ムネオ日記
2010年9月28日(火)
中央選挙管理会は、衆議院比例北海道ブロックで私の失職に伴い、本日正式に、新党大地代表代行で私の秘書である浅野貴博君が繰り上げ当選することを決めた。
浅野君は私の秘書として7年鍛えてきたので、即戦力として活躍できる人材である。32歳、本人の努力次第でその前途は洋々である。
私に代わる浅野君に、是非ともなるご指導、ご支援を賜りたい。
10月8日号の週刊朝日で、村木事件弁護人の弘中惇一郎先生と足利事件弁護人の佐藤博史先生が対談し、「村木さんの事件は例外じゃない。鈴木宗男さんも本当なら無罪だ」と言っている。
極めてわかりやすい対談なので、全文を読者の皆さんにご紹介したい。
「冤罪救助請負人」 緊急対談
「村木さんの事件は例外じゃない。鈴木宗男さんも本当なら無罪だ」
人呼んで冤罪救助請負人―。村木厚子元厚生労働省局長の無罪を勝ち取った弘中惇一郎弁護士(64)と、足利事件で菅家利和氏の冤罪を晴らした佐藤博史弁護士(61)は、これまで検察権力と戦い無罪を勝ち取ってきた。新党大地の鈴木宗男前衆院議員の事件ではタッグを組んだ2人が特捜捜査を告発する。
佐藤 元厚生労働省局長の村木厚子さん(54=現・内閣府政策統括官)の事件の無罪判決は画期的でした。これまで、事件への関与を認める供述調書を取られてしまうと、裁判で覆すのは非常に難しかった。しかし、今回、裁判所は「いくら具体的で迫真性のある調書でも、客観的証拠と符合しなければダメだ」と大阪地検特捜部のつくった供述調書を証拠としてほとんど採用しませんでした。その結果、控訴断念にまで追い込んだ。
弘中 まさか、捜査を主導する主任検事が証拠まで改ざんしているとは思いませんでしたが…。出廷した関係者全員が、捜査段階で作成された調書を翻したことに加え、「意に反した調書を取られて悔しかった」と被疑者ノートに詳細に書きとめていたり、抗議の内容証明を送っていたり、客観的な証拠があったことも大きかったですね。
佐藤 しかし、これで検察特捜部のあり方がクローズアップされ、鈴木宗男さん(62)の事件にも光があたるかと思ったら、村木さんの判決の3日前、最高裁は上告を棄却しました。私は何か国家の意思というものを感じましたね。
弘中 ええ。村木さんの事件も宗男さんの事件も構図としては同じですからね。まず、検察は関係者を呼びつけて長時間にわたって取り調べる。しかも、話を聞くわけではなく、検事が自分の考えたストーリーに基づいた調書を突きつけて、「こうだったはずだ」、だから、「これにサインしろ」とやる。
佐藤 宗男さんの事件でも、わいろを渡したとされた製材会社幹部は、検事に「会社をつぶしたくなければ検察に協力しろ」と脅されて、意に沿わない調書に署名させられている。
弘中 客観的証拠を無視してつくられた事件、という点でも一緒ですよね。村木さんの事件で、検察は当初、障害者自立支援法をスムーズに成立させたいがために、大物議員である民主党の石井一参院議員の口利きを受けた、というストーリーを描いていました。しかし、後に、その当時は障害者自立支援法なんて影も形もなく、口利きを受け入れる動機にはなり得ないことが判明した。ところが、不思議なことに、09年6月7、8日の2日間に、村木さんの上司や厚労省関係者が一斉に「障害者自立支援法案を通すために議員案件を受けた」という趣旨の調書を取られているんです。事実ではない供述を複数の人が一斉に話すなんてあり得ない。確実に主任検事が「こういう調書を取れ」と号令をかけたんです。
佐藤 私が手がけた別の東京地検の事件でも同じことがありましたよ。検察の常套(じょうとう)手段なのでしょう。ある特捜部経験者がこんなことをリポートに書いています。特捜部の捜査というのは「鵜飼(うか)い」であると。特捜部の調べの信用性というのは、まったく先入観や情報を持たない検事が鵜のように集めてきた証拠や供述を、鵜匠(うしょう)にあたる主任検事がパズルのように当てはめていく。パズルが一枚の絵になったときに「真相」として報告するのだと。個々の検事は冒頭陳述を聞いて、初めて事件の全体像を知るのだというのです。
弘中 ある意味、それは真実に迫る方法ではありますよね。しかし、村木さんの事件では、その鵜匠自らが、関係者の調書をコピーして検事全員に読ませたり、絵に合うように証拠(フロッピーディスク)を改ざんしたりしていた。
佐藤 主任検事は、中立的な判断を求められる一方で、逮捕した被疑者を必ず、起訴・有罪にしなければならない、という重責を負わされているからでしょう。特捜部には組織としてブレーキをかける役割の人間がいないのです。
