ムネオ日記
その2
中曽根大臣、この点、質問主意書で私は既に言っている。全く動かなかったのは外務省なんですけれども、なぜ動かなかったのか。事前にユジノサハリンスクの総領事館なりモスクワ大使館なりに動く時間はあったんですから。なぜそれをしなかったのかをはっきりさせていただきたいと思います。
○中曽根国務大臣
お話しのように、昨年の十月でございましたか、ユジノサハリンスク外交代表が、根室で開かれた記者会見において、来年度以降、四島交流で日本側訪問団が訪問する際には出入国カードが必要となる旨の発言をされたという報道がありました。ただ、我が国には何ら通知はございませんでした。
この北方四島への人道物資支援の事業というものは、これは毎年行っているわけでありますが、委員もちろん十分御承知のことでございますが、二〇〇六年に既に出入国カードの記入が義務づけられていながらも、七年、八年はそういうようなカードに記入することなく物資を届けることができたわけであります。私どもとしては、報道では知っておりましたけれども、あちら側からは何の通告もなかったということがまず一点。
そして、今回訪問するに当たりまして、四島側からも、人道物資支援の受領の準備が整った、そういう通知がありまして、我が方といたしましては、一月の十三日から十六日に行きたいということを今度はロシア側に通知したわけでございます。
そして、さらに、十二月の末に、従来どおり身分証明書と挿入紙をもって行われることの確認を求めました。ところが、回答がなかったということでございます。
そして、年が明けて、外務省からまた在京のロシア大使館に対して、回答が来ない、しかしもう流氷が下がってくる、ですからもう早く行かなきゃならないぎりぎりになりましたということで、口上書を出しまして、一月末に日程を変更したいということで、そういうような変更の口上書を発出いたしました。
そして、さらに、ロシアにある我が方の大使館から外務省に対して、回答がないけれどもどういうことになっているんですかということを聞きましたら、今、行きたいということに対して調整中でありますということで、ノーとは言っていなかったんです。
過去、七年それから八年が行けたものですから、これは善意で行くわけですから、我が方としてはぜひ行きたいということで、そういう趣旨で接触をしていたわけでございますが、一月二十三日に、在京のロシア大使館が外務省に対して、本件事業のための北方四島訪問についてはロシア側として異存はない、そういう旨の口上書が来たんです。
同時に、おかしなことに、モスクワの方のロシア外務省は日本の大使館に対して、今度は出入国カードが必要であるという旨を、同じ日に違う回答が来たわけですね。
こちらとしては、同じ二十三日にそういう通報が来たものですから、このカードの提出要求の撤回を求めるということで、強く我が方からはロシア側に申し入れをしたわけでございます。
そうこうしているうちに、二十七日、出発時が迫ってまいりまして、日本側訪問団は根室を出発いたしました。そして、国後島の沖合に到着したわけでありますけれども、出入国カードの提出を求められた。そこで、我が方は、これを記入、提出を拒否して、残念ながらこの物資を持って帰ったということでございます。
○鈴木(宗)委員
中曽根大臣、経緯は知っておるからいいんですけれども、ただ、私が言いたいのは、去年の十月の二十一日に、サハリンの外務省代表はロシア外務省の方なんですから、その方が記者会見したということはやはり重いんですね、このノソフさんが言ったのは。そのときに、ユジノサハリンスクの総領事館やモスクワ大使館が去年のうちにきちっとやっておけば、こういう無駄なことはなかったわけですよ。
そこで、ビザなし渡航というのは、もう大臣知っているとおり、平成三年にゴルバチョフ・海部会談で決まった話です。そこで、十月に、当時の中山大臣が行って調印した話。お互いの立場を害さないということになっているんですよ。
私は、出入国カードを出す出さないの議論も大した話じゃないと思っているんです。なぜかというと、皆さん税関申告書は出すんですよ。ビザとパスポートは持っていかないけれども、それにかわる身分証明書はちゃんと出しているんですから。
