与那国島・石垣島・宮古島・奄美大島・馬毛島―九州への、自衛隊新配備・新着工に全国から抗議の声を上げよう!
*かつて、この国には「天皇批判のタブー」があった! だが今、天皇批判以上に凄まじいのは、「自衛隊批判」のタブーなのだ! *率直に言って、この自衛隊批判のタブー化は、マスメディアだけではない。これは、野党や左翼党派から、反戦・平和勢力、市民団体、そして知識人などにまで及んでいる。それも、かつての天皇制タブーのように「暴力への恐怖」からではない。まさしく「自粛」そのものだ(あるいは、自衛隊の「現実的容認」が、その「全ての容認」へと行き着いているとも言える)。
●「島を標的にしないで」という島人たちの声
与那国島・宮古島・石垣島・奄美大島の人々が、その急ピッチで襲いかかる自衛隊新基地造りの態勢に対して、声を大にして反対し、訴え始めてから3年以上もたつ。だが、この現地から「島を戦場にしないで!」「島々を戦争の標的にするな」という声は、未だにこのクニの一部の人々のところにしか届いていない! この理由は、言うまでもない。自衛隊批判のタブー化だ(「中国脅威論」も含む)。
2016年3月、与那国駐屯地が開設され、また、今年からは奄美大島での自衛隊の新基地建設が着工、大々的工事が現地で始まった。また、宮古島では10月、市議選以後にも駐屯地着工が発表され、石垣島でも前倒しでの自衛隊配備が決定した。そして、沖縄本島でも、ここ1年で1千人以上の新たな自衛隊増強が始まった(7/1空自・南西航空方面隊が新編成)。 さらに、この南西重視戦略下(南西シフト)で、佐世保に水陸機動団(日本型海兵隊・3個連隊規模の旅団)の今年度の発足が決定、水陸両用車(AAV7)52両の増強態勢がきまり、この部隊のために佐世保空港には、オスプレイ17機配備が決定されている(地元住民の激しい反対運動あり)。
●島嶼防衛戦=「東シナ海戦争」のための自衛隊の進駐態勢
この自衛隊の南西諸島への新配備の目的は、琉球列島弧=第1列島線の島々へミサイル基地(と歩兵部隊)を張り巡らし、海と空、水中から中国軍を東シナ海に封じ込める態勢だ。いわゆる通峡阻止・海峡封鎖作戦であり、アメリカのイラク戦後のオフショア・コントロール戦略に基づいている(自衛隊では「拒否的抑止戦略」、米軍では、「ジャム・ジーシー戦略」といい、実際には琉球列島線に「万里の長城」を築くとする)。
この日米軍が企図する「海峡封鎖作戦=島嶼防衛戦」とは、先島諸島などを戦場とする、海洋限定戦争=東シナ海戦争として想定されている。しかも、日米ガイドラインによれば、日米共同作戦態勢下では、米軍も作戦を支援するが、「自衛隊を主力」とする作戦・戦闘だ(だから、自衛隊への正面からの批判となる)。
この日米両軍の作戦を、「非現実的」「荒唐無稽」として批判するのはたやすい。日中、米中経済の相互依存を考えれば「戦争などない」とするのが常識的だ。だが、だからこそ日米の制服組は、「島嶼防衛戦」「先島戦争」「海洋限定戦争」として、この戦争態勢を企図しているのだ(中国脅威論にもとづく、対中抑止戦略=新冷戦態勢)。
自衛隊の先島諸島等への配備完了は「国境線への軍事力投入」として中国の激しい反応を引き起こすだろうし、引き起こし始めている。これは「尖閣」以上の一触触発的事態を招く。というのは、日中間には緊急時、偶発的衝突を防ぐ「海空連絡メカニズム」(ホットライン)さえ発足していない(米中は2014年に締結)
おそらく、この先島戦争の第1回戦は、相互に数十人の戦死者で終わる。しかし、戦争がこれでは終わることはない。第2回戦・第3回戦と続き、最終的には米軍が本格的に参戦する「通常型太平洋戦争」にまで発展する。ーー今や事態は、今こういう段階に至っている(これが、戦争法制定の真の目的である。あえて言うと、米日による「朝鮮半島危機の演出」は、軍拡政策への、国民動員のための煽動にすぎない)。
●与那国島・石垣島・宮古島・奄美大島のたたかいを、今こそ支援しよう!