弘中 ええ。この事件も前田(恒彦検事)さんが単独でやったこととは思えません。
佐藤 ただ、なぜ村木さんの事件は無罪判決が出て、宗男さんの事件はダメだったのかを考えると、やはり、村木さんの裁判は弘中先生が捜査段階から接見を続け、アドバイスされたことが大きいのではないでしょうか。
弘中 東京から大阪まで20日間、接見に通いましたからね。やはり捜査弁護、一審弁護でしっかりした戦いができるかどうかが重要だと思いますね。身柄を拘束されるというのは異常な状態ですから、目の前に保釈をぶら下げられたり、検事に「否認を続けると刑が重くなる」と脅されたりすると、本人だけで戦うのは困難なんです。
メディアと特捜 性格が似ている
佐藤 その意味で宗男さんの一審についた弁護士は、いわゆる「ヤメ検」だったのですが、腰砕け状態でしたね。検事に呼ばれて「ガサ(家宅捜査)かけるぞ」などと脅され、公判でも検察に遠慮した弁護に終わってしまった。
弘中 事件関係者との信頼関係も大切ですよね。宗男さんの場合は、一審の段階で贈賄側とされた製材会社関係者との信頼関係が崩壊していて、法廷で明確な証言をしてくれなかった。また、残念なのが、非常に重要な証人の一人は亡くなり、もう一人は過酷な取り調べで脳梗塞(こうそく)を起こし、話せなくなってしまったことです。
佐藤 05年に公判前整理手続きが導入されたことで、「証拠開示」が行われるようになったことも大きいですよね。昔は、検察は調書をたくさんつくって、都合のいい調書だけを出してきていましたが、今は出廷する証人の調書はすべて出さなければならなくなった。身柄を取られている人は、すべて取り調べ時間も記録される。以前より、捜査のプロセスがよくわかるようになりました。
弘中 確かに、宗男さんの事件のときは取り調べ状況もわかりづらかった。
佐藤 特捜部をここまで肥大化させたのはメディアの責任も大きいでしょう。宗男さんの事件も、新聞やテレビは「宗男は極悪人だ」という印象を与えるような記事を書き立てました。ですが、当時、宗男さんがかかわったと、メディアが書いた数十にものぼる罪はどれ一つ立件されなかった。
弘中 メディアと特捜部は似ているんですよ。自分たちを正義だと思っていて、真相というものがあると信じ込んでいる。だから、被疑者は極悪であるというストーリーを描いてしまう。都合の良い部分は膨らませ、悪い部分は使わない、わかりやすい話にしてしまうのです。そうした性格が似ているものだから、検察からリークを受けると喜んで書いてしまう。
佐藤 ロッキード事件でも、作家の立花隆さんは、検察と一体になって田中角栄をたたき、ジャーナリストとして名をあげましたし。
弘中 そのメディアの報道を世論が後押ししたというのも大きいでしょう。特捜部が狙うのは国会議員という権力者である宗男さんをはじめ、ライブドア事件の堀江貴文さんやロス疑惑の三浦和義さんなど、お金持ちだったり、女性にモテたり、という庶民の嫉妬(しっと)心をあおる人だから。
佐藤 その意味でも、村木さんは特異でしたね。地方大学出身で、手がけてきた仕事は労働問題や障害者雇用でしょう。庶民が味方しやすかった。
弘中 主任弁護人として、私が今回、もっとも問題だと思ったのは、事情聴取の段階で、検察は村木さんの無罪を知っていたにもかかわらず、控訴を取り下げなかった。その勇気がなかった点です。
佐藤 まだ、検察は無謬(むびゅう)だという幻想にとりつかれているんでしょう。村木さんの事件が明らかにしたのは、特捜部の捜査のあり方が間違っているという事実です。これを機に、宗男さんの事件や特捜部のあり方についても見直す必要があると思います。
(10月8日発売週刊朝日24~25頁)
「刑事事件の弁護士としては日本で一番と言われるお二人が言われていることは、裁判官、検察官が言うことより極めて説得力があります」といった声が多数寄せられる。
特捜検察が密室で自分達に都合の良いシナリオ、ストーリーをつくり、それに添った調書を強圧的に誘導してつくっていく。それを「公判での証言より信ぴょう性が高い」と裁判官は判断する。
調書の内容が真実、事実であるならば良いが、特捜検察の一方的なつくりをなぜ裁判官はチェックしないのか。
真実を明らかにできない無念さ、悔しさが、私には今でも残っている。
公平、公正、正義とは何か。必ず時が解決する。いかなる立場であっても、信念を持って、私なりの闘いをしていきたい。
鈴 木 宗 男
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