これはお互い知恵を出したんです。お互いの立場を害さぬということでスタートしているんですから、この出入国カードを出したからロシアの主権だと、北方四島を認める話にもならないんですよ。
私は弾力的に、流氷も来る、もう船も行けなくなる、そんなことよりももっと、では今回限りの措置だとか、いろいろやり方はあったんじゃないか、こう思うんですね。
そこで、大臣、時間がありませんから、私が質問ですから。ビザなし交流でこういったことがありました。私は、ビザなし交流は、相当島の皆さん方の理解も得たし、ロシアと日本の関係も近くなったと思うんですが、こういうたまたま不祥事があったにもかかわらず、一部にはもうビザなし交流はやめた方がいいんじゃないかという声があるけれども、私は続けた方がいいと思っているんですけれども、外務省としてはどう考えていますか。
○中曽根国務大臣
この四島交流事業というのは、北方領土問題の解決を含む我が国とロシアの間の平和条約締結問題が解決されるまでの間の相互理解の増進を図るということ、そういうことが主な目的として行われているわけでありまして、九二年にこれが始まって以来、相互理解の増進に着実に貢献している、そういうふうに思っております。
まだ領土問題が未解決の現状におきましては重要な意義を有している、そういうふうに思っているところでございます。
また、こういう意義を有する四島の交流事業を継続するためにはロシア側の協力が必要不可欠でありまして、今年度の人道支援事業の中止のような事態は大変残念でありますけれども、再発しないように今協議を行っておりまして、もう委員十分御承知のことと思いますが、協議を行い、またロシア側にも強く申し入れをしておりまして、引き続いて実施していきたい、そういうふうに思っています。
○鈴木(宗)委員
大臣、ぜひともこれは生かしていただきたいな、こう思っています。
総理、北方領土問題解決のときの日本政府の基本的認識として、変わってはいないと思いますけれども、四島の帰属の問題が認められれば、島の返還の時期、態様については柔軟に考えるという九二年一月からの認識は変わっていないですね。
○麻生内閣総理大臣
そのとおりです。
○鈴木(宗)委員
なぜ私が今この話をしたかというと、よく国会議員の中でも、四島一括が日本の政府の方針だと言う人がいるんですね。共産主義、ソ連時代は四島一括と言っていたんですよ。
なぜかというと、領土問題がないからですね。だから、こっちは強く即時一括返還と言ってきたんですね。このことをぜひとも、委員の皆さん方も共通認識を持ってください。政府後援の会合なんかで、今でもよく内閣府主催の会合なんかでも四島一括返還という垂れ幕がかかっているときがある。これは間違ったメッセージを与えると思いますからね。この点もぜひとも、官房長官、また二月七日、北方領土の日もありますから、よくよく今の総理の答弁どおりやっていただきたいと思います。
時間がありませんから、次に、総務大臣にお願いします。
○麻生内閣総理大臣
一点だけ。これは主権は譲れないということははっきりしていますからね。
○鈴木(宗)委員
もちろんそれは。ありがとうございます、総理。それはもう当然ですから。
総務大臣、衆議院の解散・総選挙のときに最高裁判官の審査がありますね、バッテンをつけるの。
恐らく、大臣でも、ここにいる……(発言する者あり)マルですか。マルをつけるんですか。信任する人はマルですね。(発言する者あり)マル・バツどっちでもいいんですけれども、私が言いたいのは……(発言する者あり)あれはバツですよね。バツですね。信任しない人はバツをつけるんですが、総務大臣、あれは、国民は、国会議員の皆さん方も、裁判官の経歴はわからぬものですから、印をつけなかったり無視する人が多いんですよ。少なくとも私は、最高裁判所の裁判官というのは司法の最高権限者ですね、その人たちをきちっと認めるか認めないか国民審査する場合、経歴放送はすべきだと思っているんですよ。政見放送のとき、我々はやりますね。あわせて、そのとき投票所で国民審査をするわけですから、経歴放送ぐらいは出すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○鳩山国務大臣
