して国民の命をないがしろにする国。
青森県はその中でも、最も規制の緩い「喫煙天国」です。


奈良県の広陵町では、町長の一声によりたったの1年で全職員の喫煙率ゼロが達成できている。
喫煙率ゼロは夢物語ではなく、現実にいくらでも達成できる。
「できっこない、遠い将来の話」という先入観から意識転換できれば、決して難しい話ではないということが理解できるはず。


「税収よりも健康や命が大切。タバコは百害あって一利なし」という言葉は、深浦町の故・平沢町長の言葉と聴き間違うほど全く同じ。

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