この10月、宮古島では、自衛隊新配備の是非を問う市議選が行われる。石垣島では市長の駐屯地候補地(平得大俣地区)の容認発言に対し、島ぐるみの反対署名運動が開始され、奄美大島では、11月、自衛隊駐屯地の着工による凄まじい工事と環境破壊に対し、反撃の狼煙を掲げる集会を開催する。
*今こそ、自衛隊タブーをはね返し、メディアの報道統制を打ち破り、与那国島・石垣島・宮古島・奄美大島・馬毛島―佐世保への、自衛隊新基地・新配備反対の声を上げよう。先島ー沖縄ー奄美ー佐世保を支援する、大きな声を広げよう!
(この自衛隊の南西シフト下での新配備・増強を許すならば、東アジアの軍拡競争が本格的に始まり、ここでの戦争は不可避)
*先島諸島などへの自衛隊配備の実態を写真110枚などで紹介するリンク
南西シフトのきな臭さ
■防衛予算編成への懸念
防衛省はこのほど、18年防衛予算の概算要求を決定した。17年比2.5%増、6年連続増となる5兆2551億円。過去最大の軍拡路線だ。
報道によれば北朝鮮ミサイル防衛(MD)など地上配備型の「イージス・アショア」の関連経費を含んでいないため、要求額はさらに膨れ上がることになる。
防衛戦略の南西シフトが一段と進められる。
このうち南西諸島への自衛隊配備計画は総額552億円で、駐屯地整備が始まる宮古島が260億円、用地取得を見込む石垣島で136億円を計上している。
いずれも配備計画に多くの住民が反対する中、なし崩しに進めようとしているのが実態ではないか。
宮古では未解決だった弾薬保管庫について、地対空、地対艦ミサイルの弾薬庫や射撃訓練場等の配備先を城辺保良の採石場とする方向で年内にも決定するという。
また、施設整備に合わせ18年度末に宮古警備隊約380人を配備することも決定した。
南西諸島にきな臭さが漂う。
■島の「戦場化」想定を憂う
さらに、恐るべき防衛戦略も明らかになっている。
要求予算のうち目につくのが、初めて計上された「島しょ防衛用高速滑空弾」だ。外国軍に占領された島を奪還するために、標的に近い島から攻撃するための技術研究に100億円を計上している。
すでに自衛隊が保有するミサイルよりも長い射程で超音速をめざし、飛行経路を予測しにくくするため滑空させるというもの。新型ミサイルである。
その前提は、18年3月に発足する水陸機動団が担う離島奪還作戦だ。県内のほとんどの離島は住民避難計画が策定されておらず、住民に多大な犠牲がでることが懸念される。
例えば石垣から与那国間は約250㌔。かみ砕いていえば、与那国が占領された場合、石垣島から高速滑空弾で攻撃し、水陸機動団が強襲上陸するシナリオになる公算が大きい。
宮古から石垣を攻撃する、あるいはその逆のシナリオも当然考えられる。南西諸島防衛計画には、私たち住民の存在がまったく配慮されていないとしかいいようがない。
私たちの住む島が外国軍に占領され、しかも自衛隊によって攻撃される想定のおぞましさ。島々の「戦場化」を意味する。言語道断、声を上げる時だ。
■オスプレイが島を飛ぶ日
また予算要求には、これも「南西諸島への攻撃に備える」ため、水陸機動団と連動する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ4機の取得経費457億円も含まれた。これにより中期防衛計画で定めた17機すべての取得費を確保したこととなる。
先の離島奪還作戦は、水陸両用の機動団が海上から強襲上陸するとともに、オスプレイによる兵員輸送が確実視されている。墜落相次ぐ機体が島々の上空を飛ぶ日が刻々と近づいている。
先月末、岩国基地から普天間基地に帰還するオスプレイがエンジンから出火、大分空港に緊急着陸しエンジン交換など修理しており、やはり欠陥機だ。
かつて日本の防衛戦略が北海道「局地戦」を想定した対ソ連シフトだったことを思えば、「南西諸島シフト」は、戦闘を日本本土から遠く離れた南西諸島、特に先島での「局地戦」に閉じ込めておきたい思惑が透けてみえる。
その島々に住む私たちは、その存在を防衛戦略に無視されていいのか。
予算編成にみる防衛戦略が指向するものは、「北の脅威」や「尖閣危機」など環境変化を利用した「島しょ防衛」の名のもとの軍拡である。
軍拡は決して「平和への道」ではない。