確かに、国民審査の場合、これはマルをつける必要はない、何もつけないのが信任になるわけでありましょう。
国民審査は、最高裁判所の裁判官がその職責にふさわしい者であるか否かを国民が審査する制度でございまして、新聞折り込みで審査公報というのが、審査ごと、つまり総選挙ごとですね、投票日は一緒ですから、発行されておりますから、それを見ていただこうというふうに考えているわけです。
経歴放送等については、我々、衆議院選挙、参議院選挙に出る人間が経歴放送をするわけですけれども、当選を得るために候補者が選挙運動を行うそういう選挙と、裁判官として適しているかどうか適否の審査ということで、どんな経歴放送のやり方があるかとか考えてみますと、今のところはまだ念頭にないんですね、経歴放送をやるということは。
○鈴木(宗)委員
ことしから裁判員制度も始まりますから、総務大臣、これはぜひとも、私は検討に値すると思うんですよ。
最高裁判官というのは認証官ですよ。大臣と同じ立場ですよ。しかし、国民がわからないでそれをただ無視するなんというのは、三権分立の一つとしても、また三審制度という意味からも、最高裁判所の権威という意味からも、私はもっときちっと国民に親切にやった方がいいと思うんですが、もう一度、総務大臣。
○鳩山国務大臣
今のところまだ考えておりませんけれども、鈴木先生の御意見が貴重なものであることはきちんと受けとめて、今後の議論に生かしていきたいとは思います。
○鈴木(宗)委員
くれぐれも、技術的には問題ないと思いますので、よろしくお願いしたい、こう思います。
あと、森大臣、可視化の問題を、私、去年の十月の予算委員会でもさせていただきました。その前の鳩山大臣のときも、被疑者以外の参考人だとか証人の可視化については、初めての御意見だから検討しますという話がありましたね。その後、どういうふうに進んでいますでしょうか。
○森国務大臣
今お話にありましたとおり、前回もほぼ同じ趣旨のお尋ねがありまして、私は、法務省としては、被疑者以外の者の取り調べにおいて録音、録画を義務づけることについては、刑事手続全般における取り調べの機能を維持する上で、参考人の協力が得られなくなるなどの問題、また身柄が拘束されていないという条件下であるということもあって、いずれにしても慎重な配慮が必要であると考えていると申し上げました。
しかしながら、鈴木委員の、その前の年には鳩山元大臣にも同じ質問があって、真剣な御提案であるというふうに受けとめておりまして、そのときは今後さまざまな御意見を拝聴したいと思いますと申し上げましたが、さまざまな御意見を伺いまして自分なりに考えてまいりましたけれども、現時点においては先ほど申し上げた結論の域を出るものではございません。
○鈴木(宗)委員
法務大臣、これも、参考人だとか証人なんというのは全く関係ないものですから、事件と関係ないというものは罰を受けないわけですから、どうしても検察に誘導されちゃうんです。これは、もう私自身が経験しているんですから。結果的に、本当に国策捜査というのは怖いですよ、皆さん。ねらわれたら終わりですから。
そういった意味でも、私は、証人や参考人の可視化を図るのはだれも反対しないと思いますよ。どうですか、与党の皆さん方も。森大臣、これはぜひとも検討をいただきたいと思いますね。
あと、官房長官、官房長官のもとに今アイヌ問題の有識者懇をやっていますね。ことし取りまとめだと思うんですけれども、ここも、アイヌ民族の、先住民族という理念のもとで、やはり立法措置をとるのが一つと、ぜひとも内閣府にその窓口を置いて、私はアイヌ施策の展開をしてもらいたい。
よく皆さん、今、環境問題が出ますけれども、自然との共生を一番してきた民族はアイヌ民族なんです。大地に返り大地に学ぶという、まさに自然との共生を実践してきている、環境と向き合ってきているんですよ。そういった意味でも、私はアイヌ民族を大事にしているんです。
もう一つ、総理にもお話ししましたけれども、北方四島はアイヌ民族が先住民族なんです。ロシアのメドベージェフ大統領に、文化の面でも価値観を共有しますよ、日本は初めて先住民族として去年の六月六日に認めました、そういった意味でも北方四島は日本のものですから、どうぞお返しをいただきたいという文化の面でのアプローチもできる。
そういった意味でも、どうぞ官房長官、このアイヌ民族の重み、歴史、文化というものを尊重して、立法措置だとか窓口をつくってもらいたいと思いますが、いかがでしょう。
○河村国務大臣
昨年六月六日の国会決議、アイヌの方々が先住民族であるという認識のもとで有識者懇談会が官房長官のもとに置かれて、既に四回会合が行われてまいりまして、私も二回ほど参加をさせていただいています。
大変具体的な審議をいただいておるところでございまして、御指摘のように、この政策の検討に当たっての理論あるいは基本的な論点整理を行いまして、夏ごろまでにまとめたい、こういうことで進んでおります。
政府としても、有識者懇談会の審議を踏まえて、今の御指摘のような点も踏まえながら、アイヌ政策の確立に取り組んでいく所存でございます。
○鈴木(宗)委員
官房長官、くれぐれも、せっかくこの有識者懇にはウタリ協会の加藤理事長も入っておりますから、生の声を聞いて、いいものにまとめていただきたいと思います。
最後に、文部大臣、せっかくですから、ちょっとお尋ねしますけれども、財団法人日本相撲協会は文部科学省の指揮下にありますね。今回も、若麒麟関でしたか、大麻問題等出ましたけれども、大臣の記者会見では甘いという判断で、大臣の見解は正しいと思っていますよ。
しからば、文部科学省として、今まで法人を預かる者としてどんな指導を相撲協会にしてきたのか、これからまた日本相撲協会にどんな指導をしていくのか。やはり国技という冠がある以上、私は重く受けとめた方がいいと思っています。
先般の千秋楽には麻生総理みずから総理大臣杯も渡すぐらい、やはりこれは厳粛な重いものなんですよ、日本の相撲道というのは。その所管の文部科学省の大臣として、どんな指導をしてきて、これからどんなことをやっていくかをお知らせいただきたいと思います。
○塩谷国務大臣
今の鈴木委員の御意見を重く受けとめて、私どもとしましても、今まで相撲協会に対して指導監督を行う立場に立っておりますので、今回の不祥事等、昨年来いろいろありまして、再発防止のためにしっかりと指導をしているところでございますが、今回、引き続きこういうことが起こったということはまことに残念でございます。
昨年は外部役員の登用などをして相撲協会運営の適正化を進めてまいったときでありますので、特にそういう観点から、今回の処分もちょっと軽過ぎだろう、また、いろいろとそういうことも含めて今後国民の期待にこたえるよう、国技としての相撲協会として指導をしてまいりたいと思っております。
○鈴木(宗)委員
最後に、総理、もう一つだけ。やはり総理にお願いしたいのは北方領土問題。
やはり麻生総理の手で、外務大臣も経験されている、外交に精通している、外交と経済の麻生と言われているうちに、私は、即、目に見える、わかりやすいのは日ロ外交だと思っているんです。北朝鮮とも関係が深いのはロシアですよ。拉致問題も、ロシアを使うという手もありますね。そういった意味でも、ぜひとも領土問題解決にかける総理のかたい決意をお尋ねしたいと思います。
○衛藤委員長
総理、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
○麻生内閣総理大臣
外交というのは相手のあることですから、外交を政局の具にするつもりもありませんし、政争の具にするつもりもありません。
外交は常に国益を考えてやるものだと思いますので、しっかり受けとめてやらせていただきます。
○衛藤委員長
これにて鈴木宗男君の質疑は終了いたしました。
以上をもちまして基本的質疑は終了いたしました。
30分の間に多岐にわたる質問をすることが出来た。
定額給付金制度では首相のぶれがわかったが、日ロ関係、北方領土問題解決に取り組んでいく姿勢は感じられた。これからの動きを注視するしかない。
その3へ続く
鈴・木・宗・男
その2
中曽根大臣、この点、質問主意書で私は既に言っている。全く動かなかったのは外務省なんですけれども、なぜ動かなかったのか。事前にユジノサハリンスクの総領事館なりモスクワ大使館なりに動く時間はあったんですから。なぜそれをしなかったのかをはっきりさせていただきたいと思います。
○中曽根国務大臣
お話しのように、昨年の十月でございましたか、ユジノサハリンスク外交代表が、根室で開かれた記者会見において、来年度以降、四島交流で日本側訪問団が訪問する際には出入国カードが必要となる旨の発言をされたという報道がありました。ただ、我が国には何ら通知はございませんでした。
この北方四島への人道物資支援の事業というものは、これは毎年行っているわけでありますが、委員もちろん十分御承知のことでございますが、二〇〇六年に既に出入国カードの記入が義務づけられていながらも、七年、八年はそういうようなカードに記入することなく物資を届けることができたわけであります。私どもとしては、報道では知っておりましたけれども、あちら側からは何の通告もなかったということがまず一点。
そして、今回訪問するに当たりまして、四島側からも、人道物資支援の受領の準備が整った、そういう通知がありまして、我が方といたしましては、一月の十三日から十六日に行きたいということを今度はロシア側に通知したわけでございます。
そして、さらに、十二月の末に、従来どおり身分証明書と挿入紙をもって行われることの確認を求めました。ところが、回答がなかったということでございます。
そして、年が明けて、外務省からまた在京のロシア大使館に対して、回答が来ない、しかしもう流氷が下がってくる、ですからもう早く行かなきゃならないぎりぎりになりましたということで、口上書を出しまして、一月末に日程を変更したいということで、そういうような変更の口上書を発出いたしました。
そして、さらに、ロシアにある我が方の大使館から外務省に対して、回答がないけれどもどういうことになっているんですかということを聞きましたら、今、行きたいということに対して調整中でありますということで、ノーとは言っていなかったんです。
過去、七年それから八年が行けたものですから、これは善意で行くわけですから、我が方としてはぜひ行きたいということで、そういう趣旨で接触をしていたわけでございますが、一月二十三日に、在京のロシア大使館が外務省に対して、本件事業のための北方四島訪問についてはロシア側として異存はない、そういう旨の口上書が来たんです。
同時に、おかしなことに、モスクワの方のロシア外務省は日本の大使館に対して、今度は出入国カードが必要であるという旨を、同じ日に違う回答が来たわけですね。
こちらとしては、同じ二十三日にそういう通報が来たものですから、このカードの提出要求の撤回を求めるということで、強く我が方からはロシア側に申し入れをしたわけでございます。
そうこうしているうちに、二十七日、出発時が迫ってまいりまして、日本側訪問団は根室を出発いたしました。そして、国後島の沖合に到着したわけでありますけれども、出入国カードの提出を求められた。そこで、我が方は、これを記入、提出を拒否して、残念ながらこの物資を持って帰ったということでございます。
○鈴木(宗)委員
中曽根大臣、経緯は知っておるからいいんですけれども、ただ、私が言いたいのは、去年の十月の二十一日に、サハリンの外務省代表はロシア外務省の方なんですから、その方が記者会見したということはやはり重いんですね、このノソフさんが言ったのは。そのときに、ユジノサハリンスクの総領事館やモスクワ大使館が去年のうちにきちっとやっておけば、こういう無駄なことはなかったわけですよ。
そこで、ビザなし渡航というのは、もう大臣知っているとおり、平成三年にゴルバチョフ・海部会談で決まった話です。そこで、十月に、当時の中山大臣が行って調印した話。お互いの立場を害さないということになっているんですよ。
私は、出入国カードを出す出さないの議論も大した話じゃないと思っているんです。なぜかというと、皆さん税関申告書は出すんですよ。ビザとパスポートは持っていかないけれども、それにかわる身分証明書はちゃんと出しているんですから。
これはお互い知恵を出したんです。お互いの立場を害さぬということでスタートしているんですから、この出入国カードを出したからロシアの主権だと、北方四島を認める話にもならないんですよ。
私は弾力的に、流氷も来る、もう船も行けなくなる、そんなことよりももっと、では今回限りの措置だとか、いろいろやり方はあったんじゃないか、こう思うんですね。
そこで、大臣、時間がありませんから、私が質問ですから。ビザなし交流でこういったことがありました。私は、ビザなし交流は、相当島の皆さん方の理解も得たし、ロシアと日本の関係も近くなったと思うんですが、こういうたまたま不祥事があったにもかかわらず、一部にはもうビザなし交流はやめた方がいいんじゃないかという声があるけれども、私は続けた方がいいと思っているんですけれども、外務省としてはどう考えていますか。
○中曽根国務大臣
この四島交流事業というのは、北方領土問題の解決を含む我が国とロシアの間の平和条約締結問題が解決されるまでの間の相互理解の増進を図るということ、そういうことが主な目的として行われているわけでありまして、九二年にこれが始まって以来、相互理解の増進に着実に貢献している、そういうふうに思っております。
まだ領土問題が未解決の現状におきましては重要な意義を有している、そういうふうに思っているところでございます。
また、こういう意義を有する四島の交流事業を継続するためにはロシア側の協力が必要不可欠でありまして、今年度の人道支援事業の中止のような事態は大変残念でありますけれども、再発しないように今協議を行っておりまして、もう委員十分御承知のことと思いますが、協議を行い、またロシア側にも強く申し入れをしておりまして、引き続いて実施していきたい、そういうふうに思っています。
○鈴木(宗)委員
大臣、ぜひともこれは生かしていただきたいな、こう思っています。
総理、北方領土問題解決のときの日本政府の基本的認識として、変わってはいないと思いますけれども、四島の帰属の問題が認められれば、島の返還の時期、態様については柔軟に考えるという九二年一月からの認識は変わっていないですね。
○麻生内閣総理大臣
そのとおりです。
○鈴木(宗)委員
なぜ私が今この話をしたかというと、よく国会議員の中でも、四島一括が日本の政府の方針だと言う人がいるんですね。共産主義、ソ連時代は四島一括と言っていたんですよ。
なぜかというと、領土問題がないからですね。だから、こっちは強く即時一括返還と言ってきたんですね。このことをぜひとも、委員の皆さん方も共通認識を持ってください。政府後援の会合なんかで、今でもよく内閣府主催の会合なんかでも四島一括返還という垂れ幕がかかっているときがある。これは間違ったメッセージを与えると思いますからね。この点もぜひとも、官房長官、また二月七日、北方領土の日もありますから、よくよく今の総理の答弁どおりやっていただきたいと思います。
時間がありませんから、次に、総務大臣にお願いします。
○麻生内閣総理大臣
一点だけ。これは主権は譲れないということははっきりしていますからね。
○鈴木(宗)委員
もちろんそれは。ありがとうございます、総理。それはもう当然ですから。
総務大臣、衆議院の解散・総選挙のときに最高裁判官の審査がありますね、バッテンをつけるの。
恐らく、大臣でも、ここにいる……(発言する者あり)マルですか。マルをつけるんですか。信任する人はマルですね。(発言する者あり)マル・バツどっちでもいいんですけれども、私が言いたいのは……(発言する者あり)あれはバツですよね。バツですね。信任しない人はバツをつけるんですが、総務大臣、あれは、国民は、国会議員の皆さん方も、裁判官の経歴はわからぬものですから、印をつけなかったり無視する人が多いんですよ。少なくとも私は、最高裁判所の裁判官というのは司法の最高権限者ですね、その人たちをきちっと認めるか認めないか国民審査する場合、経歴放送はすべきだと思っているんですよ。政見放送のとき、我々はやりますね。あわせて、そのとき投票所で国民審査をするわけですから、経歴放送ぐらいは出すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○鳩山国務大臣
確かに、国民審査の場合、これはマルをつける必要はない、何もつけないのが信任になるわけでありましょう。
国民審査は、最高裁判所の裁判官がその職責にふさわしい者であるか否かを国民が審査する制度でございまして、新聞折り込みで審査公報というのが、審査ごと、つまり総選挙ごとですね、投票日は一緒ですから、発行されておりますから、それを見ていただこうというふうに考えているわけです。
経歴放送等については、我々、衆議院選挙、参議院選挙に出る人間が経歴放送をするわけですけれども、当選を得るために候補者が選挙運動を行うそういう選挙と、裁判官として適しているかどうか適否の審査ということで、どんな経歴放送のやり方があるかとか考えてみますと、今のところはまだ念頭にないんですね、経歴放送をやるということは。
○鈴木(宗)委員
ことしから裁判員制度も始まりますから、総務大臣、これはぜひとも、私は検討に値すると思うんですよ。
最高裁判官というのは認証官ですよ。大臣と同じ立場ですよ。しかし、国民がわからないでそれをただ無視するなんというのは、三権分立の一つとしても、また三審制度という意味からも、最高裁判所の権威という意味からも、私はもっときちっと国民に親切にやった方がいいと思うんですが、もう一度、総務大臣。
○鳩山国務大臣
今のところまだ考えておりませんけれども、鈴木先生の御意見が貴重なものであることはきちんと受けとめて、今後の議論に生かしていきたいとは思います。
○鈴木(宗)委員
くれぐれも、技術的には問題ないと思いますので、よろしくお願いしたい、こう思います。
あと、森大臣、可視化の問題を、私、去年の十月の予算委員会でもさせていただきました。その前の鳩山大臣のときも、被疑者以外の参考人だとか証人の可視化については、初めての御意見だから検討しますという話がありましたね。その後、どういうふうに進んでいますでしょうか。
○森国務大臣
今お話にありましたとおり、前回もほぼ同じ趣旨のお尋ねがありまして、私は、法務省としては、被疑者以外の者の取り調べにおいて録音、録画を義務づけることについては、刑事手続全般における取り調べの機能を維持する上で、参考人の協力が得られなくなるなどの問題、また身柄が拘束されていないという条件下であるということもあって、いずれにしても慎重な配慮が必要であると考えていると申し上げました。
しかしながら、鈴木委員の、その前の年には鳩山元大臣にも同じ質問があって、真剣な御提案であるというふうに受けとめておりまして、そのときは今後さまざまな御意見を拝聴したいと思いますと申し上げましたが、さまざまな御意見を伺いまして自分なりに考えてまいりましたけれども、現時点においては先ほど申し上げた結論の域を出るものではございません。
○鈴木(宗)委員
法務大臣、これも、参考人だとか証人なんというのは全く関係ないものですから、事件と関係ないというものは罰を受けないわけですから、どうしても検察に誘導されちゃうんです。これは、もう私自身が経験しているんですから。結果的に、本当に国策捜査というのは怖いですよ、皆さん。ねらわれたら終わりですから。
そういった意味でも、私は、証人や参考人の可視化を図るのはだれも反対しないと思いますよ。どうですか、与党の皆さん方も。森大臣、これはぜひとも検討をいただきたいと思いますね。
あと、官房長官、官房長官のもとに今アイヌ問題の有識者懇をやっていますね。ことし取りまとめだと思うんですけれども、ここも、アイヌ民族の、先住民族という理念のもとで、やはり立法措置をとるのが一つと、ぜひとも内閣府にその窓口を置いて、私はアイヌ施策の展開をしてもらいたい。
よく皆さん、今、環境問題が出ますけれども、自然との共生を一番してきた民族はアイヌ民族なんです。大地に返り大地に学ぶという、まさに自然との共生を実践してきている、環境と向き合ってきているんですよ。そういった意味でも、私はアイヌ民族を大事にしているんです。
もう一つ、総理にもお話ししましたけれども、北方四島はアイヌ民族が先住民族なんです。ロシアのメドベージェフ大統領に、文化の面でも価値観を共有しますよ、日本は初めて先住民族として去年の六月六日に認めました、そういった意味でも北方四島は日本のものですから、どうぞお返しをいただきたいという文化の面でのアプローチもできる。
そういった意味でも、どうぞ官房長官、このアイヌ民族の重み、歴史、文化というものを尊重して、立法措置だとか窓口をつくってもらいたいと思いますが、いかがでしょう。
○河村国務大臣
昨年六月六日の国会決議、アイヌの方々が先住民族であるという認識のもとで有識者懇談会が官房長官のもとに置かれて、既に四回会合が行われてまいりまして、私も二回ほど参加をさせていただいています。
大変具体的な審議をいただいておるところでございまして、御指摘のように、この政策の検討に当たっての理論あるいは基本的な論点整理を行いまして、夏ごろまでにまとめたい、こういうことで進んでおります。
政府としても、有識者懇談会の審議を踏まえて、今の御指摘のような点も踏まえながら、アイヌ政策の確立に取り組んでいく所存でございます。
○鈴木(宗)委員
官房長官、くれぐれも、せっかくこの有識者懇にはウタリ協会の加藤理事長も入っておりますから、生の声を聞いて、いいものにまとめていただきたいと思います。
最後に、文部大臣、せっかくですから、ちょっとお尋ねしますけれども、財団法人日本相撲協会は文部科学省の指揮下にありますね。今回も、若麒麟関でしたか、大麻問題等出ましたけれども、大臣の記者会見では甘いという判断で、大臣の見解は正しいと思っていますよ。
しからば、文部科学省として、今まで法人を預かる者としてどんな指導を相撲協会にしてきたのか、これからまた日本相撲協会にどんな指導をしていくのか。やはり国技という冠がある以上、私は重く受けとめた方がいいと思っています。
先般の千秋楽には麻生総理みずから総理大臣杯も渡すぐらい、やはりこれは厳粛な重いものなんですよ、日本の相撲道というのは。その所管の文部科学省の大臣として、どんな指導をしてきて、これからどんなことをやっていくかをお知らせいただきたいと思います。
○塩谷国務大臣
今の鈴木委員の御意見を重く受けとめて、私どもとしましても、今まで相撲協会に対して指導監督を行う立場に立っておりますので、今回の不祥事等、昨年来いろいろありまして、再発防止のためにしっかりと指導をしているところでございますが、今回、引き続きこういうことが起こったということはまことに残念でございます。
昨年は外部役員の登用などをして相撲協会運営の適正化を進めてまいったときでありますので、特にそういう観点から、今回の処分もちょっと軽過ぎだろう、また、いろいろとそういうことも含めて今後国民の期待にこたえるよう、国技としての相撲協会として指導をしてまいりたいと思っております。
○鈴木(宗)委員
最後に、総理、もう一つだけ。やはり総理にお願いしたいのは北方領土問題。
やはり麻生総理の手で、外務大臣も経験されている、外交に精通している、外交と経済の麻生と言われているうちに、私は、即、目に見える、わかりやすいのは日ロ外交だと思っているんです。北朝鮮とも関係が深いのはロシアですよ。拉致問題も、ロシアを使うという手もありますね。そういった意味でも、ぜひとも領土問題解決にかける総理のかたい決意をお尋ねしたいと思います。
○衛藤委員長
総理、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
○麻生内閣総理大臣
外交というのは相手のあることですから、外交を政局の具にするつもりもありませんし、政争の具にするつもりもありません。
外交は常に国益を考えてやるものだと思いますので、しっかり受けとめてやらせていただきます。
○衛藤委員長
これにて鈴木宗男君の質疑は終了いたしました。
以上をもちまして基本的質疑は終了いたしました。
30分の間に多岐にわたる質問をすることが出来た。
定額給付金制度では首相のぶれがわかったが、日ロ関係、北方領土問題解決に取り組んでいく姿勢は感じられた。これからの動きを注視するしかない。
その3へ続く
鈴・木・宗・男